特化型AIの基礎理解とさまざまなAIの種類
日本語で使える特化型AI ~NotebookLM・Gensparkほか~

特化型AIとは?汎用AIとの違い
近年、ChatGPTやGeminiといった汎用AIは会話や一般知識に強みを見せていますが、業務の現場では「特定の目的に合わせた精度」と「無駄のない処理」が求められるようになっています。特化型AIはこのニーズに応え、「ドキュメント要約」「特定分野の知識検索」「Web調査」「ビジネスシナリオ特化」など、限られた用途に最適化されたAIです。
それらのAIは「研究論文の要約」「社内FAQ」「営業資料の制作補助」「Webリサーチ自動化」など、それぞれのニーズに応じた設計がされています。
本記事では、代表的な特化型AIや日本語に強い特化型AI、実践事例や未来展望などについて詳しく解説します。
代表的な特化型AI
以下にまず代表的な特化型AIの2種類をまず紹介します。
NotebookLM(Google)
NotebookLMは「アップロードしたドキュメント内容を深く理解し、要約や質問に答えてくれるAIノート」です。2025年4月に日本語での音声要約(Audio Overview)に対応し、従来は英語のみだった音声要約機能が日本語でも使用可能となりました。PDFやGoogle Docs、YouTube字幕なども読み込み可能で、文脈に沿った回答を得られます。日本における教育・資料整理現場でも活用が始まっています。
・日本語音声要約:資料を“オーディオブック化”でき、通勤・移動中に内容把握が可能
・引用付き回答:実際のページや段落番号の表示により、誤引用リスクを軽減
・マインドマップ機能も実装され、内容の構造的理解を容易にします
Genspark(OpenAI系マルチエージェントAI)
Gensparkは、複数エージェントが連携しながらユーザーのタスクをAIが代行する“実務支援AI”です。「案件調査 → レポート作成 → データ処理 → アクション実行(例:営業予約)」まで、1つのワークフロー全体をAIが代行する点で革新的です。 特に、マーケティング・営業担当者にとって強力な業務推進パートナーとなるポテンシャルを秘めています。
・Sparkpage:調査・検索・要約を自動で行い、資料作成の初期作業を大幅に効率化
・AIシート:自然文での指示から、表計算・グラフ作成などのデータ整形を自動実行
・AIコール:短い文章を入力するだけで、営業電話の予約や簡易対応を自動代行(実証段階)
その他、日本語に強い特化型AI
日本語での高度な情報処理や業務支援を行いたい場合、NotebookLMやGensparkに加えて、以下のような特化型AIも注目に値します。
Perplexity AI
検索エンジンと生成AIを組み合わせた質問応答特化型ツールで、特に出典付きの回答に強みがあります。検索元のリンクを自動で提示するため、ファクトチェックや論文・報告書の作成、プレゼン資料用のリサーチなど、正確性が求められるシーンに最適です。2024年からは日本語対応の精度も向上しています。
Felo AI
Webページの内容を理解し、見やすい図表やチャートに自動変換する機能に特化したAIです。視覚的な資料作成に優れており、営業提案書や会議用スライドの準備を短時間で効率化できます。
Napkin AI
自然言語で記述された文章や議事録、仕様書などを自動で図式化するツールで、フローチャートや概念図への変換に特化しています。特にIT設計・要件定義など、論理構造を重視する場面での活用がおすすめです。手書きメモや手入力スケッチのデジタル変換にも対応しています。
RakutenAI‑7B
楽天がMistral AI社のオープンモデル「Mistral-7B-v0.1」を基に開発した日本語LLMで、7B(70億パラメータ)という比較的軽量なモデルながら、日本語での応答精度が高く、社内FAQやチャットボット用途が期待されます。オンプレミスや閉域ネットワーク環境でも動作する点から、セキュリティ要件の厳しい企業内活用にも適しています。
今回は、代表的な特化型AIや特化型AIツールについて解説しました。次回は、特化型AIの分野別の活用事例や今後の進化の展望などについて解説します。