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DXに必要な「組織づくり」で求められる経営層の取り組み

『DX実現に向けて経営層は何をすべきか?』<前半>

様々なメディアで「DXを推進していくためには経営トップのリーダーシップとコミットメントが不可欠」と言われています。もちろんそれは間違いではありませんが、その一方で「具体的に何をすべきかわからない」と困っている経営層も多いのではないでしょうか。
今回は“DXの土台”として欠かせない2つの領域、“組織づくり”と“IT・デジタル活用のための環境整備“において経営層が実践すべき取り組みについて、経済産業省の『デジタルガバナンス・コード2.0』 (2022年9月公表)などを参照しつつ、ポイントを絞って解説します。

経営層自身のIT・デジタルリテラシー習得

DXをスムーズに進めていくためには、従業員のIT・デジタルに関するリテラシー習得・向上が欠かせません。ただし、忘れてはいけないのは、経営層もその例外ではないということです。高度専門人材レベルの知識やスキルは不要ですが、リーダーシップを求められる以上、常識的な用語や技術、トレンド、活用事例などについて、自社の戦略へ落とし込み、有効性を検討できる程度には理解しておきたいものです。

トップが率先してリテラシー向上に取り組む姿を見せることで、従業員のモチベーション向上が期待できるというメリットもあります。例えば今年(2023年)1月には、あるIT企業の経営層が社員全員にITパスポート(国家試験)を取得させるために、まず自らが受験し合格したことがSNSなどで話題になりました。また、某大手証券会社のグループ企業で役員全員がG検定(一般社団法人ディープラーニング協会が主催するディープラーニングに関するジェネラリスト検定)を受験し、代表取締役社長らが資格取得した事例も知られています。

もちろん資格取得にこだわる必要はありません。『デジタルガバナンス・コード2.0』には、「取締役会や経営会議等の場において、経営トップが最新のデジタル技術や新たな活用事例に関する情報交換を定期的に行う」という取り組み例が挙げられていますが、こうした機会を設けるのも効果的でしょう。

“変革を支援・推進する”仕組みをつくる

DXを推進するためには全社的なIT・デジタルリテラシーの習得が必須ですが、とはいえ、それ“だけ”ではDXを実現することはできません。併せて重要なのが、“変革力”または“変革マインド”を持つ組織をつくること。そのためには、従業員が自ら変革していくことを支援・推進する“仕組み”づくりが効果的です。

人事評価制度を変えることも、そうした仕組みづくりの一つ。例えば京セラ株式会社では、従業員の属性や行動データを分析する「ピープルアナリティクス」という手法によって“部下の変革を後押しする上司像”を解明し、チャレンジに前向きな組織風土の醸成に繋げています。また、先月の「デジタル産業宣言」に記されたDXに不可欠な5つの行動指針でも取り上げたように、富士通株式会社では従業員一人ひとりに挑戦するマインドを発揮してもらうため、“挑戦や失敗からの学び”を評価するユニークな人事制度を採用しています。

参考:多様な人材の活躍|京セラ株式会社

同時に、従業員が習得したIT・デジタルスキルを“宝の持ち腐れ”にしないための工夫も大切です。
『デジタルガバナンス・コード2.0』でも「デジタルに関する専門知識を身につけた社員が、その知識を活用し、より実践的なスキルを身につけられるような人材配置の仕組みがあると良い」と述べられていますが、こうした取り組みに有効なのが従業員のスキルを一元管理するシステム。主観的な印象・評価だけでは取りこぼしてしまう恐れのある一人ひとりのIT・デジタルスキルを、客観的に可視化・分析することができます。

後半記事ではもう一つの土台、“IT・デジタル活用のための環境整備”において経営層に求められる取り組みについて解説します。

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