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2022年4月25日

デジタルツインのメリットと取り組み状況

デジタルツインとは?~DXで注目される「デジタルツイン」~<後半>

前回、デジタルツインの概念や仕組み、DXでの必要性、テクノロジーなどについて解説しました。今回はさらに具体的な導入のメリットや取り組み事例をお伝えします。

デジタルツイン導入のメリット

■ 品質の向上

デジタルツインでは、仮想空間で製品の試作を繰り返しトライ&エラーを行うことができるため、製品の品質を向上させることができます。たとえば、試作品の3Dで検証すると、内部構造まで確認ができ熟練工による「勘と経験」に頼っていた分野も事前に検証ができるようになり品質が向上します。

■ リスク低減

事前にデジタルツイン上で誰もが見える形で検討ができるため、複数の人による知見・意見が集約され現実世界のオペレーションの前にリスクの低減をすることができます。

■ コストダウン

試作品の製造を仮想空間上で行うため、部材費用などが不要となりコストダウンができます。また、外国など遠地にある工場の監視は、今までは出張して現地で見る必要がありましたが、デジタルツイン上で確認することで出張費削減など大幅なコスト削減に繋がります。

■ インフラメンテナンスの充実

ダムや橋などの社会インフラをデジタルツインにすると、状態のモニターが常時できるようになり、効率的なメンテナンスが可能になります。

■ 柔軟なオペレーション

製品仕様や工程の変更など変化の早いビジネスに対応するため、事前にデジタルツインによってシミュレーションを行うと、最小限の時間・リソースで柔軟に現場での対応を行うことができるようになります。

デジタルツインの取り組み事例

最後に、デジタルツインの取り組み事例を紹介します。

■ 製造業

ドイツの大手企業であるシーメンスは、DXを実現するためのサービスとして、デジタルツインソリューションを提供しています。機械・制御設計・製造工程・保守工程などを、さまざまなデータでつなぐことで、デジタルツインを実現するソリューションです。このデータを連携したデジタルツインソリューションを導入した企業では、開発期間を30%短縮させ、新製品の早期開発、コスト削減を実現した事例がでているということです。

■ スマートシティ

シンガポールはバーチャルシンガポールといわれ、都市自体のデジタルツインが進んでいます。たとえば、都市での工事計画におけるデジタルツインの活用で、建設後の人や車の流れの変化をシミュレーションできるほか、交通情報をリアルタイムで共有し、渋滞緩和策や工事の効率化のための検討が行われています。

■ 災害対策

富士通ではデジタルツインを活用して、台湾でのスマートダムで実証を行っています。デジタルツインで仮想空間にリアルなダムを再現し、水位・上流の河川の情報・ダムが放出した水の推移などをリアルタイムで監視しています。
情報をリアルタイムで収集し、台風などで災害が起きそうなときにデジタルツイン上のシミュレーションにより状況を予測できます。異常時には、ドローンをデジタルツイン上で指示して飛ばし、撮影した映像を仮想空間に送り、実際の画像を知ることができます。

まとめ

デジタルツインはまだ一般的にはあまり馴染みのないテクノロジーです。ところが海外の事例のように既に身近に取り入れられている現実もあります。解説したとおり国内でも実践が始まっており、さまざまな分野で実際に適用される例も増えていくでしょう。DXが進むにつれ都市そのものがデジタルツインで再現されるなど、まさに映画の世界のようなことが起こりはじめているのです。今後、デジタルツインはDXの重要なテクノロジーの一つとして目が離せないといってよいでしょう。

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