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集客もコミュニケーション活性も!企業のロボット活用事例

知っているようで知らない!? ビジネスにおける「ロボット」活用<後半>

前回は製造業と農業で活用されているロボットを取り上げましたが、もちろんそれ以外の業界でも導入は進んでいます。今回はその中でも、ロボットの幅広い可能性を感じさせてくれる先進的またはユニークな事例を紹介します。

物流での“自動配送ロボット”事例

物流におけるロボットといえば、倉庫での仕分け・運搬作業を自動化するロボットが代表的ですが、他方で近年の宅配需要の急増や、近所にスーパーなどがない“買い物弱者”への対策として、配送業務を担うロボットの導入が少しずつ広がっています。

楽天グループ株式会社は、2022年11月より、茨城県つくば駅の周辺地域でスーパーや飲食店の商品をロボットで配送するサービスを開始。ユーザーがスマートフォンで注文すると、ロボットが公道を自動走行して商品を配送。到着すると自動音声の電話やSMSによる通知が届き、ロボットに暗証番号を入力するとロッカーの扉が開いて商品を受け取ることができます。

当初は道路交通法などにより、ロボット1台につき1名の近接監視が義務付けられていましたが、2023年4月1日の法改正により、届け出制で無人(遠隔監視・操作)での公道走行が可能になっています。楽天グループ以外にも、パナソニックホールディングス株式会社など複数の企業が自動配送ロボットの開発・実証実験を進めており、近い将来、街中で目にする機会が増えるかもしれません。

参考:楽天グループにおける自動配送ロボットの取組|楽天グループ株式会社

コンビニでの“品出し&袋詰め”ロボット事例

コンビニエンスストアでの省力・省人化というと、キャッシュレス化やセルフレジなど主に接客に関わる領域が目立ちますが、まだまだ少ないとはいえ、バックヤードでもロボットによる業務効率化が進んでいます。

株式会社ファミリーマートは、2022年8月よりAIを活用した“品出しロボット”の店舗導入を開始。従業員への負荷が大きい飲料品の補充業務を自動化できるロボットで、ただ品薄商品を補充するだけではなく、事前に取り込んだ販売データや季節、時間などの情報により、陳列する本数や優先すべき商品を自動で判断することができるということです。

同年9月には、大手電気通信事業者のKDDI株式会社が、ロボットが食料や日用品を袋詰めして販売するコンビニを東京・渋谷に期間限定でオープンしました。店舗に接客スタッフはおらず、ユーザーがアプリから注文すると、ロボットアームが先端の吸盤を用いて商品をピッキングし、袋詰めして受け取り口まで届けてくれるという仕組み。柔らかく崩れやすい食品は慎重に取り扱うなど、商品に合わせてアームの動きを自動で変えられる点が特長です。

参考:飲料補充AIロボットを300店舗へ導入~店舗の更なる省人化・省力化を推進~|株式会社ファミリーマート

参考:ロボットを活用した無人店舗「auミニッツストア 渋谷店」オープン|KDDI株式会社

ホテルでの“世界初”の“変な”ロボット事例

“世界初のロボットが働くホテル”としてギネス認定されているのが、大手旅行代理店H.I.S.の子会社、H.I.S.ホテルホールディングス株式会社が国内・海外で展開する『変なホテル』です。

インパクトのあるネーミングだけでなく、2019年1月には当時働いていたロボットの約半数をリストラするなど、何かと話題になる同社。ロボットの活用においても、店舗によっては恐竜ロボットがフロントで出迎えてくれるなど、ユニークな顧客体験の提供につなげているあたりが巧みと言えます。

客室にはコンシェルジュロボットが常駐。館内案内や観光情報、天気、ニュースなどを教えてくれるほか、歌やダンス、クイズ出題などのコミュニケーション機能も備えています。店舗には人のスタッフも勤務しており、ロボットが対応できないイレギュラー時の対応やベッドメイキング、ロボットの管理、マーケティング業務などに携わっているということです。

参考:変なホテル(公式ホームページ)

飲食業での“熟練技術を再現する”ロボット事例

飲食業では前回記事でも触れた猫型配膳ロボットが最近話題ですが、サービスの“肝”とも言える店舗調理にロボットを導入する企業も増えています。

その一つが、全国でカフェチェーンを運営する株式会社プロントコーポレーションです。同社は2022年6月に、世界初となるパスタ自動調理ロボットを導入したスパゲッティ屋をオープン。麺の茹で、具材・ソースの供給、調理、鍋の移動・洗浄などを自動でおこない、状況によっては同時に4つのフライパンをハンドリングすることもできる優れものです。

調理中の具材の状態は、AIによる画像認識技術で把握。フライパンの形状やIH(電磁調理器)にこだわることで熟練者レベルの調理技術を有し、従業員の担当は基本的に盛り付けやトッピングだけと、見事な省人化を実現しています。

調理関連では他にもソフトクリームを自動で巻いてくれるロボットや、ビールを注いで提供してくれるロボットなども登場していますが、いずれも先述のホテルのように、話題創出や集客効果が期待できる点も魅力と言えるでしょう。

参考:【新店】世界初のパスタ自動調理ロボット「P-Robo」導入の新業態「エビノスパゲッティ」1号店となる東京・丸ビル店のオープンを6月30日(木)に決定!|株式会社プロントコーポレーション

オフィスでの“コミュニケーション活性”ロボット事例

オフィスで使うロボットといえば、パソコン定型作業を自動化するソフトウェア型ロボット「RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)」が知られていますが、その他意外な領域でも活用が広がっています。

とりわけユニークなのが、オフィスの“コミュニケーション活性”を目的としたロボットでしょう。その一つ、ロボットベンチャーのGROOVE X株式会社が開発した『LOVOT(らぼっと)』のコンセプトは“家族型ロボット”。まさにペットのように、ファミリーの一員として“愛される”ための最先端技術が搭載されています。

まばたきや視線の動きのような細部へのこだわりも見事ですが、何と言っても大きな特徴は、カメラやセンサーが捉えた情報をディープラーニングや機械学習技術で処理することで、対応する人によって異なる動きを生み出せるところ。例えば、目線の高さを合わせるようにしゃがむと近づいてきたり、頻繁に抱っこしたり撫でてくれたりする人の顔を覚えて懐いたりしてくれるのです。

同製品は既に400社以上のオフィスに導入されているとのこと。社員同士の会話のきっかけや出社モチベーションの向上、ストレスが溜まりやすい部署の“癒し”、さらに商談時のアイスブレイクなどにも効果を発揮しているようです。

参考:『LAVOT』公式サイト

まだまだユニークな事例はありますが、今回はここまで。一言でロボットと言っても、業界問わず様々な用途に使われていることがお分かりいただけたでしょうか。DXの広がりとともに、今後ますますロボットが身近な存在になってくるのは間違いないでしょう。紹介した事例を参考に、「自社のあの業務を自動化できないか」「こんなロボットがあれば良いな」などと考えておくと、近い将来何かの役に立つかもしれません。

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