デジタルトランスフォーメーションをもっと身近に

「リスキリング」は人材獲得のための経営課題でもある

DX推進企業に求められる人材育成手法「リスキリング」とは?<後半>

国内企業のリスキリング事例

デジタル時代と呼ばれ、ビジネスで求められる知識・スキルが大幅に変化しつつある現在、日本でもリスキリングを実施する企業は増えてきています。

株式会社日立製作所のリスキリング事例

DX先進企業として知られる株式会社日立製作所は、AI技術者やデータサイエンティストといったDXエキスパートの育成と並行して、リスキリングにも積極的です。目的はDXで何ができるか、どうすれば顧客の課題をデジタル技術で解決できるか、ということを社員一人ひとりが判断できるようになること。2020年より、日立グループ全社員を対象に『デジタルリテラシーエクササイズ』というe-Learningプログラムをスタートさせ、DXの基礎からDXで最も大切だという課題定義の方法、プロジェクトを実行するためのプロセスやプランニングなどを学ぶ機会を提供しています。

参考1:企業における人財育成について~日立グループの取り組み~|経済産業省

参考2:社会イノベーションに求められる人財の力と生き方|株式会社日立製作所

富士通株式会社のリスキリング事例

富士通株式会社は、「2020年度経営方針説明」(2020年7月)においてDX企業へと変革するために必要な投資を積極的におこなっていくことを宣言。そこで内部強化に不可欠な取り組みとして挙げられていたのがリスキリングでした。その一環として、約13万人の全社員を対象に、イノベーション創出や課題解決に有効な「デザイン思考」を浸透させるための人材育成プログラムを実施。2021年には、同プラグラムの教材としても活用している『デジタルトランスフォーメーションに挑戦するデザイン戦略とサービスプランニング』というテキストブックをWeb上で公開しています。

参考1:2020年度経営方針説明|富士通株式会社

参考2:社デザイン経営に向けた富士通の取り組み|富士通株式会社

リスキリングで使える教育コンテンツ

リスキングの基本的な進め方については、リクルートワークス研究所の『リスキリングする組織 デジタル社会を生き抜く個人と組織をつくる』をはじめ、既に様々な場所で紹介されています。とはいえ、DXのビジョンや目標、戦略によって重視すべきスキルが異なるため、企業ごとに最適化することが大切です。

また、必ずしも前回・今回と事例を紹介した企業のように、自社で独自の教育コンテンツを開発する必要はありません。IT・デジタルに関するスキルは社内外共通のものが多く、外部コンテンツを利用することでコストを節約できる場合も多いからです。

例えば経済産業省とリクルートワークス研究所の資料では、Google、Microsoftなどが提供するマイクロ・クレデンシャル(自社が提供する講座修了者にスキル認定証やバッジを付与する仕組み)の有効利用を推奨しています。また、経済産業省と情報処理推進機構(IPA)が「デジタルに関する知識や能力を身に付けるための実践的な学びの場」として2022年3月に開設したポータルサイト『マナビDX』では、DXの基礎からAIやデータサイエンスの知識までを学ぶことができます。もちろん座学だけでなく、前回紹介したAT&Tの社内インターンシップ制度や社内副業制度を用意して、実務レベルに近いスキルを習得できる仕組みをつくるのも効果的です。

バブル崩壊後、日本企業の人材投資は右肩下りを続けていると言われています。その結果招いたのが、現在の日本のデジタル競争力の弱さかもしれません。ビジネスのあらゆる領域で変化を求められている現状にあって、リスキリングは企業・従業員双方にとってメリットの大きな取り組みです。何より、少子高齢化や個人の働き方・キャリア観の変化などによって企業と従業員の関係性が変わりつつある現在、成長意欲の高い優れた人材を獲得する、あるいはそうした人材に選ばれるための、重要な経営課題とも言えるでしょう。 

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