競争力に差が付く!バックオフィス効率化・自動化のための定番ソリューション
定番から最先端まで~今注目のバックオフィス効率化・自動化ソリューション<前半>

バックオフィスで差が付く企業の競争優位性
「デジタル時代」とも「DX時代」とも呼ばれる昨今、もはやバックオフィス業務でのIT・デジタル活用は当たり前……と言い切ってしまいたいところですが、実際はそうでもないようです。
もちろん、さまざまな調査結果を見ると、以前に比べてIT・デジタル化を進めている企業が急増していることは明らかですが、その一方でいまだに「バックオフィス=利益を生み出さないコストセンター」と思い込んでいたり、そもそも変化に対して億劫だったりする企業もまだまだ少なくありません。
とはいえ、いかにバックオフィス業務の改善・効率化が企業の競争優位性に直結するメリットをもたらすか、ということについては、以前『バックオフィス業務のDX』という記事で紹介した通り。このまま二極化が進めば、両者の競争力はどんどん差が開いていく可能性もあります。
リソース不足、属人化、業務過多など、多くの課題を抱えるバックオフィス業務。今回は、そんなバックオフィス業務の効率化・自動化を実現するIT・デジタルツールを、定番のものから最新のものまで紹介していきます。
ルーティンワークを一気に自動化する「RPA」
バックオフィスの効率化に欠かせない定番ツールの1つがRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)です。RPAはパソコンの定型作業をソフトウェア型ロボットに置き換えて自動化できるITツールで、データ入力・転記、伝票起票、レポート作成、メール送信、照合(突合)、Webでの情報収集など、さまざまな作業を省人化することができます。
RPAのメリットは、ヒューマンエラーの削減と業務時間を大幅に削減できること。挙げていくときりがありませんが、例えば次のような成功事例があります。
(1)経理部門での帳票・データの照合作業の自動化により作業時間を年間約300時間以上削減
(2)複数のECサイトに掲載している商品情報を自動で一括更新することで作業時間を1/6削減
RPAを活用したECサイト商品情報更新作業の自動化例
当然ながら、DX推進企業でもRPAの活用は盛んです。低温物流サービスを展開する株式会社ニチレイロジグループ本社では、2018年から全国の物流センターの事務業務にRPAを導入。2024年3月時点で、担当者一人当たりの年間平均労働時間の10%超に相当する年間40万時間もの業務のRPA化を達成しています。
多彩な機能で効率化を実現する「SaaS」
RPAと同じく、バックオフィス効率化の定番ツールとして多くの企業で導入されているのが、インターネット経由で利用できるSaaS(Software as a Service)です。とりわけ広く活用されているのはWeb会議サービス『Zoom』やビジネスチャットツール『Slack』『Chatwork』など、業種問わず利用できるサービスですが、特定のバックオフィス業務向けの多様な機能を備えたSaaSも数多く登場しています。
例えば「会計・人事給与」SaaS。サービスによって多少の違いはあるものの、一般に財務会計・管理会計・人材管理・給与計算・労務管理を効率化する次のような機能が実装されています。
経理・会計業務を効率化する機能
例:自動給与計算機能、自動仕訳機能(取引情報から自動で勘定項目を判別して分類)、データ分析・レポート作成機能など
人事業務を効率化する機能
例:社員情報(スキル、勤怠、異動・昇格、評価、マイナンバー)管理機能など
法改正自動対応機能
法改正の影響で業務が複雑化・煩雑化しやすいことは会計・人事業務の特徴ですが、次のような最新の法改正に自動対応する機能を持つシステムも登場しています。
<電子帳簿保存法対応機能>
紙帳票のデータ化や仕訳を自動でおこない、改正電子帳簿保存法で定められたスキャナ保存制度の要件に則って保存できる機能など
<インボイス制度対応機能>
複雑な消費税計算の自動化や記載要件を満たす請求書テンプレートを提供する機能など
<働き方改革関連法案対応機能>
勤怠状況を監視し、時間外労働時間の上限をオーバーしそうな社員や有休取得率が低い社員について管理者にアラートとして通知する機能など
バックオフィス向けのSaaSには他にも勤怠管理向け、購買・調達向け、契約管理向けなど様々なサービスがあり、いずれも工数・コストの削減やペーパーレス化を実現することができます。また、サービス単体での活用だけでなく、RPAやBPM(ビジネスプロセス管理)ツールとの連携により、入力や申請などの関連業務を自動化できることもSaaSのメリットです。
なお、SaaSについては↓の記事でも詳しく紹介しています。
あらためて「クラウド」とは何か?|DX-labo
クラウドサービス導入で失敗しないためのポイント|DX-labo
ここまで紹介した2つのソリューションは言わば定番ツール。続く後半記事では、今後普及が予想される最先端技術を活用したソリューションを紹介します。