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ここまで進化!バックオフィス効率化・自動化向け最新ソリューション

定番から最先端まで~今注目のバックオフィス効率化・自動化ソリューション<後半>

煩雑で負荷の高いバックオフィス業務を一気に効率化・自動化するIT・デジタルツール。今回はその中から、AI(人工知能)や生成AIなど最新技術を活用したソリューションと事例を紹介します。

AIを活用したバックオフィス業務効率化ツール

営業やマーケティング業務と同様、バックオフィス業務でもAIの活用が広がっています。中でも目立つのが、次のようなAI技術を活用したソリューションです。

発注・仕入・在庫管理業務向けのソリューション

例:需給予測システム。AIの予測モデルが過去の販売実績や気象データを分析して適正発注量を算出するシステムです。調達業務ではAIが最適な調達価格とサプライヤーを提案するシステムも活用されています。

契約書・法務関連業務向けのソリューション

例:AI契約書レビューサービス。AIの自然言語処理技術などを活用し、必要事項の抜け・漏れやリスクのある箇所を自動で指摘するサービスです。

人事業務向けのソリューション

例:タレントマネジメントツール。従業員データ(スキル、評価、勤怠、異動履歴など)の一元管理に加え、AIが離職の予兆を検知したり最適な人材配置をレコメンドしたりする機能を備えた製品が登場しています。

上記以外に、部門を問わず活用されているのがAI-OCRです。

AI-OCR

AI-OCRはAI技術を活用した光学文字認識機能(OCR)です。紙やPDFの文字(手書き文字含む)をスキャンするだけでテキストデータ化することができます。

国内最大手の社会保険労務士法人SATO 社会保険労務士法人では、クライアント企業宛ての健康保険証発送業務にAI-OCRを導入。それまで手入力でおこなっていた健康保険証情報のシステムへの登録作業をAI-OCRによる読み取りに置き換え、さらに目視での確認作業にチェックツールを導入することで、毎月の発送作業時間を約133時間削減することに成功しています。

参照:月間約133時間の作業時間を短縮~健康保険証発送センターのOCR活用~|CREO AI OCR

AI-OCRの活用法でとりわけ目立つのが、前半記事で紹介したRPAとの連携です。パソコンの定型作業を自動化するRPAと連携させることで、例えば経理部門での紙帳票のデータ化~会計システムへの入力作業など、特定の業務プロセス全体の自動化を実現することができます。

バックオフィス業務での生成AI活用事例

DX推進企業を中心にバックオフィス業務への生成AI導入も進んでいます。活用法としてはカスタマーサポートや社内ヘルプデスクなど、問い合わせ対応業務の自動化が目立ちますが、他にも意外な業務の効率化に活用して成果を出している事例もあります。

その1つが大分県別府市。2023年11月から生成AIの本格運用を開始した同市では、効果を検証するために、市民から届く意見メールの「要約」「分類」作業の自動化に取り組みました。その際に構築したのが、RPAとの連携による次のような仕組みです。

生成AI×RPA連携によるバックオフィス業務自動化例(イメージ)
生成AI×RPA連携によるバックオフィス業務自動化例(イメージ)

それまでもRPAで自動化していた「毎月メールを表形式で取りまとめる」という作業の後、RPAがその表からメール本文を組み込んだプロンプト(指示文)を作成。生成AIにメールの要約と「意見」「質問」「営業」への分類分けを実行させ、その回答を再びRPAが取りまとめ表に追記するというのが一連の流れです。生成AIに指示を送るのが人間ではなくRPAという点が自動化実現にあたっての大きなポイントと言えるでしょう。

この試験的な取り組みが一定の成果を見せた後、同市は市民向けアンケート(自由記述方式)の結果を分類する作業に同じく生成AIとRPAを活用。以前は職員が1件ずつ目視で内容を確認・分類していたため2週間程度かかっていましたが、たったの2日で終了したということです。

参照:「生成AI」×「RPA」を試験的に使ってみました【BEPPU×AI vol.2】|別府市デジタルファースト推進室

BPaaSとAIエージェント

ここまで紹介したものと比べるとまだ知名度は低いものの、今後バックオフィス業務への普及が予想されるソリューションがBPaaSとAIエージェントです。

BPaaS(Business Process as a Service)は、SaaSと特定のビジネスプロセスを外部委託するBPO(Business Process Outsourcing)を組み合わせたサービス。SaaSではベンダーが提供するのは基本的にインターネット上のソフトウェアだけですが、BPaaSではそれに加えて専門人材・DX人材による業務最適化・効率化もサービスに含まれています。

BpaaSのメリットは、IT人材の不足などでシステム導入が進まない企業でも業務のデジタル化を実現できること。また、委託した業務プロセスはSaaS上で一元的に運用・管理されるため、ユーザー企業側もデータやノウハウを蓄積できる点が、従来のアウトソーシングとは大きく異なります。対象としては交渉などを伴わない標準化が容易な業務が適しており、経理や労務業務を中心に利用が広がっています。

もう1つのAIエージェントは、ひと言でまとめると「人間の代わりに働くAI社員」。同じAIでも受け身型の対話型生成AIと違い、人間が設定した目標を達成するために、自律的に提案をおこなったりタスクを実行したりすることができます。例えば営業部門では、提案資料の作成や商談に必要な情報収集など、営業的事務的な役割が期待できます。

以上、今回は2回にわたってバックオフィス業務効率化・自動化のためのIT・デジタルソリューションを紹介してきました。それぞれタイプや機能は異なりますが、いずれもバックオフィス部門の業務負荷を削減し、ルーティンワークやノンコア業務から解放させる効果が期待できます。

もはや「バックオフィス部門=利益を生み出さないコストセンター」という認識は時代遅れ。DX推進企業を始め、バックオフィス部門を付加価値を生み出す「プロフィットセンター」へと変革するための取り組みを進めている企業も少なくありません。今回の記事をきっかけに、ぜひ今一度自社のバックオフィス業務を見直してみてください。

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