デジタルトランスフォーメーションをもっと身近に

不正防止も! コンプライアンス推進を効率化するIT・デジタルソリューション

デジタル時代に求められる企業のコンプライアンス違反対策<後半>

今やどんな企業もコンプライアンスリスクと無縁ではいられません。しかもそのリスクは時代とともに増えていく一方です。そこで今回は、コンプライアンス違反対策の効率化や、不正行為の未然防止・早期発見などに役立つIT・デジタルソリューションを紹介します。

AIを活用したハラスメント・不正行為検知ツール

他のIT・デジタルツールと同様、コンプライアンス向けのツールにもAI技術の活用が進んでいます。とりわけ目立つのが、次のような文字や動画、音声からコンプライアンスリスクを検知するソリューションです。

メール・チャット上のハラスメントチェックサービス

AIの自然言語処理技術を活用し、ハラスメントや不正行為に該当する、またはそのリスクが高いメール・チャットを自動検出するツールです。ハラスメントや内部不正の予防と早期発見に効果的です。

面接ハラスメント検知ツール

AIが面接動画の発話内容や表情・動作から、不適切な言動を検知して関係者に即時通知するツールです。ここ数年社会問題化している、就活生に対するリクハラ(リクルートハラスメント)の予防と早期発見に役立ちます。

商談・顧客対応でのコンプライアンスチェックサービス

商談中の会話やコールセンターでの顧客との通話をAIが文字に起こし、コンプライアンス違反に該当する発言が含まれていないかチェックするサービスです。他にも、オンライン商談サービスに生成AIを組み合わせ、リアルタイムで会話を解析し、不適切な発言があれば画面上にアラートを表示してその場で担当者に訂正を促すことができるサービスも登場しています。

SNS監視サービス

人(目視)とAIがSNSやブログ、インターネット掲示板などをモニタリングし、炎上や風評被害を招く恐れのある投稿や情報漏えいを検知するサービスです。口コミや反響を収集・分析して、商品・サービスの改善につなげることができる機能を備えたサービスもあります。

GRCツール

GRCは「ガバナンス(Governance)」「リスクマネジメント(Risk management)」「コンプライアンス(Compliance)」の頭文字を組み合わせた言葉。GRCツールは、この3つの要素に関わる業務を一元管理して効率化できるソリューションです。

細かい機能は製品によって異なりますが、核となるのが、ルールの遵守状況やリスクを自動で分析・評価する機能です。各部署のデータを収集して自社のポリシーや法規制と照合し、遵守状況のチェックや発生可能性のあるリスクとその影響度を分析・可視化することで、コンプライアンス違反の未然防止やリスクの早期発見につなげることができます。

他にもGRCツールでは、取引先や外部委託先のセキュリティリスクを分析・評価できる機能や、内部監査を効率化する機能を備えた製品が登場しています。

DX(デジタルトランスフォーメーション)

単一のITツールの導入にとどまらず、コンプライアンスを徹底する組織へと変革するために、全社的にDXを推進している企業もあります。

住宅設備メーカーから発展し、独自の製品開発で注目を集めている株式会社ダイドー(大阪府河内長野市)。同社は、社員の健康面やコンプライアンス面でリスクとなる長時間残業を解消するため、DXによる働き方改革をスタートさせました。

具体的な内容は、データ活用推進を目的とした基幹システムのクラウド環境への移行や、日々大量に発生する図面や指示書の電子化=ペーパーレス化など。データ活用については、独自開発の生産管理システムと工場内カメラを組み合わせて製造ラインに関するさまざまなデータを収集・分析し、生産工程の効率化、作業の公平性の担保、人員配置の見直しなどにつなげています。

他にも、製造現場の全社員に配布しているタブレットなどの端末を活用し、勤怠管理のデジタル化を実現。現場以外でも、パソコンの定型作業を自動化できるRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を導入して事務作業の負荷を軽減しています。

こうした取り組みにより同社は残業時間の削減に成功し、さらに従業員の健康管理に関するコンプライアンスを重視した企業であることを示す『健康経営優良法人(中小規模法人部門)』(経済産業省)に、2019年から2024年まで6年連続で認定されています。

参照:健康・労働環境に関する取り組み(株式会社ダイドー)

参照:コンプライアンスを最優先するためトップダウンで働き方改革を推進|労働者健康安全機構

参照:積極的なDX活用と自社オリジナル開発製品で生産性と働く意欲をアップ|厚生労働省

情報セキュリティ対策も必須

以上、企業のコンプライアンス推進を効率化するIT・デジタルソリューションを紹介してきましたが、忘れてはいけないのは「ツールは万能ではない」ということです。やはり基本的な取り組みとして、前回紹介した従業員への教育・啓発活動と内部通報制度の整備、そして「不正行為が発生しにくい職場環境」の整備は欠かせません。ツールによる過剰な監視やチェックはかえって従業員のモラル低下を招く恐れがあるので、そのあたりの注意も必要です。

また、今回は取り上げられませんでしたが、サイバー攻撃や内部不正による情報漏えいを防ぐための対策も必須です。↓の記事では、クラウドサービスを活用している企業に効果的な情報セキュリティ対策を紹介していますので、是非参考にしてみてください。

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