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AI実利用時代での「留意すべきリスク」「今後の課題」

AI実利用時代での「留意すべきリスク」「今後の課題」とその対策・事例
~AI社会の未来を守る~<前半>

人工知能(AI)の進化に伴い、私たちの生活やビジネスは大きく変革しています。自動運転、医療診断、金融分析、日常生活の音声パーソナルアシスタントなど、多岐にわたる分野でAIの実用化が進んでいます。しかし、AIの普及に伴い、新たなリスクや課題も浮上しています。
本記事では、AIの実利用時代における留意すべきリスク・課題、対策、そして最新の事例を紹介し、AIを安全かつ効果的に活用するための指針を提供します。

留意すべきリスク

AIが現代社会に広く浸透する中で、すでに顕在化している重要なリスクを以下に整理します。これらは、AIを活用する際に注意が必要な課題であり、現時点でも多くの事例があったり今後を想定したりすることが可能です。

データの取り扱いとプライバシー保護

AIの運用には大量のデータが必要ですが、その中には個人情報や機密情報が含まれています。不適切な取り扱いにより、プライバシー侵害やデータ漏洩が発生する可能性があります。

<具体例>

顧客データを活用するAIマーケティングが、誤動作・操作により膨大な個人情報を外部に流出させるケースが想定されます。

生成AIの誤情報(ハルシネーション)

生成AIが存在しない情報や誤った内容を事実のように提示するリスクがあります。これが広がると、誤解や不適切な意思決定を引き起こす可能性があります。

<具体例>

AIが架空の地域活性化のインバウンドマーケティング成功例を生成し報告したことがあり、この事例を基にした新しいインバウンド企画がなされようとしたことがあります。

ディープフェイクの悪用

ディープフェイク技術は、偽造映像や音声の精度が高く、詐欺やフェイクニュース、政治的プロパガンダに利用されるリスクがあります。

<具体例>

偽造された著名人の音声・画像が用いられ、SNS上の詐欺ビジネスに使われた事例があります。

公平性とバイアスの問題

AIの判断は、トレーニングデータに含まれる偏りに影響されるため、不公平な結果をもたらす可能性があります。

<具体例>

採用選考システムの開発途中において、特定の性別や人種を優遇する傾向が判明し、AIが差別的判断をしているとして開発中止に陥った事例があります。

説明可能性(Explainable AI)の欠如

AIが出した結論や判断の根拠が不明確な場合、利用者がその結果を信頼できず、重要な意思決定に活用できなくなるリスクがあります。

<具体例>

たとえば、金融機関でAIが「融資を承認しない」と判断した場合、その理由が説明されなければ、申請者は何を改善すればよいのかわからず、金融機関側も顧客への適切な説明や対応ができません。これにより、信頼関係が損なわれ、サービスの透明性が疑われる可能性があります。

今後の課題

AI技術がさらに進化し、普及が広がるにつれて、現時点では顕在化していない新たな課題が生まれる可能性があります。以下に将来の課題について解説します。

AIへの過度な依存と責任の所在

AIが意思決定に関与する場面が増えることで、人間がAIに過剰に依存し、責任の所在が曖昧になる懸念があります。

<具体例>

自動運転車が事故を起こした場合、責任は車両の所有者、AI開発者、または車両メーカーの誰にあるのか?このような状況では、法的責任や倫理的問題が複雑化します。

安全性と暴走リスク

自律型AIが予期しない行動を取る「暴走」のリスクは、AIの自律性が高まるほど現実味を帯びてきます。

<具体例>

将来、たとえば工場のロボットが誤った指示を受け、人間を巻き込む事故を起こす可能性や、自律型ドローンが制御不能に陥り、住民に損害を与えるなどといったケースも想定されます。

倫理的ジレンマ

AIが複雑で倫理的な判断を求められる場面で、社会的な合意が得られる判断基準をどのように設定するかが課題です。

<具体例>

たとえば、自動運転車が事故の回避不能な状況に直面した際、乗員を優先するべきか、歩行者を優先するべきかといった判断などが想定されます。

AIと人間の役割分担

AIがさまざまな業務を自動化していく一方で、どこまで人間の役割を残すべきかという課題が浮上します。

<具体例>

医療分野でAIが診断補助を担う場合、AIの役割は単なる「補助者」にとどまるのか、それともAIの判断もどこまで判断の一部として医師が取り入れ、人間として最終判断を行うべきかという議論などが想定されます。

今回は、AI実利用時代での「留意すべきリスク」「今後の課題」について解説しました。次回は、その対策と事例について紹介します。

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