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マインド・スタンスの浸透がDXの重要課題である理由

DX成功に欠かせない7つのマインド・スタンス<後半>

自前主義を脱却せよ

経済産業省が『新たなDXリテラシー標準の検討について』という資料で挙げているマインド・スタンス。前回記事で紹介した「変化への対応」に続き、今回は残り6つのマインドについて解説します。

■「コラボレーション」

“何でも自前主義”は過去の遺物。外部パートナーとのコラボレーションを当り前のものとして意識できるか否かで、DXの可能性は大きく変わります。ベンダーや専門家との協働はもちろん、最近では他社とのデータ連携やオープンイノベーションによる成功事例も頻繁に目にします。組織の変革・全体最適を目指すDXにおいては、社内での部門横断チームの立ち上げや部門間協力も欠かせません。

■「顧客・ユーザーへの共感」

IT・デジタルの大きなメリットが、ユーザーに関する多種多様なデータを取得できること。商品・サービス開発からマーケティング、社内業務プロセスの改革に至るまで、活用しない手はありません。行動分析などを通じて、アナログ的なインタビューやアンケートでは取得不可能な、言語化されないニーズ・課題を発見することもできます。

■「常識にとらわれない発想」

DXとは「改善」ではなく「変革」を目的とした取り組み。そのためには、自社や業界の常識にとらわれない発想が求められます。といっても、最初からiPhone級のイノベーションを目指すのは現実的ではありません。まずは他社事例などを参考にしつつ、今まで人間がおこなってきた作業をITツールで自動化できないか、自社のITツール導入のノウハウをコンサルサービスとして商品化できないか、といったレベルから検討してみるのも良いでしょう。

失敗は成果と捉える

■「反復的なアプローチ」

DXのような新しい取り組みにおいては、施策の大小問わず、一度で成功するケースはほとんどありません。かのジェフ・ベゾス に「Amazonは世界一の失敗をする企業である」という名言もありますが、学びを得ることができれば「失敗は成果」と捉え、高速で仮説検証を回しながら、繰り返し改善・軌道修正していくプロセスが不可欠です。

■「柔軟な意思決定」

そもそもDXは企業がビジネス環境の激しい変化に対応していくための取り組み。決められた道筋が存在しないため、意思決定においても既存の価値観や承認プロセスにこだわらない臨機応変な対応が求められます。経済産業省の資料には、新しいITツールを導入する際、全社的に承認を得るには時間がかかるので支店の中でトライアル的に使い始めてみる、という具体例が挙げられていますが、こうした現場に任せる姿勢も重要でしょう。

■「事実に基づく判断」

かつてのアナログ中心のビジネス環境では、個人の勘や経験による判断が重視されていました。もちろんそれは現在も変わりありませんが、長い目で見るとあまりに非効率であることは否めません。最新かつ客観的なデータを取得できるのがデジタルのメリット。判断基準を明確にすれば担当者が変わっても精度が落ちませんし、仮に一度失敗しても次回の改善が容易です。また、新たな切り口でデータ分析することで、それまで見えていなかった真の課題や要因が見つかることもあります。

以上、今回は経済産業省の資料をもとにDXに必要なマインド・スタンスについて紹介してきました。まだα版ゆえ、今後細かい部分で変更が生じるかもしれませんが、現状の7項目はいずれも重要なものですし、大きく方向性が変わることはないはずです。

社会もビジネスも先行き不透明な現在、あらゆる業界で社員一人ひとりの行動変容が企業存続の成否を分けると言われています。そういった意味でも、行動の前提・基盤となるマインド・スタンスを浸透させ、意識改革を図ることこそ、DXにおいて何より重要な取り組みであると言えるかもしれません。

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