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シニア世代のIT利用の実態とデジタルシニア時代の到来

デジタルシニア時代の現在地
― シニア世代のIT利用と、シニア向けITサービスの広がり ―

「デジタルシニア」「シニアDX」という言葉が生まれた背景

近年、「デジタルシニア」や「シニアDX」という言葉を耳にする機会が増えています。これらは、単に高齢者がITを使えるようになることを意味するものではありません。社会全体のデジタル化が進む中で、シニア世代がデジタル技術を前提に生活し、社会と関わる段階に入ったことを示す概念として使われ始めています。

背景には、日本社会の急速な高齢化があります。総人口に占める高齢者の割合は今後も増加が見込まれており、シニア層はもはや「一部の特殊な層」ではありません。これに加えて、スマートフォンやクラウドサービスの普及が、IT利用のハードルを大きく下げました。

かつてはパソコン操作が前提だったIT利用も、現在ではスマートフォンを中心とした直感的な操作へと変化しています。さらにコロナ禍を契機に、オンライン診療やキャッシュレス決済、行政手続きの電子化が進み、ITは「使えたら便利なもの」から「使うことが前提の生活インフラ」へと位置づけが変わりました。

こうした変化を踏まえると、シニア世代を一律に「デジタルに弱い層」と捉える見方は、もはや現実と合わなくなりつつあると言えるでしょう。

本記事では、シニア世代のIT利用の実態を整理したうえで、健康・生活支援・金融・行政などの分野で広がるシニア向けITサービスを概観します。さらに、企業や行政にとってシニアDXがどのような意味を持つのかについて、課題なども交えながら今後を展望・考察します。

シニア世代のIT利用はどこまで進んでいるのか

総務省の調査などを見ると、70代におけるスマートフォン利用率は年々上昇しており、現在では多くの人が日常的に利用しています。利用内容も、単なる通話やメールにとどまりません。

LINEを中心としたコミュニケーション、YouTubeやニュースアプリによる情報収集、ネットショッピングや地図・ナビアプリの活用、さらにはネットバンキングやキャッシュレス決済まで、若年層と大きく変わらない利用行動が見られるようになっています。

特に注目すべき点は、ITが「補助的な存在」ではなく、生活の中核を支えるツールとして使われているケースが増えていることです。YouTubeは娯楽用途だけでなく、健康体操や料理、趣味の学習など、日常生活を支えるメディアとして機能しています。

また近年では、生成AIを活用し、文章の要約や調べものの相談相手として使うシニアも現れ始めています。音声入力や自然な対話による操作は、従来の検索エンジンよりも心理的なハードルを下げ、IT活用の幅をさらに広げています。

健康・安心を支えるシニアのIT活用・DX

シニア世代のIT利用の中でも、特に重要性が高まっているのが健康管理と見守りの分野です。

スマートウォッチやスマートフォンを使った歩数計測、心拍数の管理、睡眠ログの取得はすでに一般的になりつつあります。これに加え、服薬リマインダーアプリやオンライン診療の利用も広がり、医療とITが日常レベルで結びつく環境が整いつつあります。

さらに、IoTセンサーやカメラを活用した見守りサービスは、独居高齢者や高齢世帯の増加を背景に注目を集めています。これらは、シニア本人の安心だけでなく、離れて暮らす家族や介護関係者の負担軽減にも寄与します。

重要なのは、こうしたIT活用がシニア本人だけで完結していない点です。家族や支援者が状況を把握し、必要に応じて関与できる仕組みが、実運用において大きな意味を持っておりDXといえるでしょう。

シニアのIT利用・DXに見られる特徴

シニア世代のIT利用・DXを整理すると、いくつか共通した特徴が見えてきます。それは操作スキルの問題というよりも、利用環境や心理的前提の違いによるものです。

代表的なのが、「迷わず使えること」「失敗しても元に戻れること」への強いニーズです。文字の見やすさや操作手順の少なさに加え、誤操作を前提とした設計、音声ガイドなどの補助機能が重視される傾向があります。

また、初期設定やアプリ導入、トラブル対応を家族が担うケースも多く、本人の使いやすさと同時に、周囲が支援しやすい設計が求められています。これは、シニアがITを「使えない存在」だからではなく、生活に深くITが入り込んでいるからこそ、安心して継続利用できる仕組みが重要になっていると言えます。

このような利用実態を正しく理解することが、シニアDXやシニア向けITサービスを考える上での出発点となります。

今回は、「デジタルシニア」「シニアDX」という言葉が生まれた背景や、利用の実態、特徴などについて解説しました。後半では、シニア向けITサービス市場具体的な分野例、企業・行政によるシニアDXの取り組みな実際の企業・社会へのインパクトなどについて解説します。

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