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なぜDX時代のビジネスに「VOC(顧客の声)」が不可欠なのか?

「顧客の声」から価値を生み出す!DX時代のVOC活用法<前半>

IT・デジタル化により高まるVOCの重要性

顧客やエンドユーザーを“理解”することは、あらゆるビジネスの出発点と言っても過言ではありません。そのために欠かせないのが「VOC(Voice of Customer)」、顧客の声の活用です。

VOCはこれまでも、商品・サービスの開発・改善、サポート品質の向上、マーケティング施策の精度向上など、ビジネスのさまざまな領域で活用されてきました。そしてその重要性は、近年のIT・デジタル技術の普及と進化に伴い、ますます高まっています。

その背景にあるのは、主にビジネス環境における次の2つの変化です。

・顧客接点の多様化

DX時代のビジネスの大きな特徴のひとつが、顧客接点の多様化です。かつては、企業がVOCに触れられる手段といえば、インタビューやアンケート、コールセンターでの電話対応、店舗や展示会での対話などに限られていました。
しかし現在では、これらに加えて、ホームページからの問い合わせやSNS、レビューサイト、オンラインチャット、オンラインコミュニティなど、顧客やエンドユーザーの声に接する機会が飛躍的に増えています。

・顧客体験(CX)の重視

インターネット、特にスマートフォンの普及以降に加速した情報過多により、以前のように商品やサービスの機能・スペックだけ他社と差別化することが難しくなっています。代わって重要視されるようになったのが、購入前から購入後に至るまでの“顧客体験”です。
VOCは、その体験価値を向上・改善するためのヒントが詰まった情報源であり、施策の方向性を示す羅針盤として重要な役割を果たします。

VOC活用が企業にもたらすメリット

ビジネスにVOCを活用することは、企業に以下のような重要なメリットをもたらします。

・顧客の定性情報を把握できる

VOCを活用する最大のメリットのひとつが、定量データでは見えにくい顧客のニーズや要望、ペインポイント(コストを掛けてでも解決したい課題や悩み)、期待、価値観といった“定性情報”を把握できる点です。
そのためには、ポジティブな声だけでなく、ネガティブな声に向き合うことも大切です。良くも悪くも率直な意見が集まりやすいSNSで自社に関する投稿をチェックし、商品・サービスやマーケティング活動の改善に結びつけている企業も少なくありません。

・定量データの解像度を上げる

VOCは定量データの“解像度”を上げる効果もあります。定量データは顧客の行動や結果を示しますが、その行動に至った理由や背景については推測に頼るしかありません。
そこで、例えば購入データやウェブサイトの行動履歴といった定量データとVOCを掛け合わせることで、「なぜその商品を購入したのか」「なぜECサイトから離脱したのか」といった文脈が明確になります。結果として、定量データに対する理解が深まり、施策の精度向上にもつながります。

・ブランド価値と顧客ロイヤルティの向上

近年、企業活動におけるブランディングの重要性はますます高まっていますが、企業の姿勢や価値観そのものがブランドの評価に直結する時代において、VOCの活用はブランディングの観点からも重要です。
とりわけ、顧客の声に真摯に耳を傾け、それをビジネスに積極的に取り入れようとする姿勢は、企業の信頼性や透明性の向上に直結します。また、こうした取り組みを積み重ねていくことで、顧客との関係性が強化され、長期的な利益をもたらすロイヤルティの高い顧客の創出・拡大にもつながっていきます。

VOC分析を効率化するIT・デジタルツール

IT・デジタル化の進展によりVOCを収集できる手段が増えたとはいえ、定量データと同様に、VOCも「ただ集めるだけ」ではビジネスの成果にはつながりません。重要なのは、収集した声を分析し、課題やニーズを明確化して施策に活かすことです。

近年、人手では時間と工数の掛かるVOC分析を効率化し、より深い洞察を可能にするさまざまなIT・デジタルツールが登場しています。その中で代表的なツールを紹介します。

・AI音声認識ツール

カスタマーサポートなどでの顧客との通話内容を、AIの音声認識技術で自動的にテキストデータ化するツールです。最近では、生成AIの活用により、テキストを分析に適した形式に要約する機能や、FAQ(よくある質問と回答)を自動生成する機能を備えたツールも登場しています。

・テキストマイニングツール

AIの自然言語処理技術を活用し、オンラインチャットや問い合わせメール、アンケートの自由回答など、大量のテキストデータから有益な情報を抽出・分析するツールです。頻出するキーワードを抽出・集計しグラフ化する機能や、テキストの内容から書き手の感情を読み取り、「ポジティブ」「ネガティブ」「ニュートラル」に分類する感情分析機能を備えており、VOCの傾向を多角的に把握できます。

・ソーシャルリスニングツール

SNS、ブログ、掲示板、レビューサイトなどのソーシャルメディアに投稿された、自社に関する口コミ情報を収集・分析するツールです。通常、投稿者の属性分析、投稿内容の感情分析、口コミ件数の推移などをまとめるレポート機能などが備わっており、商品・サービスの改善やキャンペーンの効果測定、競合の動向把握、炎上リスクの早期察知などに活用されています。

・BI(Business Intelligence)ツール

企業内に散在する大量のデータを集約し、分析・可視化するツールです。経営分析や経営判断を支援するツールとして知られていますが、VOC分析においても活用されています。複数のチャネルから集めたVOCデータをダッシュボード上で統合し、俯瞰的な視点で多角的な分析を行うことが可能です。

この他にも、ECサイト向けにレビュー投稿機能と分析機能を提供するサービスや、AIが収集したVOCを分析して顧客のインサイト(顧客自身も気づいていない潜在的な不満やニーズ)を抽出するツール、同じくAIが改善を要する課題とそのための具体的にアクションプランを提示してくれるツールなども登場しています。

次回の後半記事では、実際に企業がどのようにVOCを活用し、成果を出しているのか、国内のDX推進企業の事例を通じて紹介します

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