デジタルディスラプターとは
デジタルディスラプター
~デジタルディスラプションと生き残り戦略~<前半>
デジタルディスラプション
■ディスラプションとは
まず、ディスラプションとは「物事の秩序を混乱させる」という意味の英語のDisruptionのことです。では、ディスラプションとは、そもそもビジネスではどのようなことを指すのでしょうか?
ビジネスでは、他業界やスタートアップ等の競合によって業界のルールが再定義され、その業界の既存のビジネスモデルを一気に時代遅れにしてしまうことを指します。そして、ディスラプションでは具体的には「イノベーションのジレンマ」と「破壊的イノベーション」というプロセスを経ると考えられています。
―イノベーションのジレンマ
「イノベーションのジレンマ」とは、大企業がイノベーションの波に乗れずに転落していく仕組みを示すもので、ハーバードのクリステンセン教授が提唱した理論です。業界をリードしていた大企業が、新たな技術革新に直面し転落していく点に着目し、にこのような現象を引き起こすイノベーションのことを「破壊的イノベーション」と呼びました。
―破壊的イノベーション
「破壊的イノベーション」とは、「新興企業が発明した製品が売り上げを伸ばす⇒大企業も製品を改良し品質は高くなるが新しい製品とはならない⇒新興企業の製品が大企業の製品品質に追いつく⇒大企業の顧客は新興企業に奪われ、業界から転落する」といった流れのことを指します。
近年、この概念を経て、スタートアップなどによる新しいデジタル技術を用いた製品・サービスが、既存のものに取って代わる現象をディスラプションと呼ぶようになりました。
■デジタルディスラプションとは
「デジタルディスラプション」は前述のディスラプションがデジタル技術によって起こることです。例えば、手紙の例です。かつては、離れた場所にいる人へのコミュニケーション手段は手紙がポピュラーでした。しかし、電子メールなどを経て、今ではSNSなどでのやりとりが主流になっています。電話も同様で、公衆電話や固定電話が携帯電話に代わっています。デジタル技術が進化するにつれて、ツールやマーケットも激変を繰り返しているのです。
デジタルディスラプターとは
デジタルディスラプターとは、一般的にはクラウドやビッグデータ、IoT、AIなどのデジタルテクノロジーを活用することにより、既存の業界の秩序やビジネスモデルを破壊する企業を指し、スタートアップなどが多いです。
米国CNBCでは、2013年より毎年「Disruptor 50」というリストを発表しています。この「Disruptor 50」では未上場で、設立15年以内の企業が対象となるため、既に上場したAmazonなどの企業は出てきません。
このリストの特徴は、その時点での売上業績ではなく、企業の成長ポテンシャルを重視した評価を行っている点にあります。UberやAirbnbも早期にこのリストに選出されており、最先端ビジネスのトレンドを把握したり、新たな事業を構想したりする上では重要なリストです。
例えば2020年の「Disruptor 50」でリストアップされた企業では、2020年中に12社が上場し4社が買収されました。そのため2021年の「Disruptor 50」ではこれらの企業は外れ、新たに27社がランクインしました。このように、さまざまな業界のデジタルディスラプターが毎年、すさまじい勢いで入れ替わっており、業界の変革が劇的に進んでいることがよくわかります。
デジタルディスラプターにはさまざまなタイプがあり、「CNBC Disruptor 50」では以下の3つのタイプに分けています。
P(プラットフォーム)タイプ:プラットフォームで需要と供給をマッチングさせるデジタルディスラプター
B(ビジネスモデル)タイプ:常識を超えたビジネスモデルで差異を生むデジタルディスラプター
T(テクノロジー)タイプ:模倣できないような独自の技術を強みにするデジタルディスラプター
今回は、デジタルディスラプションとデジタルディスラプターについてお伝えしました。次回は具体的なデジタルディスラプターの事例を交えて、ディスラプションにより起こることやデジタルの役目などについて解説します。