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2023年2月27日

XRが注目される背景と事例

XR(クロスリアリティ)とは?~VR・AR・MRとの違い・事例~<後半>

前回はXRの概略とVR・AR・MRなどの構成要素や使われる分野についてお伝えしました。今回はXRが注目される背景やメタバースとの違い、事例について解説します。

XRが注目される背景

現在、注目されているXRにはどのような背景があるのでしょう?
注目されているひとつの大きな要因はデバイス技術やソフトの進化にあります。たとえばAIにたとえてみると、AIの考え方自体は過去からありましたが、CPUの高速化やストレージ容量の巨大化という技術の進化により、ビッグデータを高速に処理する環境が整いました。これにより、現在の第3次AIブームといわれるAI活用が進んでいます。XRも同様に、以前の技術では、仮想世界の映像の解像度は荒く、視覚的に現実世界とは大きな乖離がありました。ところが、CPUやGPUの処理能力の向上などによって、4K・8K相当の高画質な映像や、人間の視野に近いシミュレーションができる高精度なヘッドマウントディスプレイが出現しました。また、現実世界の音を再現する立体音響技術なども進み、リアルに近い臨場感を出すことが可能になってきています。
同時に、これらの技術の小型・軽量化が進み利用シーンが拡大されたことが、実用化に向けて大きく進んだ背景と考えられます。

また、通信の高速化も重要なファクターです。XRを活用したコンテンツを配信する場合、リアルさを求める大容量・低遅延の通信環境が必要です。近年の5G出現による通信環境の大幅な進化も、XR普及の追い風となり、XRが注目される大きな要因になっています。

加えて、さまざまなデジタル分野が急速した要因にあげられる、新型コロナウイルスの感染拡大も追い風になりました。たとえば、「三密」を避ける遠隔コミュニケーションの手段として、XRやメタバース空間などを活用したテレワークの検討も始まっています。

XRとメタバースの違い

メタバースは、旧Facebook社のメタ社への社名変更を機に大きく知られるようになりました。
メタバースは、インターネット上のバーチャル空間のことで、仕事をしたり、コミュニティでユーザー同士が交流したり、と様々なコミュニケーションを行う場を指します。仮想空間でのバトルを中心としたゲームの「Fortnite(フォートナイト)」や現実と同じ時間が流れる仮想空間コミュニティの「あつまれどうぶつの森」といったゲームも広い意味でメタバースと定義されることもあります。

XRは仮想空間を活用するためメタバースと混同されることもありますが、メタバースはあくまで「場」のことを意味します。XRはさまざまな技術を使って、メタバースなどの空間で、さまざまなことを行う技術・方法・ツールといった理解が近いでしょう。

XRの事例

バーチャル渋谷(VR)

バーチャル渋谷は、KDDIが渋谷区観光協会などと共同で作った、日本初の自治体公認のVR空間です。バーチャル渋谷は街並みをVRで忠実に再現しており、ユーザーはアバターとなって仮想空間の渋谷の街を自由に歩き回ることができ、ショッピングや音楽イベントへの参加もできます。
また、バーチャル渋谷は、デジタルツインを適用した事例としても有名です。現実世界の情報をセンサーIoTなどで取得し、その現実世界のコピーを仮想世界につくるのがデジタルツインです。

東京メトロ(AR)

東京メトロでは、社内向けの研修用にARを活用したアプリを導入しました。訓練センター内に設置した模擬トンネルや橋りょう・高架橋にARマーカーを組み込み、タブレットをかざすだけで、実際の検査の方法・手順を模擬体験することができ、研修の効率を高めました。
また、アニメとタイアップしARを活用した、アニメキャラクターが飛び出す駅を巡るARスタンプラリーも実施しています。

HADO(MR)

HADOは、専用のゴーグルとアームセンサーを装着して魔法の球や盾などを出現させて戦うテクノスポーツといわれるものです。ディスプレイで操作する旧来型のゲームが、現実世界に飛び出してきたような、仮想と現実をミックスしたものです。

まとめ

このようにXRは、さまざまな分野で新しい分野を開拓しつつあります。XRの技術がさらに進化すると、モノに触れた感覚をフィードバックしたり、実物そっくりの立体映像をホログラムで表示したりと、SF世界のようなことがやがてできるようになるでしょう。その頃には、ビジネス・コミュニケーション・生活のなかにもXRが入り込んでいると考えられます。今後もXRの動向からは目が離せません。

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