「DX時代の文書管理」を実現するシステム
「保管」から「運用」へ――DX時代の「動的」な文書管理とは?<後半>
文書管理システムの特徴
各文書のライフサイクルに合わせた管理や、法律で定められた電子文書の保存要件に効率的に対応するためには、DX時代の文書管理=動的な文書管理にアップデートする必要があります。そのための最適解の1つが、文書管理システムの導入です。
文書管理システムとは、文書ファイルや表計算ファイル、PDF、CADで作成した図面データ、印刷用のカラーデータ、その他動画・音声データも含め、さまざまな形式の文書を電子化して一元管理できるシステムです。あくまで文書の保管・保存場所(ストレージ)であるファイルサーバーと違い、動的な文書管理に必要なさまざまな機能を備えています。
文書管理システムの管理画面 ※画像出典:上下とも株式会社クレオ『QuickBinder』
動的な文書管理を実現する機能
製品によっては他ツールとの連携やオプション利用が必要なケースもありますが、一般的な文書管理システムは次のような機能を搭載しています。
業務効率化に関わる機能
<高度な検索機能>
ファイル名での検索だけでなく、全文書を対象に文字列(キーワード)で検索する「全文検索」、ファイル作成日などで検索する「属性検索」、さらに複数の検索方法を組み合わせての検索など、高度な検索機能を備えています。
<バージョン管理機能>
文書ごとに「いつ誰がどのように変更したか」という変更履歴を確認することが可能です。また、簡単に最新バージョンにアクセスできるので、誤って古い資料を使用するリスクがなくなります。文書の更新があった際に自動通知する機能を持つシステムもあります。
<重複アラート機能>
新たな文書をアップロードする際に既存の文書との重複の有無を判定し、既に同じ文書が存在していた場合にはアラートで通知してくれます。
<ワークフロー機能>
ワークフロー機能の利用または外部ワークフローツールとの連携により、文書の申請~承認プロセスの自動化や、承認後のシステムへの自動登録が可能になります。
セキュリティ・コンプライアンス強化に関わる機能
<アクセス権限、操作ログ管理機能>
ファイルまたはフォルダごとの閲覧・編集権限の設定や、社外からの機密性の高い文書へのアクセスを制限することが可能です。仮に不正が発覚した場合も操作ログを確認して追跡できるので、セキュリティリスクを低減できます。
<DLP (Data Loss Prevention)>
機密性の高い文書に対して、ダウンロード後、ファイルを開けないようにしたり、編集・印刷・画面キャプチャを実行できないよう設定したりすることが可能です。
<期限管理機能>
保存期限が定められた文書について、期限終了前の関係者への自動メール通知や、期限終了後の自動削除(または別の場所への自動アーカイブ)などの設定ができます。
また、電子帳簿保存法に関する認証制度「JIIMA認証」を取得したシステムであれば、前回紹介した改正電子帳簿保存法の保存要件(「真実性の確保」「可視性の確保」)に対応する機能を備えています。
DXの第一歩に最適な取り組み
上記以外にも、業務に役立つ資料を部署で共有できる配信機能など、多様な機能を備えている文書管理システムもあります。とはいえ当然ながら、どんなシステムも導入するだけで即効果があらわれる訳ではありません。事前の手順・ルールの策定はもちろん、社員の抵抗感を軽減するため、導入目的の周知やすり合わせは必須です。
また、前半記事で「DX時代の文書管理=動的な文書管理は『管理』よりも『運用』に近いアプローチ」と述べましたが、導入後はPDCAサイクルを回すなどして、継続的な改善を重ねていく必要もあります。
あらゆる業務に関わる文書管理は、企業活動の根幹を支える重要業務。その業務をシステムによってアップデートすることは、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)やプロセス管理ツールの活用と同じく、DXの第一歩として最適な取り組みと言えるでしょう。