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ITレジリエンスの概要・背景・対策

ITレジリエンスとは?
~その重要性と今後の展望~<前半>

ITレジリエンスの概要

ITレジリエンスとは、企業や組織がシステム障害、サイバー攻撃、災害、その他の予期せぬ事態に直面した際に、迅速に対応し、業務を継続・回復できる能力を指します。ITシステムの安定性や回復力を高めることで、企業の競争力を維持し、持続的な成長を可能にします。

現在、多くの企業がDXを進める中で、クラウドサービスの活用やリモートワークの普及が加速しています。しかし、その一方でサイバー攻撃の増加やシステム障害のリスクも高まっており、ITレジリエンスの強化が企業の重要な課題となっています。特に、金融、医療、社会インフラ、製造業などの業界では、ITシステムの継続性がビジネスの存続に直結するため、ITレジリエンス戦略が不可欠です。

本記事では、ITレジリエンスが求められる背景、ITレジリエンスを強化するための対策、事例、導入・強化の課題、そして今後の展望などについて詳しく解説します。

ITレジリエンスが求められる背景

ITレジリエンスの必要性が高まっている背景には、主に以下の要因が挙げられます。

サイバー攻撃の高度化

近年、ランサムウェアやDDoS攻撃など、企業のITシステムに深刻な影響を及ぼす攻撃が増加しています。特に、クラウドサービスやIoTデバイスの普及により、攻撃の対象範囲が拡大しているのが現状です。こうした脅威に対処するため、企業はインシデント発生時の迅速な復旧と被害の最小化を図るとともに、ITレジリエンスの強化に取り組む必要があります。

自然災害やパンデミックへの対応

企業の業務のITシステム化が進むとともに、地震、台風、大規模停電などの自然災害や、新型コロナウイルスのようなパンデミックの影響により、ITシステムの運用が大きく左右されるケースが増えています。こうしたリスクに備えるため、クラウドバックアップの導入、遠隔管理システムの活用、分散型データセンターの活用など、柔軟で強固な対策が求められています。

DXの加速とクラウドシフト

DXの進展に伴い、企業の業務システム基盤は急速にクラウドへ移行しています。これにより、システムの柔軟性が向上し、業務の効率化やデジタル化が進む一方で、障害やセキュリティリスクへの対応もこれまで以上に重要になっています。こうした課題に対応するため、企業は複数のクラウドサービスを活用する「マルチクラウド戦略」の採用や、データセンターの冗長性を確保する施策を導入し、システムの耐障害性を高める必要があります。

ITレジリエンスを強化するための対策

ITレジリエンスを高めるためには、以下のような対策が有効です。

事業継続計画(BCP)の策定と運用

システム障害や災害の発生時に迅速な復旧を実現するためには、BCP(Business Continuity Plan)の策定が不可欠です。企業は、被害を最小限に抑えつつ業務を継続できる体制を構築する必要があります。そのためには、定期的な訓練やテストを実施し、実際のインシデントに即応できる準備を整えることが重要です。

ゼロトラストセキュリティの導入

クラウドの普及やリモートワークの拡大に伴い、従来の境界型セキュリティでは十分な防御が難しくなっています。そのため、ID管理、多要素認証(MFA)、エンドポイントセキュリティなどを組み合わせたゼロトラストセキュリティモデルが注目され、安全なIT環境を構築するための重要な対策として導入が進んでいます。

クラウドバックアップと分散データ管理

システムの耐障害性を高めるためには、クラウドストレージを活用したバックアップ体制の整備が不可欠です。加えて、データセンターを地理的に分散することで、一地域の災害が企業全体のシステムに影響を及ぼさない仕組みを構築することが求められます。

AI・機械学習を活用した異常検知

AIを活用したITシステムの監視により、障害やセキュリティインシデントを事前に検知し、迅速な対応が可能になります。今後は、AIを基盤としたセキュリティオペレーションセンター(SOC)の導入が進み、より高度な脅威検知や自動対応の仕組みが強化されていくでしょう。

今回は、ITレジリエンスの概要や背景、その対策にについて解説しました。次回は、ITレジリエンス事例などの実際の現場の状況や導入・強化の課題、これからの展望などについて解説します。

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