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経営改革促進

2022年12月5日

成長続くサブスクリプションビジネス、あらためてその仕組みとは?

DX推進企業も続々参入するサブスクリプションビジネス<前半>

ジャンルレスに拡大

「サブスク」という略称も一般化し、すっかり私たちの生活に定着した感のあるサブスクリプションビジネス。株式会社矢野経済研究所の調査によると、国内の市場規模は2024年度に1兆2422億円と21年度の1.3倍になる見込みとなっており、今後もさらなる拡大が予想されます。

その隆盛の背景にあると言われているのが、インターネット~スマートフォン普及以降の「所有から利用へ」という消費ニーズの変化です。当然ながら、そうした変化に敏感なDX推進企業の参入も目立ちます。そこで今回は、サブスクリプションビジネスに興味のある方や参入を検討している企業の方に向けて、基礎知識や活用事例を紹介していきます。

まずは仕組みの説明から。「サブスクリプション」とは、一般的な取引・契約のように商品・サービスを利用するたびに料金が発生するのではなく、一定の利用期間について決まった料金が発生するビジネスモデルを指します。元々サブスクリプションという言葉自体は、新聞・雑誌の定期購読について使われていたと言われています。

ただし、「サブスクリプション=月額定額制」という訳ではありません。一般に普及しているサービスの多くは月額定額制ですが、他にもサービスを利用した回数や時間、量、人数などに応じて料金が生じる「従量制」や、定額制と従量課金制をミックスさせた「定額従量制」など、様々な料金体系(課金モデル)が存在します。

サブスクリプション

また、料金体系だけでなく、取り扱う商品・サービスもバリエーションに富んでいます。現在サブスクリプションの代表的存在といえば、動画配信サービス『Netflix』や音楽配信サービス『Spotify』などのデジタルコンテンツですが、それ以外にも以下のように様々なジャンルの商材が扱われています。

〈B to Cのサブスクリプションビジネス例〉

自動車、アパレル、コスメ、食品、カフェ・レストラン、オンライン英会話スクール、ゴルフ、ホテル、婚活(結婚相談)etc.

〈B to Bのサブスクリプションビジネス例〉

クラウドサービス(SaaSなど)、集客・マーケティング支援、シェアオフィス、物流ロボット、ICT(情報通信技術)実装の建設機械etc.

サブスクリプションならではのメリット

このようにサブスクリプションビジネスが拡大しているのは、利用者・事業者ともに他のビジネスモデルにはないメリットを得られるからです。それぞれいくつか紹介しましょう。

〈サブスクリプション利用者側のメリット〉

-お得感がある

特に定額制の場合は、頻繁に利用したいユーザーほどお得感を感じられます。購入するより初期費用がかからないので、お試し感覚で利用することもできます。

-手間がかからない

管理や廃棄など、所有によって生じる手間がかかりません。また、分割払いと違い、不要になっても大きな損失なく利用を中止(解約)することが可能です。

〈サブスクリプション事業者のメリット〉

-事業の安定性が期待できる

継続的に収益を上げる「ストック型」ビジネスのため、安定収益が見込め、将来のキャッシュフローが高い精度で予測できます。

-新規顧客を獲得しやすい

売り切り(物販)モデルよりも安価に利用してもらえるので、新規顧客にアプローチしやすく、顧客数の増加が期待できます。

ただし、こうしたメリットが期待できる一方で、注意すべきデメリットも存在します。特に事業者にとって大きなデメリットが、収益化(黒字化)に時間を要すること。ストック型ビジネスの宿命とはいえ、とにもかくにもそれまで事業継続するための資金や企業体力が必要です。

また、上記2つのメリットについても、当然ながら「健全に事業運営できれば」という条件が付きます。とはいえ、そのために欠かせない取り組みは他のビジネスモデルと変りません。適切なKPIを設定し、それらをモニタリングしながら常時改善に努めること。サブスクリプションビジネスで一般的に用いられているのは以下のKPIです。

・MRR(Monthly Recurring Revenue:月次経常収益)

毎月継続的に発生する収益。お試し料金やオプション料金など一度しか発生しない収益は含みません。月額定額制のサービスでは必須の指標です。

・CAC(Customer Acquisition Cost:顧客獲得費用)

顧客一件獲得に要したコスト。営業・マーケティング戦略の効果検証に用います。コストには営業・マーケティング費だけでなく、担当者の人件費なども含みます。

・チャーンレート(Churn Rate:解約率)

特定期間(基本は1ヶ月ごと)内にサービスを解約した顧客の割合を示す指標。収益ベース(解約によって何%の収益が損なわれたか)で算出するケースもあります。

・LTV(Life Time Value:顧客生涯価値)

1件の顧客が取引開始~終了までにもたらす収益。算出方法はいくつかありますが、最も単純な計算式は「平均顧客単価×平均リピート回数」です。

・ユニットエコノミクス

顧客1件あたりの採算性。サブスクリプションビジネスの健全性を判断する上で重要な指標です。計算式は「LTV÷CAC」。つまり、CACを抑制してLTVを増やせば、事業の健全性が確保できるということになります。

サブスクリプションビジネスのKPIとしては、他にもARPA(Average Revenue per Account:1アカウントあたりの平均売上金額)、ARPU(Average Revenue Per User:1ユーザーあたりの平均売上金額)などが知られています。

次回記事では引き続き、国内のサブスクリプションビジネス事例と事業成功のポイントを紹介します。

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