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働き方改革のDXによる進め方と事例

DXを実現する働き方改革
~DXを進める具体的な働き方改革とは?~<後半>

前回、働き方改革の目的や、3つのポイントについてお伝えしました。今回は働き方改革を実践するDXの4つのステップや事例について解説します。

働き方改革を実現するDXの「4つのステップ」

【ステップ1】どこでも働ける環境を作る

前回も解説しましたが、コロナ渦により在宅勤務などのリモートワークが広がりました。同時に多くの企業がネットワークをはじめとした、VPN・セキュリティ・VDI(仮想環境)などを使ったセキュアなモバイル環境を急務で整備しています。
加えて、制度面でもリモートワークのための設備的な手当てや補助などが求められます。追加モニター・電気代・エアコン費用などを会社から提供するケースも増えています。

【ステップ2】情報共有/連携を強化する

リモートワークの環境が整うと、次は情報共有/連携の強化が必要です。対面でのコミュニケーション機会が減るため、資料などをすべてデジタル化し情報共有を強化する必要があります。オンラインでの業務を円滑にするためには、Web会議ツール・クラウドファイル共有・チャットツールなども連携強化のために整備する必要があり、統合コミュニケーションツールの導入検討も重要です。

【ステップ3】生産性向上を図る

次に必要になるのが、業務プロセス・ワークフローの最適化とデジタル化です。オンラインだけのコミュニケーションになると、気軽に声をかけられない分、業務のステップやワークフローを明確にしておく必要があります。たとえば、マーケティングチームが獲得したリード情報を営業部門が案件化するなどの、プロセス・フローが常にデジタル・共有化されることで、生産性の向上が図れます。
このような生産性向上を図るための業務プロセスの改革を伴う際には、社員のメンタルケアも同時に必要でしょう。たとえばジョブ型・メンバーシップ型などそれぞれに適した評価制度を導入するなど、働き方の変化によって社員のモチベーションが下がらないように制度を工夫することも必要とされます。

【ステップ4】DXによるビジネスの拡大を目指す

最後に、働き方改革により業務の効率が上がり、社員のモチベーションもアップすると、この新しい力をDXによる新事業など振り向けることができるようになります。
ただし、DXによる新事業創出の推進は、IT部門の担当者が行うことではなく、企業の経営者によるDX推進の舵取りが求められます。働き方改革による社員のパワーアップにより、DXによるビジネス拡大が可能になるともいえます。

働き方改革のDX事例

・RPAの導入により約34万時間もの工数削減を実現(日本通運株式会社)

国内最大手の物流会社である同社は、多様化するサービスに対応するため、創造的な業務のために時間を創出する必要があると考えました。
そこで、RPAを導入し、業務の効率化を図りました。7業務に対してテスト導入を行うと同時にRPAの対象業務を社内から募集しました。また、社内のRPAに対する理解を深めるため、約18,000人を対象に「RPAとは何か」「RPAの活用事例」といったテーマでe-Learningを実施しリテラシーの向上を図っています。

この取り組みの結果、社内125の業務でRPAを活用し、34万1,567時間にも及ぶ業務時間の削減に成功しました。これにより、働き方改革につなげることができ、新しい事業への注力も始まっています。

・人事労務管理やモバイルインフラを整備してフルリモートワークを導入(富士通株式会社)

同社は、2020年7月に「Work Life Shift」というWorkとLifeを豊かにする未来の働き方や会社の成長を支える考え方を発表しました。
具体的には、フレックスやどこでも働ける体制などの制度面の整備や、デジタルテクノロジーで働き方を変革することです。
勤怠管理は、勤務開始と終了時にPCやスマートフォンのブラウザからソフトウェアで打刻します。さらに、PCの操作ログを取ることで、打刻時間と実際の業務時間の乖離がないかを確認し、長時間労働の防止と、適正な労働時間の把握を行っています。

インフラ面では、VDIと言われる仮想デスクトップ環境を導入することで、PCには一切データを残すことなく利用できるため、テレワーク・どこでもワークにいち早く対応することができました。
これら制度・テクノロジーでの対応により、働き方と生活での充実度が増すことによって、社内人材の流動性も実現します。DXを進めるための人材が社内外から集まりやすくなり、同社のDXの取り組みは加速しています。

まとめ

「働き方改革」は、リモートワークやRPAによる単純作業の自動化のことなどではありません。分かっているようで、実は全容が見えにくい面もありますが、目的や進めかたなどを整理してみることでDXとの関わりもよく見えてきたかと思います。
今後も人手不足が続くなか、デジタル・DX人材を確保するためにも引き続き「働き方改革」は進化していくでしょう。引き続き「働き方改革」には要注目です。

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