デジタルトランスフォーメーションをもっと身近に

経営改革促進

2021年12月6日

“DXグランプリ2021企業”に学ぶ一般社員のデジタルリテラシー向上策

“DXグランプリ2021企業”はどのようにしてDXの課題を克服したのか?<前半>

DXが本格化した2021年

2021年も残すところあとわずか。今年も昨年に引き続きコロナ禍に覆われた1年でしたが、東京パラリンピックが終了し、全国で緊急事態宣言が解除されてからは、徐々に以前の生活リズムを取り戻しつつあるという方も少なくないのではないでしょうか。もちろん、医療・介護従事者の方々の負担を思えば軽率な行動は控えるべきですし、年明けには第6波の襲来も懸念されており、予断の許さない状況であることには変わりません。今はただ、少しでも早い収束を願うばかりです。

ビジネスの世界から2021年を振り返ると、いよいよDXが本格化しはじめた1年だったと言えるでしょう。DXに関するテレビCMを目にする機会も増えましたし、『調査結果から見えてきたDXの現状と課題』という記事でも紹介したように、実際に多くの企業が着々とDXを推進しています。なにしろ、経済産業省が日本経済の危機として警鐘を鳴らしている「2025年の壁」まで残り約3年。今後、この流れが止まることは考えられないでしょう。

とは言うものの、実際にDXを進めていくのは口で言うほど容易なことではありません。DXによって業績を伸ばす企業が増える一方で、頓挫したり行き詰っていたりしている企業が多数存在するのも事実です。ただ、だからといってDXを諦めたり躊躇したりするのはいささか早計に過ぎます。なぜなら、現在DXに成功している企業も、最初からすべて順調に進んできたわけではないからです。

たとえば、不動産テック事業を展開しているSREホールディングス株式会社もそんな企業のひとつ。コロナ禍でも売上高を大幅に伸長させ、経済産業省と東京証券取引所が選定する「DXグランプリ2021」にも選ばれた同社ですが、インタビューなどではDXを進める中でいくつもの課題を抱えていたと語っています。

今回の記事では、そんなSREホールディングスが、DXを推進する上でどのような課題をどのように乗り越えてきたのか、具体例とともに紹介します。2022年こそはDXを始めたいと考えている企業の方、現在DXに行き詰っていて悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。

※記事中のSREホールディングス株式会社の事例については下記コンテンツを参照しています。
【DX銘柄2021】DXグランプリ企業取組紹介(YouTube)
DXグランプリ2021のSREホールディングス 不動産業界を変革(『先端教育』)

課題1:非IT人材のデジタルリテラシー

SREホールディングスの課題の一つが、不動産業務に携わる一般スタッフのIT・デジタルリテラシーでした。専門的な知識・スキルを持つデジタル人材に関しては外部から優秀な人材を集めたものの、肝心の現場業務や顧客心理を肌感覚として理解しているスタッフのデジタル知識が十分ではなかったそうです。

このいわゆる非IT人材のデジタルリテラシーについては多くの企業で課題に挙げられており、IPA(独立行政法人情報処理推進機構)の資料『デジタル・トランスフォーメーション推進人材の機能と役割のあり方に関する調査』でも、26.1%の企業が「DXを実現する上で、社員のITリテラシーが不十分である」と回答しています。

とはいえ、DXの目的はデジタルを活用して全社的にビジネスや組織を変革すること。業務部門の社員であっても、DXの価値や重要性を正しく認識し、デジタルやデータをどのようにビジネスに活用できるか、といった勘所くらいは理解しておく必要はあるでしょう。では、SREホールディングスは、一般従業員のデジタルリテラシーを底上げするためにどのような取り組みをおこなってきたのでしょうか。

同社の取り組みは大きく分けて3つ。1つ目は経営トップの強いコミットメントです。具体的には、同社代表の西村和良氏が率先して全社員にDXを進める意義についてメッセージを発信しているとのこと。トップダウンによる意識改革というと当たり前のように思われるかもしれませんが、経済産業省の『デジタル人材に関する論点』という資料で「日本の経営者はDX戦略を描けず、コンサルティング会社やITベンダーに自社の戦略策定を依頼していることも多い」と指摘されているように、ことDXにおいては数少ない存在と言えるでしょう。

元々同社は、西村氏がソニー時代に体質の古い不動産業界の変革を目指して設立したという企業。こうしたイノベーティブな企業トップがDXに積極的に取り組む姿は、昨年のDXグランプリ2020に選ばれたトラスコ中山株式会社を思い起こさせもします。

2つ目の課題は従業員のDXに対するモチベーションを向上・維持させるために、人事評価体系にDXへの貢献度を組み込んだこと。3つ目は社内のデジタル人材を講師とした社内研修です。

こうした会社側の積極的な働きかけや支援は他のDX成功企業にも共通しているものですが、SREホールディングスの場合、より「実践的」なデジタルリテラシー習得につながる取り組みもおこなっています。次回、もうひとつの課題解決事例とともに紹介します。

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