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物流企業が今取り組むべき「DXはじめの一歩」とは?

改革が求められる物流業界で、DX推進がもたらす可能性<後半>

物流企業が今取り組むべき「DXはじめの一歩」とは?

すべては事務部門へのRPA導入に始まる

物流企業における「DXはじめの一歩」として最適なのが、事務部門へのRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)導入です。

RPAとは、その名の通り、業務プロセスをロボットで自動化するITツールです。ロボットと言っても操作にプログラミング知識は不要で、製品にもよりますが、ITツールとしては比較的低コストで導入することもできます。

特にパソコンを使う定型作業の置き換えに適しており、物流系の事務部門では以下の業務にともなう事務作業の自動化が可能です。

● 受発注

● 商品・在庫管理

● 輸出入・通関手配

● 経理・会計処理

基本的な活用法は、各種伝票/書類の作成及び出力、メール送信、管理システムへの入力、CSVデータのダウンロードなどですが、こうした「点」の作業だけでなく、一連のプロセスを一挙に自動化できるのがRPAのポイントです。

受注業務であれば、取引先からメールで届いたExcelの発注書を読み取り、WMSへ在庫引当てし、ピッキングリストを作成・出力することもできるので、夜間の出荷伝票処理を完全自動化している企業もあります。経理についても、取引先ごとの集計処理からWordでの請求書作成、所定フォルダへの保存、出力までを、人の手を介さずに行うことが可能です。

取引先の書類が紙メインの場合は、AI-OCR(オプティカル・キャラクター・リーダー)という光学的文字認識ソフトウェアとの連携が効果的です。手書き文字も読み取ることができるので、FAXの発注書でも同様に出荷手配が自動化できますし、輸出入手配なら、紙のインボイスからのテータ抽出、データベースの登録、申告書類の作成までの作業を、すべて置き換えることができます。

コストカッターをプロフィットセンターに変えるRPA

人手不足の解消とコスト削減は、コロナ以前から業界共通の課題であり、RPA導入による業務自動化はその抜本的解決へと導く施策です。実際に、上述の夜間業務を自動化した企業では、夜間人員が不要になり、人件費30%削減を実現しています。出荷手配をAI-OCRと連携させた事例では、年間で約1万時間の業務時間削減に成功したという報告もあります。

定量的な効果だけではありません。手作業によるミス・漏れの心配がなくなれば、スタッフの精神的負荷も軽減されるでしょうし、長時間労働や無駄な残業がなくなれば、ワークライフバランスも実現できます。何より、こうした労働環境の改善こそ、人材確保のための最優先課題であることは言うまでもないでしょう。

とはいえ、RPAに期待できる効果は、このような「守り」の面だけにとどまりません。むしろ、自動化によって浮いた時間を活用して、「コストセンター」や「間接部門」などと呼ばれてきた事務部門を「プロフィットセンター」に一変させるのが、RPA導入の最大のメリットであると言っても過言ではないのです。

電話対応の品質向上に取り組んだり、請求書など自社書類のレイアウトを見直してみたりするのも良いでしょう。物流のような差別化が難しい領域ほど、顧客接点が競争力強化や顧客維持において重要な役割を果たします。特にECのようなBtoCビジネスの物流部門であれば尚更でしょう。もちろん、直接部門であるセールスやマーケティングへのサポートを厚くすることも可能です。

かつて“経営の神様”P・ドラッカーは、「最後の暗黒大陸」という言葉で、未来のビジネスにおける物流の可能性の大きさを表現しました。もしかするとRPAこそが、その広大な大地に夜明けをもたらす朝日のような存在と言えるかもしれません。

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