データアナリティクスのプロセスと取り組み事例
データアナリティクス
~DXを劇的に加速するデータアナリティクス~<後半>
前回は、データアナリティクスの概要とメリットついてお伝えしました。今回は具体的なデータアナリティクスの実行プロセスと取り組み事例について解説します。
データアナリティクスのプロセス
データアナリティクスを実際に進めるためにはいくつかの代表的なプロセスがあります。以下に5つのプロセスを紹介します。
Ⅰ. データアナリティクスの目的を明確にする
まず、データアナリティクスの目的を明確にします。目的が不明確だと収集するデータや分析の対象にブレが出てしまいデータのピックアップや収集作業に工数がかかり、分析結果もあいまいなものとなってしまいます。結局ビジネスにつながらないということになってしまうため、最初に目的を明確にしておくことが重要です。
Ⅱ. 仮説を立案する
データアナリティクスでは目的に応じた仮説立案を行います。この工程は非常に重要です。仮説立案の際のポイントは個人の先入観や主観にとらわれないことといわれており、仮説に主観が入っていると偏りや見落としが発生する可能性があるため、客観的思考を進めるためには複数人による仮説の立案が求められます。
Ⅲ. データを収集する
データは収集するだけでは意味を持ちません。そして、データアナリティクスを適用するためには、データを分析可能な状態に加工・整理する必要があります。データ分析に必須なツールとしてはBI(Business Intelligence)ツールがあります。BIツールは、ビッグデータをキューブのようにみたてて必要な情報を効率的に抽出し、グラフなどにより可視化する機能を持っています。
Ⅳ. データを分析する
データ分析では目的に沿った分析を行うことが重要です。正確なデータ分析には、統計学などの専門的知識が必要ですが、BIツールを活用すると、専門的な知見がなくても目的・仮説・データ収集などがうまくできていると、ある程度の可視化ができます。可視化されたデータを分析した結果から、さらに仮説の検証を繰り返し、ビジネスに役立つデータのインサイトを導き出します。
Ⅴ. 分析結果に基づきビジネスを推進する
データ分析を終えたら、分析結果をもとに効率化・売上拡大・経営強化など目的に沿った実際のビジネスに活用します。分析だけで満足してしまうとデータアナリティクスの本来の意味をなさなくなってしまうので、ビジネスへの活用が重要です。
データアナリティクスの事例
Netflix・Amazon Prime
動画配信を行うNetflixやAmazonはデータアナリティクスにより、高度なレコメンデーションとパーソナライゼーションを行っています。過去の視聴履歴をもとに、表示される映画が個人ごとにカスタマイズされており、再生される動画の実に半分以上はユーザーによる検索ではなくレコメンドによるものといわれています。
スシロー
スシローはすべての寿司皿にICタグをとりつけ、レーンに流れる寿司の鮮度や売上状況を管理しています。どの店で、いつどんな寿司がレーンに流されいつ食べられたのか、どのテーブルでいつどんな商品が注文されたのかなどのデータがすべて蓄積されています。このデータを分析することで、需要を予測し、レーンに流すネタや量をコントロールしています。需要の予測は、マーケティングへの活用やコストの削減につながるため、売上・利益の拡大に活用されています。
株式会社そごう・西武
株式会社そごう・西武は、データアナリティクスを活用しOne to Oneマーケティングを行っています。顧客の購買特性に基づいて商品や情報のレコメンデーションをメールであらかじめ行うことで、配信後に実際に来店し購買に至った割合が増加するなど成功事例も生まれています。
まとめ
述べてきましたように、データの重要性は近年急速に増しています。データ活用の重要性にいかに早く気づき活用するかが企業の生き残りにかかっているといっても過言ではありません。データの取得方法はテクノロジーの進化にともない、増えており、データの種類や量も刻々と増加しています。
これら蓄積されたからデータを使ったデータアナリティクスでは、他社にはない正確な事実をもとにした分析結果がもたらされます。その結果をもとにDXなどの戦略をいち早く立案しビジネスを推進することは企業の競争力を間違いなく強化するといってよいでしょう。