ITIL®︎4の内容(後半)と資格制度
ITIL®️4とは?
~ITIL v3からの変更点や資格制度について~<後半>
前回は、ITIL4の概要や、今までのITILとの違いを中心にITIL4の概念の前半までお伝えしました。今回はITIL4の概念の後半と資格制度について解説していきます。
ITIL4の主な内容(概念)(後半)
ITIL4の主な内容(概念)としては以下の4つが新たに定義されたことをお伝えしました。前回紹介した、サービスバリューシステム及びサービスバリューチェーンに続き、プラクティスとバリューストリームを解説します。
●プラクティス
プラクティスとは、ITサービスの開発や提供を行うために組織に求められる具体的な実践項目のことです。ITIL v3の「プロセスと機能」に代わる概念として、ITIL4で新たに取り入れられました。全部で34種類あり、大きく下記の3分類に分けられます。
<ジェネラルマネジメントプラクティス>
ビジネスの運営に必要となる全般的な項目です。ITIL v3から継承された「戦略管理」や「ポートフォリオ管理」、「サービス財務管理」などが含まれます。ITIL4からは「アーキテクチャーマネジメント」や「リスク管理」などが加わり、全部で14種類のプラクティスがあります。
<サービスマネジメントプラクティス>
ITサービスの提供に関わる項目です。従来からあった「サービスレベル管理」や「サービス評価とテスト」などに、「ビジネス分析」や「サービスデザイン」など新たな項目を加えた全17種類のプラクティスがあります。
<テクニカルマネジメントプラクティス>
技術的な内容に関する項目で、ITIL v3にあった「展開管理」が大幅に変更され、新たな項目を加えた3種類のプラクティスから構成されます。
●バリューストリーム
バリューストリームは、ITIL4で定義されている「4つの側面」の内の1つです。顧客に価値を提供するプロセスの中で、誰がどのプラクティスにおいて何を行うかという一連の流れを指します。
ITIL4の資格制度
ITIL4の資格制度は、レベルや内容によっていくつかの種類に分かれています。そのため、求めるスキルに応じて最適な資格を取得することが可能です。
最も基礎的な資格は「ITIL4ファンデーション」です。ITサービスマネジメントに関する基礎的な知識や、日常業務における価値提供などを体系的に学べます。
より上位の資格が、「ITILマネージング・プロフェッショナル(MP)」と「ITILストラテジック・リーダー(SL)」の2つです。
「ITILマネージング・プロフェッショナル」の資格取得には、以下の4つの認定が必要です。
▶︎ITILスペシャリスト(作成・提供・サポート)
▶︎ITILスペシャリスト(利害関係者の価値を主導)
▶︎ITILスペシャリスト(ハイベロシティIT)
▶︎ITILストラテジスト(指示・計画・改善)
また、すでにITIL v3のマネージング・プロフェッショナルを取得済みの方向けの移行研修も用意されています。
「ITILストラテジック・リーダー」の資格取得には、以下の2つの認定が必要です。
▶︎ITILストラテジスト(指示・計画・改善)
▶︎ITILリーダー(デジタル&IT戦略)
これらの他、最上位資格の「ITILマスター」や、他の拡張資格も用意されています。
出典:ITIL4 資格制度
まとめ
このようにITILは1989年に発表されて以来、社会の動向をにらみながら次々と改変されてきました。特にスマホが社会に普及した2010年代からは、社会でのITの活用は劇的に加速しており、それにともなってITサービスの内容も多様化しています。ITサービスの提供側もこの変化にキャッチアップし生き残るためには、新しい取り組みやサービスの提供が必須となってきています。
そんななか、しっかりと人材を確保・育成するためにはITIL4は非常に重要な役割を担うことができるでしょう。
※ITIL(IT Infrastructure Library®)はAXELOS Limitedの登録商標です。