デジタルトランスフォーメーションをもっと身近に

多くの企業が見落としている、DXに必要な「カルチャー」とは?

DXに必須! 「企業文化(カルチャー)」の醸成・変革に有効な取り組みとは?

カルチャーがDXの成否とスピードを左右する

一般に「企業文化(以下:カルチャー)」の醸成は抽象的で成果が見えにくいものとされ、特に短期的な業績を優先する企業では軽視されることも少なくありません。しかし、アメリカではヒューレット・パッカードやネットフリックス、日本でもトヨタ自動車からメルカリなど、持続的に成長を遂げている企業には、共通して独自の強いカルチャーが根付いています。

ビジネスにおけるカルチャーとは、一般に「企業の社風や体質」、またはそれらを形成する「従業員の価値観や行動規範」などを指します。明確なカルチャーを確立することで、次のような効果が期待できます。

・従業員の参加意識やエンゲージメントが向上する
・行動や意思決定に一貫性が生まれる
・自社にフィットした人材を惹きつけやすくなる

このようなカルチャーの重要性は、もちろんデジタルトランスフォーメーション(以下:DX)においても変わりません。むしろ、全社的な変革を伴うDXのような取り組みでは、カルチャーの有無がその成否やスピードを左右するといっても過言ではないでしょう。実際、経済産業省によるDXの定義でも、「製品・サービス、ビジネスモデル、業務の変革」と並び、「企業文化・風土の変革」がDXの目的のひとつとして挙げられています。

DXとは、IT・デジタル技術を活用して新たな価値を創造すること。その最適な形は企業によって異なるものの、「失敗や変化を歓迎し、社員一人ひとりの創造的なチャレンジを後押しするカルチャー」の存在は不可欠と言えます。今回は、そうしたカルチャーの醸成・変革に積極的に取り組んでいる国内DX推進企業の事例を紹介していきます。

「KPI」を活用したカルチャー醸成・変革事例(1)

冒頭でも述べたように、カルチャー変革の取り組みが後回しにされる理由として、成果が見えづらいと思われがちな点が挙げられます。しかし、効果的なKPI(重要業績評価指標)を設定し、醸成度合いを定量的に測定しながら着実に変革を進めている企業も存在します。

その代表例と言えるのが、株式会社丸井グループです。同社は企業文化を「経営のOS」と捉え、約20年前から変革に着手。2023年には、社員の創造性を高めてイノベーションを創出することを目的に、「失敗を許容し挑戦を奨励する文化」への変革を掲げる『企業文化2.0』をスタートさせました。

その取り組みの一つが「行動KPI」の設定です。具体的には、社員が自らの手挙げによって挑戦の場に参加した回数を示す「打席数」や、成功・失敗を問わずイノベーションに向けた挑戦の数を測る「試行回数」といった指標を設けています。

さらにユニークなKPIが、「フローに入りやすい状態にある社員比率」です。社員一人ひとりの創造力を全開にするために「フロー(没頭)理論」に着目したことから始まった取り組みで、社員が“やらされ感”を抱えることなく、自分の強みを生かして挑戦できる組織をつくることを目的としています。

2023年の比率は42%でしたが、2030年までに60%に向上させることを目標としているとのこと。そのために同社は、「プロジェクト型」の働き方と組織の確立、自立自走する「課長のいない組織」づくり、社員が自分の「好き」を活かした事業アイデアを提案する社内コンクールの実施、といった取り組みを進めています。

参照:企業文化|株式会社丸井グループ

参照:「フロー状態」に入れる組織へ|この指とーまれ! by MARUI GROUP

参照:「好き」を応援するコンクール ~社員の「好き」を活かしたイノベーション創出~|株式会社丸井グループ

「KPI」を活用したカルチャー醸成・変革事例(2)

日本電気株式会社(NEC)では、新しい価値を生み出す企業風土の醸成には従業員エンゲージメントの向上が欠かせないという考えから、「エンゲージメントスコア」をKPIとして採用し、人とカルチャーの変革に取り組んでいます。

エンゲージメントスコアとは、従業員データを人事領域に活用する「ピープルアナリティクス」の手法の一つで、従業員の会社に対する共感度合いを数値化する指標です。同社では、このスコアを構成する要素として、「Stay」(会社に留まることを強く望む)、「Say」(会社について他社に肯定的に語る)、「Strive」(仕事上求められる以上に努力する)の3点を測定しています。

目指すのは、2025年度までにエンゲージメントスコア50%の達成。その実現に向けて、多様なタレント人材の活躍、タレントマネジメント、適時適所適材の実現、働き方マインドセット変革(働き方変革)など、多岐にわたる施策を展開しています。

参照:DX銘柄2025|経済産業省、株式会社東京証券取引所、独立行政法人情報処理推進機構

参照:NECの働き方改革~エンゲージメントスコア10pt向上の裏側~|日本電気株式会社(NEC)

次回の後半記事では、さらにバラエティに富んだ取り組み事例を紹介します。

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