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経営企画部門

2025年5月26日

GXとSXの事例と今後の展望

DXの次のトランスフォーメーションとは?
~GX・SXについて~<後半>

前回は、GX・SXとは、なぜGX・SXなのかの背景や取り組み例などについて解説しました。今回は、GXとSXの違いや事例、課題、今後の展望などについて解説します。

GXとSXの違い

GXとSXは、今までのモノや技術などの対象が明確なトランスフォーメーションとは異なり、実は少々分かりにくい面もあり、両者の相違を以下に比較してみます。いずれも「持続可能な社会の実現」を目的としていますが、そのアプローチと焦点には明確な違いがあります。

比較項目GX(グリーン)SX(サステナビリティ)
主な目的脱炭素・環境負荷の削減 環境・社会・経済の持続可能性全体を対象
対象分野エネルギー、製造、建築、モビリティなど社会的包摂、企業倫理、循環経済、投資指標など
指標・評価軸CO₂排出量、再エネ比率などESGスコア、DEI(多様性・公平性・包括性)など
関連する国際枠組みパリ協定、グリーン成長戦略SDGs、TCFD、CSRD など

両者は相互に補完し合う関係にあり、GXはSXの一部と捉えることもできます。企業はこの両輪をバランスよく推進することが重要です。

GXとSXの実践事例

ここではGXとSXの代表的な実践事例を紹介します。

GXの事例

<トヨタ自動車株式会社>

トヨタは、ハイブリッド車、電気自動車(EV)、燃料電池車(FCEV)など多様な電動車を展開し、2050年までのカーボンニュートラル達成を目指しています。

<日本マイクロソフト株式会社>

日本マイクロソフトは、2030年までにカーボンネガティブを達成する目標を掲げ、Azureデータセンターの再生可能エネルギー100%化を推進しています。

SXの事例

<ユニリーバ・ジャパン株式会社>

ユニリーバ・ジャパンは、使用済みプラスチック容器の回収・再利用を推進し、イトーキと共同でアップサイクル製品を開発するなど、循環型経済の実現に取り組んでいます。

<Apple Inc.(アップル)>

Appleは、2030年までにサプライチェーン全体でのカーボンニュートラルを目指し、再生可能エネルギーの導入やリサイクル素材の使用拡大を進めています。

GX・SXの課題

GXやSXの推進には大きな意義がありますが、実際の導入にはさまざまなハードルも存在します。

共通する課題

<初期コストの負担>

再生可能エネルギー設備の導入や、サステナブル原材料への切り替えには多額の投資が必要となります。

<定量化の難しさ>

特にSXでは非財務情報の信頼性が課題であり、取り組みの成果をどのように数値化・評価するかが難しいとされています。

<グリーンウォッシングの懸念>

実態に伴わないPRが行われると、企業の信用やブランド価値を損なう恐れがあります。

GX特有の課題

<技術革新と制度設計のギャップ>

たとえばEV充電インフラの整備が遅れるなど、新技術の普及に補助金などを含めた制度が追いついていないケースが見られます。

<業種ごとの負担の偏り>

重工業など一部業界では、脱炭素の負担が特に大きく、対応が困難な場合があります。

SX特有の課題

<組織文化の変革の困難さ>

SXは全社的な意識改革を伴うため、浸透には時間とリーダーシップが求められます。

<ESG評価の統一性の欠如>

ESGの評価基準が分散しており、企業間での比較や投資判断が難しいという課題があります。

こうした課題に対しては、段階的な取り組みの導入、外部パートナーとの協業体制の構築、さらにはサステナビリティ専任部門の設置などが有効な対策とされています。

GX・SXの展開を支える技術と今後の可能性

課題がある一方で、近年ではデジタル技術の進展が、GX・SXの推進を大きく後押しする要素にもなりつつあります。ここでは、技術との連携によって広がる可能性と、今後の展開について見ていきます。

今後、GXやSXは、デジタル技術と連携することで新たな展開を見せると考えられます。
たとえば、GXの分野では、AIを活用することで、気候モデルの予測精度向上や再エネ配分の最適化といった応用が期待されています。
また、SXの分野では、ブロックチェーン技術を通じて、サプライチェーン全体の透明性やトレーサビリティを強化しリサイクルの効率化が高まる可能性があります。
サステナブルファイナンスに関しても、DXによりESG評価の標準化や、信頼性の高い情報開示基盤の整備進められる可能性があります。
さらに、レジリエンス対策とGX・SX戦略をDXにより統合することで、災害やパンデミックに強い経営基盤の構築につながることなどが期待されます。

DXで蓄積されたデータや技術基盤は、これらの取り組みを支える基盤として、今後も活用の幅が広がることが考えられます。

まとめ

企業のデジタル化が進んだ今、次に求められるのはGXとSXという新たな変革といえます。GXは環境負荷の低減に、SXは社会的・経済的な持続可能性の確保に焦点を当てており、いずれも企業競争力を高める重要な施策といえます。

DXの先にあるGX・SXは、もはや選択肢ではなく、企業が中長期的に存続し、成長していくための必須条件となりつつあります。今後は、こうした取り組みを経営の中核に据え、持続可能な社会とビジネスの両立を実現することが強く求められていくでしょう。

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