デジタルツインとは?
デジタルツインとは?~DXで注目される「デジタルツイン」~<前半>
デジタルツインという言葉を聞いたことがあるでしょうか?耳慣れない感じもする一方で、何かの記事で見かけた覚えがある方もいるのではないでしょうか?今回は、最近広まりつつあるデジタルツインについて、定義やDXとの関係性などについて解説します。
デジタルツインの定義と重要性
■ デジタルツインの定義
デジタルツイン(Digital Twin)とは、文字通り、センサーやIoTなどで収集したデジタルデータを使い、まるで現実世界と双子であるかのような仮想空間をコンピューター上に再現する、デジタル技術のことです。
コンピューター上には、現場で収集した膨大なデータを元に、極めて現実に近い仮想空間ができるため、コンピューター上で現実世界のさまざまなシミュレーションが可能になります。
たとえば製造業では、自社製品の製造工程を改善する上でとても有効な手段となります。製造ラインの一部を変更するにしても、実際の機材を変更する前にコンピューター上にあるデジタルツイン上でテスト・検証することが可能になります。
■ DXでのデジタルツインの重要性
DXを進める上での大きな課題のひとつに、日々取得している膨大なデータをどう効果的に活用するかということがあります。企業が蓄積するデータの量は年々増えており、非常に大きなものとなっています。DXが進むかどうかはこの眠っているデータをどう活用するかにかかっているといってもよいでしょう。
IoTで集めたデータをAIで分析し、AR(拡張現実)などで視覚的に見せることができるデジタルツインは、ビッグデータを効果的に活用する技術のひとつとして、DXと非常に密接な関係にあります。
データを中心とするDXの考え方においては、データを使って大きな力を発揮するIoT、AI、ARといった技術をフルに活用するデジタルツインはDXに欠かせないテクノロジーそのものといってもよいでしょう。
デジタルツインは、製造業においてもっとも注目されており、工場などの現場の膨大なデータをセンサーで収集、AIで分析し、仮想空間でモニタリング・シミュレーションなどをすることができます。デジタルツインは、製造現場のデジタル化・DXの切り札として、非常に重要な意味を持つテクノロジーです。
なぜDXでデジタルツインが注目されるのか?
■ デジタルツインが注目される理由
デジタルツインは一見映画の中の世界のようにも思えますが、現実に使えるようになってきているのです。このデジタルテクノロジーがさらに活用されるようになると、さまざまな産業のDX・イノベーションが進む可能性があります。先述のように製造業で先行して導入が進もうとしていますが、今後は、適用範囲はさらに広がると考えられています。
次に適用が想定されているのが、補修やメンテナンスを必要とする設備保全の業界です。さまざまな建築物などをデジタルツインで再現し効率的な設備保全ができると期待されています。
デジタルツインを活用できた企業が、DXをいちはやく実現し、業界をリードするといってもよいでしょう。
■ デジタルツインを実現するテクノロジー
ではデジタルツインとは実際にどんなテクノロジーで成り立っているのかを紹介します。
<IoT>
デジタルツインで現実世界を仮想空間に再現するためには、現実世界の膨大な情報を取り入れる必要があります。それを具現化するのが、さまざまなモノのデータを取得するIoT (Internet of Things) です。IoTの進化なくしてはデジタルツインの出現はなかったといってよいでしょう。
<AI>
IoTの進化で膨大なデータが取得できるようになり、これを効率的に処理するのがAIです。デジタルツイン上で膨大な現実のデータを高速に再現するためにはAIは欠かせないテクノロジーです。
<5G>
5Gは大容量のデータを超高速・超低遅延で送受信する仮想空間のリアルタイム再現には欠かせない重要なテクノロジーです。今後、デジタルツインでは5Gの活用は必須となります。
<AR・VR>
現実世界に情報を加えて拡張するのがARで、仮想空間を現実世界のように見せるのがVRです。デジタルツインは、仮想空間の中に予測値やエラー表示などのデジタルデータを表現するため、AR・VR技術は必須です。
今回は、デジタルツインの概要やDXでの必要性、テクノロジーなどを中心にお伝えしました。次回は実際の導入メリットや取り組み事例について解説します。