デジタルトランスフォーメーションをもっと身近に

AI TRiSMの導入と事例

AI TRiSMとは
~AI TRiSMが注目される理由や今後~<後半>

前回は、AI TRiSMの概略、注目されている理由、AI TRiSMの4つの柱について解説しました。AI TRiSMはまだ聞き馴染みがなく、一般的なイメージは少ないかもしれませんが、既に導入し始めている企業もあります。今回は、AI TRiSMの導入メリットと課題、そして事例について紹介します。

AI TRiSMの導入

AI TRiSMの導入にあたっては、以下のメリットと課題が考えられ、それぞれについて解説します。

メリット

以下に代表的なメリットを紹介します。

AIの信頼性・安全性の向上

AI TRiSMの取り組みにより、AIの信頼性や安全性が向上します。これにより、ユーザーからの信頼を獲得し、AIの活用を拡大することができ、ビジネスの拡大に繋がります。

リスクの低減

AI TRiSMを適用すると、AIの利用に伴うリスクを低減することができ、AIの導入・運用に伴うコストや損害を削減することができ、ビジネスに寄与することができます。

コンプライアンスの遵守

AI TRiSMの取り組みにより、AIの利用に関するコンプライアンスを遵守することができます。企業・組織がAIを安心して活用すると同時に、コンプライアンスの厳守は対外アピールにも繋がり、ブランディングの向上にもなります。

課題

以下のようないくつかの課題が挙げられ、導入に際しては留意が必要です。

専門家の不足

AI TRiSMの効果的に適用するためには、AI開発、運用、ガバナンスなど、幅広い専門知識とスキルを必要とします。しかし、AIの専門家は不足しているため、人材育成が課題となっています。
これらの課題を克服するためには、AI TRiSMのフレームワークを簡素化して適用したり、AIの専門家を育成したりするといった取り組みが必要とされています。

コストの増加

AI TRiSMを導入するには、AI開発ツール・AIプラットフォームなど、さまざまなツールやサービスを利用するため、コストが増加します。人材育成も含めてコストがかかるという課題があります。

既存システムとの連携

多くの企業は、すでにさまざまなシステムを導入しています。AI TRiSMを新しいDXやAIに関するシステムだけではなく、これら既存のシステムと連携させるには、技術・時間・コストなどのハードルが存在します。

AI TRiSMの取り組み事例

日本では、以下の企業・組織がAI TRiSMの取り組みを進めています。

株式会社三菱UFJ銀行

三菱UFJ銀行は、AI TRiSMに基づくガイドライン「AIガバナンスガイドライン」を策定しています。このガイドラインでは、AIの倫理や安全性の確保を重視しています。

株式会社NTTデータ

NTTデータは、AI TRiSMに基づくフレームワーク「NTT DATA AI Trust Framework」を策定しています。このフレームワークでは、AIの開発・運用・活用の各プロセスにおける信頼性・リスク・セキュリティ確保に重点を置いています。

国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)

NICTは、AI TRiSMに基づくフレームワーク「AI信頼性評価フレームワーク」を策定しておりAIの信頼性を評価するための手法やツールを体系化しているのが特徴です。

AI TRiSMの今後の展望

AI技術の進展と共に、さまざまな分野でのAIの活用が増加するなか、AI TRiSMの需要も拡大していくでしょう。今後は、特に倫理と社会的責任が強調され、AI TRiSMはこれらの側面をクリアにしていくことが期待されています。急速な生成AIの普及に伴い、より強化されたAIガバナンスが求められています。AI TRiSMは企業や組織が信頼性や安全性を確保し、倫理的な課題に対処する鍵になると考えられます。

まとめ

AI TRiSMは将来的な技術進化や、AIの活用拡大に伴う課題対処において重要な役割を果たすことが期待されています。企業・組織にとっては、AI TRiSMの採用により、生成AIなどの最新AIも躊躇なく使えるようになる可能性もあり、注目のキーワードといってよいでしょう。

share
  • AI-OCRエンジンを採用、RPA連携による完全自動化のOCRサービス「CREO-OCR」
  • BizRobo!を月額6万円から利用可能、従量課金RPAサービス「CREO-RPA」
  • サービスデスク
  • プロセス管理
  • クラウドシフト
  • 人事給与
  • ハイブリッド購買
  • 情シス
  • 社労士
  • 会計士
  • Method
  • DXセミナー

記載された商品名・製品名は各社の登録商品または商標です。