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<Flutter攻略への道>第3回 基盤の標準機能活用

デベロッパーズ・インサイト「最新技術の実践レポート」

標準機能による基盤の整備

社内ポータルアプリ開発プロジェクトの第3回目の連載では、基盤の標準機能についてお話しします。前回の記事では、基盤に取り込むべき機能の選別と設計の方針を共有しましたが、今回はそれらの基盤機能をどのように標準化して開発に役立てるか、より具体的に説明していきます。

ウィジットライブラリの活用

私たちのアプリ開発では、初期の段階から基盤となる標準機能をしっかり整えることを重視しました。これはプロジェクトごとにゼロから開発を始めるのではなく、再利用可能な共通基盤を持つことで開発速度を上げ、品質を確保するためです。Flutterはクロスプラットフォームの強みを持ちつつ、柔軟で豊富なウィジェットライブラリがあるため、標準機能の構築に非常に適しています。

標準機能を以下のカテゴリに分け、それぞれの取り組み内容を紹介します。

1.UI/UXコンポーネントの標準化
2.視覚的なアプリケーションを構築
3.ユーザー体験の向上
4.スマホ特有な機能
5.エラー処理とログ記録

ウィジットライブラリ

1.UI/UXコンポーネントの標準化

最初に取り組んだのがUI/UXコンポーネントの標準化です。Flutterのカスタムウィジェットを活用し、頻繁に利用されるUI要素を独自のウィジェットライブラリとして作成します。このライブラリには、ボタン、フォームフィールド、ダイアログなどが含まれ、プロジェクト全体で統一感を持ったユーザーインターフェースを実現することを計画しました。

また、レスポンシブレイアウトの構築も標準化の一環です。現在のアプリケーションは多種多様なデバイスで使用されるため、異なる画面サイズに対応するレイアウト設計が欠かせません。Flutterの`LayoutBuilder`や`MediaQuery`を活用し、共通のレスポンシブパターンを提供します。

2.視覚的なアプリケーションを構築

次に、UIを更新するための手法である状態管理について説明します。Flutterには多くの状態管理ソリューションがありますが、私たちは`Provider`や`Riverpod`を含む複数の選択肢をもつことを計画しました。開発者の経験や将来的な拡張性を考慮して、最適なソリューションを選定できるようにするためです。そして、状態管理を基盤として整えることで、全ての開発者が一貫したアプローチでアプリの状態を管理できます。

ProviderとRiverpodの特徴

特徴ProviderRiverpod
依存関係管理ウィジェットツリーに依存ツリーに依存せず自由に定義可能
パフォーマンス大規模になると複雑化しやすい高効率で必要最小限のリビルドを実現
型安全性場合によってエラーが実行時に発覚コンパイル時に型エラーを検知
テストのしやすさ比較的難しいテストフレンドリーな設計
学習コスト低いやや高い

Providerの主な用途:
・ユーザー認証情報やアプリ設定の共有。
・カート機能のようなシンプルな状態管理。
・アプリ全体で必要なサービス(例: データベースクラス、APIクライアント)の提供。

基本の使い方

Provider基本の使い方


Riverpodの主な用途
・中~大規模なアプリで、複雑な依存関係を扱う場合。
・ユニットテストがしやすいアーキテクチャの構築。

基本の使い方

Riverpod基本の使い方


また、データの一貫性と同期を保つことで、ユーザーの操作に迅速に応答するアプリケーションを構築することができますし、コードの見通しを良くすることで、バグの発生を減少させることも期待できます。

アプリ内のナビゲーションはユーザー体験に直結する重要な部分です。ルートの定義や画面遷移のパターンを標準化し、どのプロジェクトでも共通して使用できるナビゲーション構造を作成するようにしています。

3.ユーザー体験の向上

アプリの応答速度を早めるためには、データ永続化をアプリケーションの基盤機能として用意することが重要です。私たちは`SQflite`を用いたSQLiteを利用してローカルデータベースの標準的な操作を行えるようにしています。更にキャッシュ管理システムの構築も検討しています。例えば、ユーザーが何度も同じデータを要求するような場合、そのデータをキャッシュしておくことで応答速度を向上させ、ユーザー体験を向上させることができるからです。

ユーザー体験の向上

4.スマホ特有な機能

Flutterアプリでは、ネイティブデバイス機能との統合も重要な要素です。カメラや位置情報といったデバイス固有の機能にアクセスするためのラッパーを基盤として用意します。これによりネイティブコードを書くことなく、シンプルなAPIで各機能にアクセスできるようになります。また、プッシュ通知の受信と表示ロジックの標準化も検討しており、ユーザーへの重要な情報提供が円滑に行えるようにすることを目指しています。

バックグラウンド処理も基盤の一部としてサポートすることを検討しています。特にデータの同期や通知のスケジューリングは、アプリのパフォーマンスやユーザー体験に直結するため、慎重に進めます。

5.エラー処理とログ記録

エラー処理とログ記録は、アプリケーションの品質を保つ上で欠かせない部分です。私たちはグローバルエラーハンドリングシステムを導入し、予期しないエラーが発生した場合でもユーザーに適切なメッセージを表示し、アプリがクラッシュしないようにしています。また、ログ記録のメカニズムも標準化し、エラーの原因を迅速に特定できるようにすることも検討しています。Flutterに限った話ではありませんが、ログは開発中だけでなく運用中のトラブルシューティングにも有用です。

標準機能を整備する効果

基盤の標準機能を整えることは、単にコードの再利用性を高めるだけでなく、開発の効率化、品質の向上、そして将来的な拡張性をもたらします。Flutterを用いた基盤構築は、クロスプラットフォーム開発における理想的なアプローチを提供し、私たちのアプリ開発を次のレベルに引き上げています。

次回の記事では、部内ポータルの機能について紹介していきます。皆様のプロジェクトにも役立つ情報をお届けできるよう努めますので、ぜひご期待ください。

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