DXを支える5G
DXを加速させる5G ~5GがもたらすDXの将来像~<前半>
5Gとは
■5Gの概要
5Gとは「第5世代移動通信システム」のことで、「高速大容量」「高信頼・低遅延通信」「多数同時接続」という3つの特徴があります。日本では2020年春からサービスがスタートし、次世代の通信インフラとして社会に大きな技術革新をもたらすと言われています。
4Gがスマーフォンで大きなデジタル変革を起こしたのと同様に、5GはDXを支える重要な通信インフラになると考えられています。
■これまでの通信スペックの推移(1G~5Gへ)
【1G】アナログ携帯電話(1980年代)
1980年代には1Gが開始されました。1985年にはポータブル電話機「ショルダーホン」が、1987年には「携帯電話」が登場しました。1Gは、音声を信号に変換して電波に乗せるアナログ方式で、機能は音声通話のみでした。
【2G】メール・インターネットの普及(1990年代)
1990年代には2Gが普及しました。通信方式はアナログからデジタルへと変わり、データ通信が容易になったことでメールの利用やインターネットへの接続が可能になりました。
「iモード」「着信メロディ」「待受画面」などが登場しNTTドコモに続き、KDDIの前身にあたるDDIセルラーグループが「EZweb」を開始しました。
【3G】高速通信(2000年代)
通信速度が2Gの2.4kbps~28.8kbpsから3Gの384kbps~14Mbpsへと大幅に向上し、より大容量のコンテンツである「着うた」などさまざまなサービスが一気に登場し、コンテンツビジネスが活発化しました。そして2008年にはソフトバンクが「iPhone 3G」を発売し、スマートフォン時代への幕開けとなります。
【4G】超高速通信(2010年代~)
そして現在の主流である4Gでは通信速度が50Mbps~1Gbpsと飛躍的に向上し、モバイルゲームや動画など大容量コンテンツを楽しめるようになり、スムーズなインターネット通信環境でスマートフォンの爆発的な普及が進みました。
DXをもたらすローカル5G
■ローカル5Gの概要
ローカル5Gとは、キャリアが提供する5G回線とは別に、企業や自治体などが自らの建物内や敷地内といった特定のエリア限定で自前の5G環境を構築し、IoTを使ったシステムやスマートファクトリーなどで5Gを活用しようとするものです。
■ローカル5Gのメリット
ローカル5Gにはいくつかのメリットがあります。以下の3点を紹介します。
<キャリアの環境に左右されずに高速通信を使用できる>
自前のローカル5G専用通信網の確立により、キャリアの通信混雑などの状態に左右されることなく、また4Gとの混在もなく常に高速で安定した5Gの利用環境を確保できます。
<セキュリティを確保できる>
ローカル5Gは閉域網なため、外部とのやり取りがなくセキュアな環境を提供でき、情報漏えいなどを危惧する必要がありません。そのため、機密情報をやり取りするなどセキュリティの確保が重要な商用ビジネスに適しています。
<Wi-Fiより広範囲で繋がる>
現在、さまざまな場所でWi-Fiが使われています。Wi-Fiは非常に便利なネットワークインフラですが、繋がる範囲は狭く通信エリアが限られるという弱点があります。そのため、製造業では広大な工場の中ではネットワークインフラとして使いにくいという課題があります。ローカル5GはWi-Fiに比べて電波がより遠くまで繋がるため、こうした分野でスマートファクトリーなどのネットワークインフラとして普及していくと考えられています。
今回、5Gの概要や、過去の1Gから5Gまでの「移動通信システム」の変遷、ローカル5Gのメリットなどをお伝えし、今後5GはDXを支える通信基盤として重要な役割を担うであろうということがわかりました。
ただし、5Gはあくまで通信基盤であり、DXを進めるためには、いかに5Gを活かしてITテクノロジーを結びつけ新しいビジネスを生み出すかが重要です。
次回は5Gの現状や実証実験などの状況、5GもたらすであろうDXの将来像などについてお伝えしていきます。