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<Flutter攻略への道・開発基盤の構築>第6回 基盤構想のブラッシュアップで可能性を広げる!

デベロッパーズ・インサイト「最新技術の実践レポート」

<Flutter攻略への道・開発基盤の構築>第6回 基盤構想のブラッシュアップで可能性を広げる!

基盤構想のブラッシュアップで可能性を広げる!

今回は、現在開発中の部内向けポータルアプリで構築している共通基盤を使って、他にはどんなアプリケーションが作れるのか──その可能性について掘り下げてみたいと思います。

前回のコラムでは、開発基盤としてAWSを選定した背景やその理由、機能要件の整理、アーキテクチャの検討プロセスについてお話ししました。AWSの各種サービスをうまく組み合わせることで、安全性・効率性・柔軟性を兼ね備えた構成を目指しているところです。

基盤を活かしたアプリケーション展開のアイデア

現在私たちは、リモートワーク時代における社内コミュニケーションの活性化を目的とした、部内向けポータルアプリを企画・開発していますが、この基盤は単一のアプリにとどまらず、今後さまざまなスマホアプリに応用可能な「共通資産」になると考えています。

今回構想している基盤では、「部内メンバーでも開発できること」「開発コストを抑えること」「機能追加を簡単にできること」を重視しています。これらは、部内向けアプリに限らず、あらゆるアプリ開発において有効な観点です。

開発言語には Flutter を採用。クロスプラットフォーム対応により、iOS/Android 双方への展開が容易になるほか、開発効率の向上も期待できます。また、今回整備する予定の認証機能、PUSH通知、エラーハンドリング、オフライン対応、デバイス情報取得などの共通機能は、多くのアプリの“土台”として使い回しが可能。これにより、個別のアプリ開発時にはUIやビジネスロジックの実装に集中できるというメリットがあります。

では、実際にどのようなアプリケーションが考えられるのか。以下では、特に有効だと考えられる3つのユースケースを紹介します。

1. 社内業務効率化ツール

たとえば、勤怠管理・経費精算・スケジュール管理などの社内業務を効率化するアプリケーションが挙げられます。

共通基盤の認証機能を使えば安全にログインでき、PUSH通知で承認依頼や締切リマインドを送ることが可能です。オフライン対応によって、出先や通信が不安定な状況でも業務継続ができます。

UI/UXを統一できるうえ、共通のエラー処理を基盤側で吸収できるため、顧客ごとのカスタマイズが発生しても開発工数を抑えることができます。

2. 顧客向けプロトタイプ作成

受託開発を提案する際に、プロトタイプを用意してイメージを具体化したいケースも多いでしょう。その場面でも、この基盤が力を発揮します。
ログイン画面や基本的な画面遷移をすぐに組み立てられ、顧客のニーズに合わせたプロトタイプの迅速な開発が可能です。Flutterのホットリロード機能を活かせば、打ち合わせの最中にリアルタイムで画面を修正する、といった動きもスムーズに行えます。
提案の具体性を高められるため、受注率アップにもつながりそうです。

基盤を活かしたアプリケーション展開のアイデア

3. プラグイン式業種特化テンプレート

業種別のテンプレートアプリを事前に用意し、必要に応じてプラグイン形式で機能を拡張する、という活用も考えられます。

不動産業向け:物件情報検索、内見予約
飲食業向け:メニュー閲覧、オンライン予約
小売業向け:商品カタログ、EC機能 など

テンプレートで基本機能を提供しつつ、企業ごとに必要なカスタマイズを追加実装するというアプローチで、短期間かつ低コストで独自アプリをリリース可能にします。

基盤の拡張性と柔軟性

この共通基盤のもうひとつの大きな魅力は、拡張性と柔軟性です。

AWSの各種サービスに加え、Flutterという柔軟なUIフレームワークを採用していることで、たとえば将来的な認証方式の変更や、新デバイスへの対応、UI刷新などにも対応しやすい構成になっています。

また、Flutterは比較的学習コストが低く、モダンなUI設計にも強いため、部内メンバーが新しいアプリ開発にチャレンジしやすいという点もポイントです。

まとめ

Flutterの正式版リリースから、まだ約6年(2018年12月登場)と時間は浅いですが、React Native や Xamarin と並び、今ではモバイル開発の主流の一角を占めつつあります。

これまでスマホアプリといえば、Objective-C/Swift/Java/Kotlinが主流でしたが、クロスプラットフォーム開発の流れは今後さらに加速していくと見られます。

まずは部内向けポータルアプリを皮切りに、実際の運用を通じてこの基盤を洗練させながら、汎用性の高い共通資産として育てていきたいと思います。

そして将来的には、部内外問わず多様なアプリ開発に展開できる強固な土台にしていければと考えています。

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