ITIL®︎4とは？

ITILは「Information Technology Infrastructure Library」の略称で、ITサービスマネジメント（ITSM）の成功事例と重要なポイントを集約した書籍群のことです。IT技術の進歩やビジネス環境の変化に合わせて、内容が随時更新されています。

元々ITILは1989年にイギリスで発表され、時代とともにITIL v2やITIL v3、ITIL 2011editionへと改版されてきました。そして、2019年に発表されたのが、ITILの最新版であるITIL4です。
アジャイル・DevOpsなどの新たな概念に対応した、システム開発やIT部門のプロジェクトマネジメントに関する内容となっています。

ITIL 2011editionがリリースされた2011年の後、スマホの普及などに伴い、ITは私たちの生活のなかに急速に普及しました。
例えば、クラウド・ビッグデータ・AI・4G／5Gなど、さまざまなIT技術の発展によって、私たちユーザーのITリテラシーも向上しました。多くの人がインターネットを活用し、スマートフォンやパソコンなどからサービスにアクセスして、情報を収集・活用し、ITは今や生活には必需となっています。
このような時代の変化に伴い、新たなITSMの成功事例を収集したものがITIL4です。これからは、最新のITを活用できるかどうかが大きな課題となります。

ITIL v3とITIL4は、ITサービスマネジメントに対する考え方や、使われている用語に違いがあります。ITIL v3では、サービスプロバイダが顧客に対して一方的に価値を提供するという考え方が採用されていましたが、ITIL4では、双方が価値を共創するという考え方に更新されています。

また、ITIL v3の「4つのP」が、ITIL4では以下の「4つの側面」に変更されました。
●組織と人材
●情報と技術
●パートナーとサプライヤ
●バリューストリームとプロセス

ITIL v3の「プロセスと機能」に含まれていた内容は、ITIL4では「プラクティス」に再編されました。
また、新たに「アジャイル」「DevOps」「リーン」「ガバナンス」という4つの要素が追加され、今の時代に適したITILへとバージョンアップされています。

ITIL4は要素だけでなく、新たに定義された概念もあり、以下の４つを次章で詳しく解説します。
●サービスバリューシステム
●サービスバリューチェーン
●プラクティス
●バリューストリーム

●サービスバリューシステム

サービスバリューシステムとは、ITIL v3のサービスライフサイクルに代わる概念です。サービスライフサイクルは安全なITサービスを安定的に提供するための枠組みでしたが、技術の進歩に合わない部分も出てきたため、サービスバリューシステムへと変更されました。
サービスバリューシステムは、ITサービスの機会や需要が、サービスバリューチェーンを通じて価値へと変換されるまでの流れをモデル化したものです。

●サービスバリューチェーン

サービスバリューチェーンとは、ITサービスを開発・管理する方法を体系化したものであり、構成要素は以下となります。

＜計画＞

ITサービスやマネジメントについて、現在の状況や事業のビジョンなどを踏まえた計画を立てます。

＜改善＞

サービスとプラクティスに対して、継続的な改善を行います。

＜エンゲージ＞

エンゲージとは、ITサービスに関わる事業者やユーザーのニーズを踏まえて、良い関係を築く活動です。

＜設計と移行＞

計画に従って求められる品質や開発期間、コストなどの条件をより具体的に設計します。

＜調達／開発＞

必要なリソースの調達やシステム開発などを行います。

＜提供とサポート＞

提供とサポートニーズを満たすITサービスを提供し、必要に応じたサポートも行います。

今回は、ITIL4の概要や、今までのITILとの違いを中心にITIL4の概念の前半までをお伝えしました。次回はITIL4の概念の後半と資格制度について解説していきます。

※ITIL（IT Infrastructure Library®）はAXELOS Limitedの登録商標です。