MaaS(マース)とは
交通DX ~MaaS(マース)がもたらす交通と都市のDX~<前半>
MaaS(マース)の概要
「自動運転」や「オンデマンド交通」「MaaS」などの言葉を一度は聞いたことがないでしょうか?おそらくどこかでは聞き覚えがあると思います。デジタル技術の発展はめざましく、さまざまなテクノロジーが交通分野にも導入されはじめています。その進歩のスピードは早く、その中でも今回はMaaS(マース)と言われる交通のDXである新しいデジタルサービスを紹介します。
MaaS(マース)とは「Mobility as a Service(モビリティ・アズ・ア・サービス)」の略であり、直訳だと「サービスとしてのモビリティ」です。IT業界で使われるIaaSやSaaSなどのインターネットを通じて提供されるさまざまなクラウドサービスの形に沿ってMaaSと呼ばれます。
MaaSも基本的にインターネットを使ってクラウドで提供されるサービスです。なお、広義な意味では「サービスとしてのモビリティ」は既存の鉄道やバスも、その一部に該当します。
具体的には、「さまざまな形態の輸送サービスを統合した、オンデマンドでアクセス可能なモビリティサービス」を指します。MaaSは利用者の要求を満たすために、公共交通であるバスや鉄道・ライドシェア・カーシェア、自動車シェア・タクシー・レンタカーなどさまざまな交通手段を使うための便利なメニューを提供します。
簡潔にいうと、MaaSとは「デジタル技術を活用してマイカー以外の移動をシームレスにつなぐ」という概念を実現するサービスのことを指します。
わかりやすいのは、経路検索アプリで「Yahoo検索」や「駅すぱあと」などがこれにあたります。決済や交通機関連携など高度な機能はまだ提供されていませんが、MaaSのはしりとして早くから多くの人に馴染みがあるサービスです。
MaaS(マース)のレベル分け
次に、MaaSのレベルについて解説します。
スウェーデンのチャルマース工科大学による研究では、MaaSサービスを統合の範囲でカテゴライズし、レベル0からレベル4までの5段階に分けています。
【レベル0】統合なし(サービスは一つのみ)
提供される交通サービスは一つで統合されていない状態です。
【レベル1】情報の統合(複数ルートの交通・料金が提案される)
目的地までの移動に関する情報が、複数の交通サービスの運賃・所要時間・行き方などで提案され「複数の情報の統合」がされている状態です。経路検索サービスなどの乗り換え案内がその一例です。
【レベル2】予約・決済情報の統合(検索・予約・決済が一括で可能)
複数の交通サービスを利用しながらスマホアプリなどで予約と決済もできる状態です。
【レベル3】提供サービスの統合(契約・支払いサービスなどの統合)
交通事業者間の連携が進み、目的地まで複数の交通サービスを利用しても料金が合計されて一度の決済で済むなどサービスが統合されている状態です。
【レベル4】政策の統合(官民の連携)
民間だけでなく地域の交通として、国・自治体・民間交通事業者が交通のあり方をひとつの政策として協議・推進する最も進んだ状態とされます。
現状では、国内外問わずレベル4には届かず、公的機関・企業などの組織ごとに開発・研究が進められている状況です。
日本では経路検索サービスや乗り換え案内などの普及が進んでいる一方で、予約や決済はまだそれぞれの交通機関で手続きが必要なことがほとんどで、レベルは1~2の状態です。
今回、MaaSの概要や、MaaS(マース)のレベル分けについてお伝えしました。そしてMaaSの現状はまだまだのレベルということも分かりました。
そして、現状のレベル1~2と言われる状態をさらに上げるために、さまざまな取り組みが行われています。次回は進み始めたMaaSの海外での事例や、国内での取り組み、そしてMaaSの課題、スマートシティと言われる都市のDXの一部として、今後進むであろう交通DXとしての将来像、などについてお伝えしていきます。