デジタルトランスフォーメーションをもっと身近に

「攻めの法務」に必要なのはデジタル化ではなくDXだ

これからの法務部門にDXが必要な理由<後半>

「攻めの法務」に必要なのはデジタル化ではなくDXだ

法務部門に変革を起こすITツール

これからの企業成長・発展のカギとなる法務部門。しかし、そのあるべき姿に組織をアップデートするためには、ペーパーレス化や脱ハンコによる業務効率化だけでは十分とは言えません。加えて、業務プロセス自体の見直しや業務の自動化・省人化を含む、抜本的な改革も必須です。つまり、法務部門に求められているデジタルシフトとは、IT化やデジタル化レベルではなく、デジタルトランスフォーメーション(以下:DX)なのです。

例えば、世界的なゲーム企業のひとつ、株式会社スクウェア・エニックスの法務・知財部門では、1ヵ月あたり1000件を超える社内からのライセンス利用に関する問い合わせ対応のために、DXの基盤ツールであるBPM(ビジネス・プロセス・マネジメント)ツールを導入しています。

BPMツールとは、業務をデジタル上に集約して標準化する、いわばプラットフォームのような役割のITツールです。業務フローや進捗状況をリアルタイムで「見える化」できるので、リモートワーク時のマネジメントはもちろん、課題に応じた新たな業務システムの構築も可能です。

同社では従来、問い合わせ対応はメール、契約書の作成・確認はドキュメント管理ツールを利用していたため、やり取りの回数や進捗状況の把握などに課題を抱えていました。その解決策として、BPMツール上に独自の管理プロセスを構築し、業務に関するあらゆる情報を共有できるようにしたことで、全体の業務スピードが圧倒的に加速したそうです。

DX関連のITツールでは、AI-OCRと呼ばれるAIを活用した光学文字認識ツールも活用されています。紙の資料や帳票類を自動でテキストデータ化できるソフトウェアで、人の手によるパソコン入力作業を省くことができます。PDFとは違い、文書内の文字や用語を検索できるのも大きなメリットです。

もはや「DXは他人事」と言っていられない

他にも、RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)という定型業務をソフトウェアロボットで自動化できるITツールを使えば、パソコンでの定型的な文書作成やデータ集計、基幹システムへの転記作業、さらにメールの作成・送信などの日常業務に時間を費やす必要がなくなります。

RPAは一般事務や経理など、法務以外のバックオフィス業務でも活用されており、部署全体で年間数百~数千時間もの業務時間削減に成功している事例もあります。これだけの時間を生むことができれば、前回の冒頭でもお伝えした企業コンプライアンスの徹底や「攻め」の戦略的取り組みなど、これからの法務部門に求められる業務に取り掛かれるようになるでしょうし、時にはオフィスを飛び出して、重要な契約交渉の場に同席することができるようになるかもしれません。

以上、法務部門のDXに最適なITツールを紹介しましたが、実際にDXを開始するにあたっては、「ツールありき」で進めることのないように注意が必要です。ビジネスにおけるDX本来の意味は、テクノロジーによって会社の経営やビジネスモデル、働き方などを根本から変革すること。ITツールの導入は、あくまでそのための手段です。企業や組織の規模はもちろん、抱える課題によってもマッチするツールは異なります。とりわけ法務業務は会社全体にわたるもの。自社の業務プロセスや管理基盤を見直し、他部署と足並みを揃えつつ、改善しやすい部分からツール導入を検討するのが得策です。

事業部門の施策をコンプライアンスを理由に否認するコストカッターと揶揄されがちな法務部門。しかし一方で、担当者のモチベーションを経営陣が活かしきれていないという話も耳にします。目の前の業務を受け身でこなすだけの法務部門を持つ企業と、積極的に自社の発展のために動く法務部門を持つ企業では、中・長期的に大きな差が生まれるのは間違いないでしょう。法務部門をコストセンターから「企業成長の武器」へと変えられるか否か、あるいはその可能性を生かすも殺すも、ひとえに経営層の意識変革にかかっている、と言えるかもしれません。

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