デジタルトランスフォーメーションをもっと身近に

省庁を中心に進む公共分野のDX

国や自治体の最新DX事例
~公共分野で進むDX~<前半>

公共分野のITシステムは、国や政府が利用する官庁系ITシステムや公共性の高い郵便や高速道路などのシステムと、一般の住民に関する福祉・子育てなどの各種サービスを提供する自治体系ITシステムなどに大別できます。
デジタル庁の発足により、これらの分野では省庁や自治体を中心に、地域を含む全国の各地でDXが進むようになりました。今回は、これらの事例を中心に紹介していきます。

省庁関連の事例

郵政省(デジタル郵便局)

日本郵政グループは、新たな「デジタル郵便局」構想の実現に向けて、デジタル・トランスフォーメーション(DX)をグループで一体的に推進しています。「デジタル郵便局」は、お客さまの視点を第一に考え、郵便局内でのさまざまな体験を、デジタル技術を使ってより簡単・便利にする方針を出しています。
また、郵便局の外からもスマホやWebなどを通じて、いつでも・どこでも、リアルな郵便局と同様のサービスをご提供し、お客さまの多様なニーズにスピーディーにお応えするため、地域やパートナー企業さまと協力して、新たな価値の共創を推進する、としています。

2021年7月1日に設立した株式会社JPデジタルでは、データ・AI・UI/UX、デジタルマーケティングなどのデジタル人材を採用しました。DX部門と人材育成部門を設けて 、グループの横断的なDXをリードし、デジタル人材の育成も行っています。
今後はいつでも・どこでも郵便局のサービスを受けられる「デジタル郵便局」と、約24,000のリアル郵便局ネットワークを融合させ、外部のパートナーとお客さまと地域に真に役に立てるサービスが生みだすべく、「共創プラットフォーム」の実現を予定しています。

具体的には、「郵便窓口のデジタル化」「スマホアプリを中心としたWeb&モバイル戦略」「データ利活用の促進」の3点を重要ミッションとして掲げています。
なかでもデータ利活用は、新規ビジネス/サービスの創出を加速する重要な取り組みです。
日本郵政グループは、膨大なお客さま情報を蓄積しており、このデータを利活用することにより、さまざまな洞察を導き出し、よりよいサービスの実現を目指しています。
また、ドローンと配送ロボットを連携させて郵便物を配送する実証を行っています。山間の最深部にある集落にドローンで郵便物を空輸し、さらにその荷物を自動配送ロボットに自動で受け渡し、戸宅前まで自動配送ロボットが届けるというものです。ドローン、配送ロボットそれぞれを個別に使った自動配送の取り組みは、これまでにもさまざまな形で実証さてれきましたが、ドローンと配送ロボットを連携させた取り組みは日本初となります。

国土交通省(i-Construction+インフラ分野DX)

i-Constructionとは、建設現場の生産性を飛躍的に向上させることを目指した、測量から設計、施工、検査、維持管理に至る全てのプロセスでICTを利用する、国土交通省の取り組みです。
国土交通省は、i-Constructionの推進を通して、2025年度までに建設現場の生産性を20%向上させることを目標に掲げています。

そして、これにインフラ分野のデジタル・スマート化を加えて、トータルなDXを推進します。
今回は、このインフラ分野のDXの取り組み事例を代表的な河川などに適用した事例を以下に紹介します。

● DXによる河川の長時間先の水位予測情報の提供

・令和3年からデータを活用し、国管理の洪水予報対象河川のすべてで洪水予報の発表の際に6時間先までの水位予測情報の提供ができるように取り組んでいます。また、首都圏を流れる荒川では、概ね1日半先までの予測情報を試験的に活用しています。

・大河川ではデータを活用し、更なる長時間化や予測精度向上に取り組むとともに、これまで水位予測情報が提供されていなかった中小河川への適用拡大を進め、河川の増水・氾濫の際の災害対応や住民避難を促進する予定です。

● 情報集約の高度化による災害対応の迅速化

・災害時には防災ヘリの映像などを活用し、浸水範囲・土砂崩壊部をデジタルでリアルタイムに解析し、被害全容を迅速に把握します。

・被害と対応状況の最新情報を、デジタルを活用しリアルタイムで集約し、人的・物的資源の最適配置ができるように支援していきます。

今回は、公共分野で進むDX 事例として、郵政省と国土交通省の取り組み内容を紹介しました。次回は自治体を中心に進む地域のDX 事例として、さまざまな地域自治体でのDX取り組み事例を解説していきます。

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