多くのPayサービス
Payサービス
~Payのメリットと多くのPayが生まれる理由~<後半>
Payサービスの種類
前回は、Payの仕組みやメリットについてお伝えしました。今回は実際のPayの種類やさまざまなPayが存在する理由などについて解説していきます。
キャリア系
キャリア系にはPayPay、d払い、au PAYなどがありますが、その中でもPayPayがユーザー数は一歩先を行っています。その理由はなんと言っても実店舗での取り扱いが多いところです。PayPay は2018年から2019年にかけて2回にわたる100億円キャンペーンなど、大々的なポイントバックキャンペーンを実施し、他のPayよりもいち早く知名度をあげて取り扱い店舗が拡大しました。
EC/フリマ系
EC/フリマ系としては、楽天ペイ、メルペイ、Amazon Payなどが挙げられます。楽天ペイは楽天市場を中心に、現在では楽天モバイルや徐々に店舗系にも進出しており、メルペイも同様に実店舗での取り扱いが増えています。
SNS系
SNSではLINEやTwitterが送金機能を持っています。またPayとは異なりますが、Youtubeでもチャットでスーパーチャットといわれる、Youtuberに対する投げ銭ができるようになっています。LINEはリアル・オンライン店舗ともに加盟店も徐々に増やしています。
銀行系
銀行系Payの特徴は、銀行Payを導入している金融機関の口座さえ持っていれば決済を行うことができるという点です。銀行Pay以外にもBnak PayやゆうちょPayなどがあり、それぞれ加盟金融機関が異なります。使える実店舗はまだこれから増えるといってよいでしょう。
流通/小売系
流通/小売系にはイオンのWAON、コンビニでは有名なセブンイレブンのnanacoなどがあります。WAONはイオングループのみならず、多くの企業・店舗で導入が進んでおり、日本航空のマイレージとも連携しているところは特徴です。
その他
最近出現したPayに宅配系のにゃんPayがあります。にゃんPayはヤマト運輸営業所とセールスドライバーの対面集荷で利用できるQRコード決済サービスで、宅急便の運賃のほか、包装資材の料金などに利用できます。最大の特徴は、宅急便運賃割引です。ヤマト運輸公式アプリの新たな決済サービスとして展開してクロネコメンバーズ向けに割引サービスや利便性向上をはかろうとしています。
このように、各業界での〇〇系というPayが存在します。さまざまなPayが各業界内競争、業界を超えて連携した競争を生き抜くべく出てきています。
なぜいろんなPayがあるのか?
もともと日本ではキャッシュレス化が遅れて、現金が主流でした。先進国はもちろんのこと、発展途上国でのキャッシュレスの方がむしろ速く進んでいるという状況でもありました。
これは、日本が導入に消極的で遅れている、と一概に断定できることでもありません。海外で導入が比較的速く進んだ理由には治安問題など、キャッシュレス化をしなければならない理由があったからだといわれます。日本では治安が極めてよいため現金所持でも問題はなく、キャッシュレス化の必然性が海外に比べて少なかったといわれます。ただし前回述べたメリットの面からも現在急速に進もうとしています。
もう一つの理由にPayを運用する企業側の事情があります。今回は述べていませんが、テクノロジーの進化により電子決済をすることによって、消費者の膨大な行動データが取得できるようになりました。このデジタルデータは消費者行動のファクトとして、マーケティングに使える非常に重要なデータとなります。企業の競争力を強化するためにこの決済データは強力な武器になるのです。
いろんなPayが乱立しているのもそのためです。基本的にPayは企業が運営するために決済データはすべて運営企業に集まります。そのため決済を握ることが企業にとって非常に重要なのです。その決済を握るために、◯◯Payがどんどん増えているのは、利用者側の利便性に加えて企業側の事情が非常に大きいのです。
したがって、消費者側としてはたとえば「PayPayだけで統一される」というのが利便性としては望ましいともいえますが、そうなるとソフトバンク社の寡占状態となるでしょう。市場の原理としては寡占状態になるとサービスが低下します。市場には複数のプレイヤーが存在してこそサービスが進化する、という宿命があるため、今後も複数のPayは存在し、むしろ新規参入も増えるのではないでしょうか、しかし、業界を超えた相互乗り入れやテクノロジーの進化により、さらなるDXの先には「新しいPay」の出現も期待できます。
まとめ
現在のスマホは数十年前のスーパーコンピューターの性能をも凌ぐといわれます。また5Gも普及状態に入っており、ほんの10年前にはこのような高速かつ安定した通信が生活に溶け込むとは想像できませんでした。デジタルテクノロジーが進化する度に、企業だけでなく、市場も劇的に変化しDXが起きているといえます。今後もPayがどう進化していくかは注目に値する、といってよいでしょう。