デジタルトランスフォーメーションをもっと身近に

デジタル田園都市の実現に向けた取り組みとアプローチの種類

デジタル田園都市国家構想とは~都市のデジタル化で持続可能な地域作り~<後半>

デジタル田園都市の実現に向けた取り組み

デジタル庁は、総務省・経済産業省・文部科学省・国土交通省などをはじめ関係するあらゆる省庁や、大学をはじめとするアカデミックエリア、国内外の民間企業、地方自治体などがビジョンを共有して事業をなし、一丸となってデジタル田園都市を構築することが重要、としています。
以下に重要な取り組み内容について紹介します。

■時代を先取るデジタル基盤整備

5G・公共Wi-Fi・地方データセンターなどの世界最高水準のデジタルインフラの整備やデジタル公共サービス基盤を国と地方が一体となって構築します。

■先端的サービスの普遍的提供

主要なサービス分野(健康・医療・教育・防災・モビリティなど)では国が基本パッケージなどの必要なツールや知見を開発し積極的に地域に提供します。

■デジタルの恩恵を地域が享受するための制度整備

新デジタルサービスの実装に向けた制度改革・人材育成・開発活用の仕組み・地域通貨活用などの事業の環境整備をデジタル庁と各自治体が連携し実現します。

■地域産業の高度化

スマート農業・ドローン配送などのデジタル技術を活用し地域産業を若者にとって魅力のあるものに変革する。

地域のベンダーを含め地場企業の新たな活躍の場の創出を行う。

■産官学一体となった事業環境の構築

たとえば、官民連携をして次世代型サテライトオフィスのモデルを全国各地に創設する。そして国内外のVCとも連携し地域大学にスタートアップ環境を整備する。

■大学/高専を中核とした地域の高度化

大学や高専を核にデジタル技術等の先端知見を活用して地域課題を解決する。同時に先端人材を育成し、産官学で人材を好循環させる。

■地域のWell-being(幸福度)の向上と持続可能性の確保

地域毎にWell-being指標を定期的に測定し、KPIを設けて常に改善を図る。

■継続的発展のための枠組み

オープンデータなどを活用し地域経済の見える化をする。目標数値に向けて、地域の事業者を巻き込んだ、デジタル田園都市産業の成長サイクルを設計しデジタル人材体制を整えて推進する。

デジタル田園都市のさまざまなタイプ・アプローチ

最後に地域の特性によりさまざまなデジタル田園都市のタイプが想定されており、それらを紹介します。

①スマートシティ/スーパーシティ型

スマートシティは全てのサービスに関してデジタル技術の導入を図り、総合的なまちづくりを目指すタイプです。このなかでも、大胆な規制改革を必要とする場所は国家戦略特区として指定されスーパーシティと言われます。特にスマートシティでは全国のさまざまな市町村で検討が始まっています。そのため最近多くの補助金が募集されており、各省庁の情報を常にウォッチしておくとよいでしょう。

②MaaS発展型

MaaS(マース:Mobility as a Service)をベースに、交通網を生活サービスの主としたビジネス化を図り新たなMobility生活圏の構築を行います。人口減により地域では公共交通機関の撤退なども進み始めているため、MaaSの導入を契機に地域の活性化を図ります。

③地域経済循環モデル型

サステナビリティの観点から、循環型のモデルを目指します。例えば、蓄電池を活用した新たなエネルギー需給管理や、水素エネルギーなどを活用した新事業モデルなどです。

④スマートヘルスケア先行型

スマートヘルス・スマート農業・生体認証などを組み合わせ、高齢者が働きながら安心して暮らせるまちづくりを目指します。

⑤防災・レジリエンス先行型

頻発する災害時にしっかりと対応するため、データ連携基盤などを導入し、災害・緊急時に強い都市を目指します。

⑥スマートホーム先行型

スマートホームと言われるデジタル基盤などを装備した、デジタル家電などと連携する新しい住まいのコンセプトを中心としたまちづくりです。

まとめ

政府はこの施策を、コロナ渦を契機とした働き方のリモート化も活用し、地方の活性化を一段と進める予定です。補助金も21年度補正予算と22年度当初予算案で総額約6兆円を投入し本格的に推進します。地方のデジタル化を推進する人材を2022年度からの5年間で230万人確保するとも言っています。昨年発足したデジタル庁の進める全国自治体内部のDX(RPA適用やオンライン手続きなど)の推進と合わせて、これからは地方のDXから目が離せない、と言ってよいでしょう。

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