経営改革

2020年1月20日

自社システムの全体像を把握とオープンイノベーション推進がデジタルトランスフォーメーションの第一歩

なぜデジタルトランスフォーメーションが必要なのか?「2025年の崖」について考える<後半>

自社システムの全体像を把握とオープンイノベーション推進がデジタルトランスフォーメーションの第一歩

まずは「見える化」から始めるべき

デジタルトランスフォーメーション(DX)、2025年の崖――。こうしたキーワードを受け、現状の課題に対して、企業はどんな対策を打つべきでしょうか。DXレポートから経済産業省も複数の方向性を打ち出しており、それに呼応するかたちで各ベンダーも独自の視点からさまざまなメッセージを打ち出し、具体的なソリューションを提供しています。

そうしたソリューションを個別にここでは紹介しませんが、何よりも優先して取り組むべきと強調しておきたいのは、企業自身が自社システムの全体像を把握できるようにすることを目的とした「見える化」の必要性です。

誤解を招いてしまうので補足しますが、これはDXの機能の一部として必要となるものではありません。自社のシステムに対して行った施策がどんな効果をもたらしたのか、その投資は適切だったのかといったことを、しっかり評価するために利用するものです。

レガシーシステムに内在している無駄や非効率を把握し、改善の進捗を見える化することでこそ、変革が生まれていき、それがデジタル技術としての変革(=DX)にもつながっていくはずです。従って、何をどのように見える化するのか、その企業自身の指標と診断スキームをまずしっかり構築することが重要です。

AIやRPAなどの最新の技術にチャレンジすることはもちろん姿勢として大切です。ですが、DXの推進は必ずしも最新技術を取り入れることだけを意味しません。その前にまずやらなければならないのは、既存のレガシーシステムや自社のIT投資のあり方を客観的かつ俯瞰的に把握し、どの最新技術が自社にとって適切なのかを見極めるための土台づくりです。

新技術やベンダーとの付き合い方を見直す

課題に対する解決策の指針を見出したら、あとは積極的な情報収集です。しかしここにも課題が内在します。米国では、IT人材はITベンダーよりもユーザー企業に多く在籍していることは有名です。このため企業は一定水準以上のIT活用のノウハウをもっています。ところが日本ではITに関する十分な専門知識をもたないことから戦略的なIT活用を計画できず、自社お抱えのSIベンダーに全面的に依存しているケースが珍しくありません。

このような体制では、自社に適した最新技術を開拓してシステムのモダナイゼーションを推進するなど、いつまでたっても不可能なままです。再び米国の事情を例にとると、CIOや情報システム部門が自分自身でベンダーを評価し、これまでに誰も使っていないベンダーを探し出してくることで評価を得ることがあるとDXレポートで指摘されています。

もちろん、経営陣を説得する難しさはあるかもしれません。しかし、そうした米国企業の姿勢に目を向ける必要があるでしょう。IT部門として前例がないことを恐れるのでなく、従来の枠組みにとらわれない新たな提案を行っているベンチャーにも広く目を向け、その技術の導入・活用にチャレンジしようとするメンバーを評価する風潮や仕組みが必要です。こうした足元の風土や文化を変えていく取り組みが、IT人材のモチベーションを高めることにもつながっていくはずです。

自社に閉じず「オープン」を重視する

一方、DXレポートでは「協調領域については個社が別々にシステム開発するのではなく、業界ごとや課題ごとに共通のプラットフォームを構築することで早期かつ安価にシステム刷新することが可能である」とも述べています。非競争領域に関しては、業務システムの共通化を図っていくことが望ましいという考えです。

そうした例は実際にありますが、もちろん複数の企業が手を組んでシステムの共同利用や共同開発を行うところまで漕ぎつけるには多くの困難が予想されるので、すぐに実践することは困難でしょう。

しかし、この提言は非常に有益な示唆を含んでいます。それは、企業はそれぞれが独自のシステムを構築するのでなく、「世の中に共有されているベストプラクティスをもっと採用すべき」という考えの重要性を浮き彫りにします。

そのためにはさまざまなソリューションのユーザー会やコミュニティ、外部の勉強会などに参加し、現場レベルの情報をインプット/アウトプットするところから始めるという手もあるでしょう。企業側としても、従業員のそうした行動へ投資する考えが必要です。

話を戻すと、もちろんこうした取り組みを積極的に行っていこうとしても、現状の業務が忙しい、レガシーシステムを維持することで手いっぱいの状況では身動きがとれません。だからこそ既存業務を効率化することが急務であり、どの業務を効率化すべきか、戦略を明確にしていくためにも、前項で触れたような現状の見える化を今すぐに着手していく必要があります。

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