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顧客が顧客を呼ぶ!? BtoB企業の「ファン作り」事例

IT・デジタルを活用した、企業・自治体の「ファン作り」事例<前半>

顧客が顧客を呼ぶ!?BtoB企業の「ファン作り」事例

近年、ビジネスにおいて「ファン作り」の重要性がますます高まっています。背景にあるのは、情報量の増大や、それに伴う消費者(顧客)の購買プロセスの変化、少子高齢化による市場縮小など。そのため、多くの企業で広告などによる新規顧客の獲得効率が悪化し、従来の顧客や見込み客に対するアプローチを見直さざるを得ない状況になっているのです。

一般にビジネスにおいて「ファン」とは、ロイヤリティ(Loyalty:愛情、愛着)の高い顧客、いわゆる「ロイヤルカスタマー」を指します。顧客のロイヤリティを測る指標は企業によって様々ですが、11段階で他者への商品・サービスの推奨可能性を問う「NPS®」や、顧客一人当たりからトータルで得られる収益を示す「LTV(顧客生涯価値)」などが広く採用されています。ただしLTVに関しては、売上上位顧客でもロイヤルティが低く、惰性で継続購入しているケースもあるため、それだけを絶対視するのは危険という意見もあります。

※NPS®は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、サトメトリックス・システムズ(現NICE Systems,Inc)の登録商標です。

企業及び商品・サービスのファンが増えることで、次のようなメリットが期待できます。

■中長期的な売上向上
■口コミや情報拡散による認知拡大
■共創による開発・改善の取り組み

ロイヤリティの高い顧客は製品・サービスを継続的に利用してくれる傾向にあるため、安定した売上向上が見込めます。また、アイドルのファンが「推し」をアピールするようにSNSで自発的に宣伝してくれることも多く、口コミによる認知拡大や新規顧客獲得も期待できます。商品・サービスの共同開発やイベントへの参加意欲が高いのもファンの特徴で、実際にファンと共同開発して大ヒットした商品も少なくありません。

当然ながらDX推進企業も取り組んでいます。ファン作りで重要なのは顧客一人ひとりに合わせたアプローチですが、そのために必要な顧客データの取得・管理やリアルタイムでのコミュニケーションに、IT・デジタル技術が有効なのは言うまでもありません。他にも、先程紹介したNPS®を測定・分析するツールや、AIによる自然言語処理技術を活用して膨大なSNSユーザーの中から自社ファンを探すことができる「ソーシャルリスニング」技術なども登場しており、ファン作りの成果向上に活用されています。

BtoB企業のユーザーコミュニティ事例

ビジネスでのファン作りというとBtoC企業の取り組みが目立ちますが、BtoB企業でも重要であることは変わりません。

BtoB企業によるファン作りの代表的な手法が「ユーザーコミュニティ」です。具体的には、製品・サービスやその対象業務に関するノウハウや成功事例のシェアを目的に、ユーザー(顧客企業)を集めて定期的にセミナーや勉強会、交流会などを開催することが一般的です。イベントの多くはオフラインで実施されていますが、ZoomやSNSのグループ機能などを併用している企業や、Web上にプラットフォームを構築してオンライン中心で運営している企業もあります。

BtoB企業にとってユーザーコミュニティを作る大きなメリットの一つが、人と人が直接つながることで距離が縮まり、顧客ロイヤリティ向上に効果的な「一体感」や「帰属意識」を醸成できること。こうした感情に訴える体験やアプローチは「情緒的価値」と呼ばれ、ブランディングの分野でも重視されています。

ユーザーコミュニティの成功事例としてよく知られているのが、クラウドサービス『AWS』でお馴染みの、アマゾンウェブサービスジャパン合同会社が運営する『JAWS-UG(AWS User Group – Japan)』です。

まず驚かされるのが、規模の大きさです。現在、勉強会グループの数は全国各地に60以上(2024年3月時点)。地域別のグループだけではなく、「初心者支部」「クラウド女子会」「Sales支部」、「ビッグデータ支部」など、属性や職種、目的ごとのグループが存在しているのも大きな特徴と言えます。

ここまでの規模に発展した要因として挙げられているのが、メンバーによる情報発信。勉強会や交流会が開催されると、参加したメンバーがブログやSNS、YouTubeなどにイベントレポートをアップし、それを見た人が興味を持って会員になるという、「顧客が顧客を呼ぶ」仕組みが確立されているのです。

他にもユーザーコミュニティの事例としては、同じく大規模な株式会社セールスフォースジャパンのコミュニティや、社内に「ファンコミュニティ推進部」を設置してコミュニティ作りを推進しているサイボウズ株式会社の取り組みなどが知られています。

また、この『DX-labo』を運営している株式会社クレオも『クレオユーザー会』というユーザーコミュニティを推進しており、DX時代に欠かせない顧客との「共創(オープンイノベーション)」の場とすべく、専門家を招いたセミナーやカンファレンス、交流会、勉強会などを開催しています。

後半記事では、よりバラエティに富んだBtoC企業のファン作り事例を紹介します。

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