デジタルトランスフォーメーションをもっと身近に

業務自動化促進

2022年1月31日

MaaSの事例、MaaSの課題と都市のDX

交通DX ~MaaS(マース)がもたらす交通と都市のDX~<後半>

MaaSの事例

■海外での事例

「Whim」フィンランド

Whimとは、フィンランドのヘルシンキにあるスタートアップ企業「MaaS Global」が開始した世界初のMaaSサービスです。2016年に実証実験を行った後、ヘルシンキで正式にサービスを開始しています。
毎月定額もしくは都度の支払いが可能で、最初にポイントを購入しポイントで交通機関に支払います。目的地を入力すると、いくつかの交通手段から最適な移動ルートを自動検索し、交通機関への予約から決済までを一括して行います。
利用できる交通手段は、電車・バス・タクシー・バイクシェアなどで、利用者がスマホアプリを提示するだけで、交通手段を利用できます。

■日本での取り組み事例

「MONET」トヨタ自動車×ソフトバンクの共同開発

MONET は2019年2月1日にトヨタ自動車とソフトバンクが共同出資して開始したMaaSの提供を目指す事業体です。その後、MONETには本田技研工業・日野自動車・いすゞ自動車・スズキ・スバル・ダイハツ工業・マツダが資本参加して、モビリティの課題解決に取り組んでいます。
実際には以下のような実証実験が進められています。

【群馬県富岡市(オンデマンド)】
既に存在している幹線バス、コミュニティバス・オンデマンドバスを統一し、市内全域を走る小型のオンデマンドバスとしました。そして利用者はMaaSによりオンデマンドでバスを呼び301か所のバス停から乗降できるようになりました。

【長野県伊那市(医療MaaS)】
医療MaaSとしてモバイルクリニックバスを運用しています。車両には看護師が同乗し、患者が搭乗時には遠隔モニタで医師と会話し指示のもとで問診や診療を行うことができます。

【広島県東広島市(自動運転)】
MaaSサービスを活用して自動運転シャトルを運用しています。まだ実証実験なので乗務員は同乗していますが、往復5kmのコースを自動運転で走っており、自治体と知見を蓄積しています。

そして、これらのサービスの円滑な利用を可能にしているのがMaaSである「MONETアプリ」です。「MONETアプリ」では、車両情報の一元管理が可能であり、その車両情報を使って運行管理を効率化できます。事業者はその車両情報を使いながら、オンデマンドバス・モバイルクリニック・自動運転などのサービスを提供でき、利用者の利便性アップを図っています。

「自動運転」や「オンデマンド交通」「MaaS」などの言葉を一度は聞いたことがないでしょうか?おそらくどこかでは聞き覚えがあると思います。デジタル技術の発展はめざましく、さまざまなテクノロジーが交通分野にも導入されはじめています。その進歩のスピードは早く、その中でも今回はMaaS(マース)と言われる交通のDXである新しいデジタルサービスを紹介します。

MaaSの課題とMaaSがもたらす交通と都市のDX

■MaaSの課題

前回述べたように日本ではMaaSのレベルはまだ1~2と考えられています。そして、現状では以下のような課題があるため、レベルが上がらない要因ともなっており、早急な対策が必要と考えられています。
・データ連携を行うためのプラットフォームが存在しない
・交通事業者間の連携が少ない
・地方交通機関が衰退している
・道路運送法などの法律による制限がある

一方で、これら課題を解決するためにも、前述したように海外の事例なども参考にして日本国内でもMaaS活用に向けて実証実験が進んでおり、普及に向けた取り組みも活発化しています。今後は徐々にMaaSの実装も進むと考えられており、さらにスマートシティなどで都市のDXで中核をなすのがMaaSとも考えられています。

■MaaS(マース)がもたらす交通と都市のDX

都市(スマートシティ)では、DXが進み、生活のさまざまなシーンでデジタルテクノロジーが活用され便利になると考えられています。そして市民の移動手段に関しても同様で、MaaSが大きな役目を果たすと想定されています。MaaSによりスマートシティでは、電車・バス・カーシェアリング・自家用車・自転車に至るまで、さまざまな移動手段が統合され、新しいライフスタイルが創出されることになるでしょう。
これらのすべてがスマートフォンさえあれば簡単に利用でき、自家用車を持つことがなくても、乗りたい時間に、最も近い道のりで、安価に移動できるようになります。またMaaSにより交通サービスと購買・決済などのさまざまなサービスが一元的に結びつき、都市内のサービスを有効に活用できるようになるため、生活の質も向上します。

■まとめ

交通とデジタルテクノロジーを結びつけるこのMaaSこそが、交通DXを進めるための起爆剤と考えられています。そして現在まさにさまざまな実証実験が進められており、近い将来に普及し始めると思ってよいでしょう。
また、都市の要となる交通DXを進める重要なファクターとしてMaaSは、スマートシティを成功に導くカギとも考えられています。交通のDXとして、今後はMaaSが目を離せないと言ってよいでしょう。

share
  • AI-OCRエンジンを採用、RPA連携による完全自動化のOCRサービス「CREO-OCR」
  • BizRobo!を月額6万円から利用可能、従量課金RPAサービス「CREO-RPA」
  • サービスデスク
  • プロセス管理
  • クラウドシフト
  • 人事給与
  • ハイブリッド購買
  • 情シス
  • 社労士
  • 会計士
  • Method
  • DXセミナー

記載された商品名・製品名は各社の登録商品または商標です。