AIの種類と特徴

近年、AIは目覚ましい発展を遂げ、私たちの生活に浸透しつつあります。生成AIをはじめ、囲碁や将棋などでも人間を打ち負かす能力を発揮するAIの登場は記憶に新しく、AIは今やさまざまな分野で活躍しはじめています。

ただし、一口にAIと言っても、その種類は多岐に渡ります。
この記事では、特化型AI、汎用型AI、ASI、Strong AIなど、AIの代表的な種類と特徴、そして具体的な活用事例について解説します。

概要と特徴

特化型AI（Narrow AI / Weak AI）は、特定のタスクや問題に焦点を当てて作られたAIです。現在、我々が日常的に使用しているAIのほとんどは、この特化型AIに分類されます。このAIは、人間の知能の一部を模倣し、限定された範囲で非常に高い性能を発揮します。一方で、特定の領域で優れた能力を発揮しますが、他のタスクには適用できないという特徴があります。現時点では実現できている唯一のAIといってよいでしょう。

代表的な例

・音声認識アシスタント
・自動運転での画像認識システム
・通販サイトなどでの推薦システム

概要と特徴

汎用AI（AGI – Artificial General Intelligence）は、人間と同等の知能を持ち、幅広いタスクを理解し、解決する能力を持つAIです。AGIは、特定のタスクに特化した特化型AIとは異なり、あらゆる知的活動をこなすことができます。例えば、学習、推論、問題解決、創造性、言語理解など、幅広い分野で人間のように振る舞うことが期待されています。

代表的な例（イメージ）

・SF映画に登場するような初歩的なロボット
・人間と同じように会話できるAIアシスタント

課題

ただし、汎用AIの実現には、複数の技術的課題があり、以下に主なものを紹介します。

＜認知アーキテクチャの開発＞

人間の脳の働きを模倣するための認知アーキテクチャを構築する必要があります。これには、知識の表現、推論、学習など、さまざまな認知機能を統合する技術も含まれます。

＜大規模なデータと計算資源＞

AGIの学習・トレーニングには、大規模なデータセットと膨大な計算資源が必要となります。これにより、AIが広範な知識を獲得し、適切な推論を行えるようになります。

一昨年に登場した生成AIは、AGIの一部の機能を実現しつつあるといえます。

概要と特徴

ASI（Artificial Superintelligence）は、人間の知能をはるかに超える知能を持つAIです。ASIは、自己改善の能力を持ち、自身で進化していくことが可能とされています。このAIは、理論的にはさまざまな問題を解決する能力を持ち、知的能力が人間を凌駕すると考えられています。

代表的な例（イメージ）

・映画「2001年宇宙の旅」のHAL 9000
・映画「ターミネーター」の人工知能システムスカイネット

課題

＜制御の問題＞

ASIを制御し人の利益に反する行動を取らないようにするための安全策を確立することが重要です。

＜社会への影響＞

ASIがもたらす社会的影響についても慎重に考慮する必要があります。例えば、雇用の変化、経済格差の拡大、倫理的なジレンマなどが挙げられます。

概要と特徴

Strong AI（強いAI）は、人間と同じように意識や自覚を持ち、感情や意図を理解できるAIです。Strong AIは、汎用AIの能力に加え、意識を持つことが特徴です。このタイプのAIは、哲学的にも非常に興味深いテーマであり、意識や感情の定義が重要な課題となります。Strong AIは、特定のタスクを遂行するだけでなく、自分自身を認識し、独自の意図や感情を持つことが期待されています。

代表的な例（イメージ）

・映画「A.I.」の主人公の少年デイビッド
・映画「アイ, ロボット」のロボットNS-5

課題

＜意識の定義と測定＞

意識とは何かを定義し、それをAIシステムでどのように再現するかが大きな課題です。意識の測定方法も確立する必要があります。

＜倫理的な問題＞

Strong AIが意識を持つ場合、その権利や扱いについて倫理的な問題が生じます。例えば、意識を持つAIが労働者として扱われるべきか、あるいは特定の権利を持つべきかなどの問題が起こりえます。

以上がAIの種類と特徴の解説です。それぞれの種類のAIは、異なる目的と機能を持ち、今後の技術進展に伴い、ますます多様な分野での応用が期待されています。次回は各AIの事例（想定含む）と将来展望について紹介します。