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業務自動化促進

2023年10月30日

システム運用保守のDXを実現する手法

ITシステム運用保守のDX
~「ゼロタッチオペレーション」「AIOps」「NoOps」~<後半>

前回は、なぜシステム運用保守のDXが今必要なのか、さらに主な課題や、余剰を生み出すことが重要ということについて解説しました。今回は、このシステム運用保守のDXを具体的に進めるための代表的な3つの手法について紹介します。

「ゼロタッチオペレーション」

ゼロタッチオペレーションは、ITの運用保守を根底から変えるともいわれています。文字通り、人手を介さずに運用保守を行うという意味で、たとえばトラブルが発生したときにすべて自動で復旧することなどを指します。近い意味を持つ用語として、後述する「AIOps」や「NoOps」なども広まりつつあり、運用保守の自動化は新しいトレンドになりつつあります。なお、運用保守の自動化はリソースを削減して効率化を図るだけでなく、社会的課題ともいえる、近年のIT技術者不足という大きな問題の解決策としても期待されています。

ただし、現時点での技術では完全に人手を排除して、すべてのシステムを運用保守することはまだ難しい状況です。しかし、運用保守の部分的な業務を自動化する技術はでてきています。たとえば、有名なものとして仮想化ソフトウェアでは、サーバーに不具合が発生したときには、異常が発生した部分を切り離して自動で復旧します。また、システム負荷を監視するソフトウェアと連動し、システムが過負荷と判断するとリソースを自動で追加するオートスケールという機能なども登場しています。

しかし、これらの機能・仕組みを利用した部分的な自動化では、運用保守のドラスティックな自動化とはなりません。システムの故障によるシステムダウンの回避は自動で行われたとしても、完全なデータの復旧の最終確認などは人手で行うなど、運用保守はさまざまな手順から成り立っているため、大きな効果をだすためには、今後、多くの部分を自動化していく必要があります。
このように、ゼロタッチオペレーションの具現化はまだこれからともいえますが、部分的とはいえサーバー故障時の復旧作業の完全自動化サービスを提供する企業もでてくるなど、この分野は今後急速に進む可能性もあります。

「AIOps」

AIOpsとは、「Artificial Intelligence for IT Operations」の略で、2016年にガートナー社によって提唱されました。ガートナー社は「ガートナー社によるAIOpsプラットフォームマーケットガイド」の中で、AIOpsプラットフォームのことを、「ビッグデータと人工知能 (AI) または機械学習と組み合わせて、可用性・パフォーマンス監視・イベント分析・サービス全体の管理と自動化といったさまざまなシステムのプロセスやタスクを改善・刷新するソフトウェアシステム」と説明しています。

具体的には、AIや機械学習を使って運用保守で利用するログなどのビッグデータを学習させ、業務の自動化・効率化を図る運用保守手法のことを指します。AIOpsを導入することで、サーバーやネットワークからはき出される大量のログデータを分析し、あるパターンなどを検出することが可能になります。これらをリアルタイムで自動化することにより、既存のシステム問題の原因を特定したり、今後起こりうる問題を予測したりできるようになるので、システム運用保守の監視の効率化や問題の予防ができるようになると考えられています。

「NoOps」

NoOpsとは「No Operations」の略で文字通りノーオペレーションの人手が不要になることを指します。従来からのDevOpsや新しくAIOpsなどを組み合わせ、従来の人手による部分も含めてシステムの運用保守の完全自動化を可能にするという考え方です。

一方で、NoOpsにより、運用保守のプロセスから人手を完全に排除しようとするのは非現実的であり、さまざまなリスク危険が伴うという意見も数多くあるのも実態です。NoOpsが、ハードウェアやソフトウェアの自動復旧やオートスケールなどに対応したとしても、自動化されたシステムが増えるにつれシステムの運用保守全体はより複雑化します。その場合、システムの自動化能力を超えた問題には、人間による監視の必要性がこれまで以上に高まるとの意見もあり、今後自動化は進むが、より高度な部分は人手で対応していく、というのが現実的とも考えられていす。

まとめ

これまで、一般的にDXの適用は、AIなどのデジタル技術の投入により、組織やビジネスモデルに全くの新しい価値を生み出すということにフォーカスされがちでした。しかし、どちらかというと受動的なシステムの運用保守の業務に関しても、このようにDXが求められています。
むしろ、この分野へのDXの適用により、解放されたIT人材・リソースがさまざまなDX分野に投入され、DX全体が加速されるようになるという、注目分野ともいえるでしょう。

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