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経営改革促進

2023年8月28日

PLGのメリットと事例

PLG(プロダクト・レッド・グロース)とは? ~DX時代のビジネスのありかた~<後編>

前回は、PLG(プロダクトレッドグロース)の概要や、既存ビジネスモデルのSLG(セールス・レッド・グロース)との違いなどについて解説しました。今回はPLGのメリットと代表的な事例について解説していきます。

PLGのメリット

セールスコストの削減

まず、セールスコストの削減が考えられます。従来は、見込み顧客をリストアップしてセールスをかけて、商談を受注するアプローチが主流だったため、セールスにコストをかける必要がありました。
一方、PLGでは、プロダクトまずはユーザーに無料で試してもらうため、プロダクト外でのセールス活動はなく、ユーザーが有料プランに移行するまでの間も、人がセールスをすることもありません。 また、無料体験によってプロダクトの価値を体験したあとに有料顧客になるため、アップセルやクロスセルに着実に誘導しやすいと言えるでしょう。

サポートコストの削減

次に、サポートコストの削減です。従来のSLGの場合は、ユーザーがプロダクトに価値を体験する前に、契約・導入が進むことも多いため、「ユーザーがプロダクトを使いこなせない」「ユーザーの不満が増加する」「ユーザーの利用が進まない」などといったケースが発生することがあります。こういった場合、さまざまな人手によるフォローが必要となりサポートコストが発生します。
一方、PLGでは、ユーザーがプロダクトを体験した上で契約・導入するため、このようなサポートコストは発生しにくいと言えるでしょう。

導入後のギャップの解消・解約抑制

従来のSLGでは、ツール導入の意思決定者は上層部の場合が多く、実際に使うユーザーとの間でギャップが生まれてしまう可能性がありました。PLGでは、ユーザーがまずプロダクトを無料体験するため、導入後のギャップを少なくすることができます。
また、プロダクト内に、ユーザーの利用状況データに対応したフォロー機能を組み込むこともでき、解約を抑制することも可能です。

PLG戦略の成功事例

ZOOM

オンラインミーティングツールの「Zoom」は、特にコロナ禍を背景に急成長したプロダクトです。基本的な利用は無料ですが、時間は40分、最大出席者数は100名という制限があります。
そのため40分以上利用したい、100名以上のミーティングをしたいといった場合は有料プランへの移行が必要です。また、有料プランでは、録画データをクラウドに保存できたり、Zoom Roomsなどの機能も追加されたりするため、ユーザーは有料版機能に魅力を感じた場合には自発的にアップグレードします。

Slack

ビジネスチャットツール「Slack」は、仕事上のやり取りには今や欠かせないツールになっています。Slackは基本的なチャットや機能は、無料のフリープランで利用できますが、過去90日以前の履歴を見たり、ストレージ容量の拡張やほかのツールとの連携を向上したりするなど、さらに高度な機能を利用したい場合は有料プランが必要となります。
有料プランへ移行を促進する直接的な営業活動に注力をせず、ユーザーがSlackの利用価値を見出して有料プランへ自発的に移行するPLGを実現しています。(なお、2021年に株式会社セールスフォース・ドットコムはSlack Japan株式会社を買収しており、Salesforce Customer 360との連携の文脈ではセールスを強化しています)

Dropbox

最後に、オンラインストレージサービスのDropboxです。Dropboxのビジネスモデルも、前述の2社とほぼ同等で、最初は無料プランで開始し、ストレージが不足したり、より高度な機能を使いたくなったりしたら有料プランへ移行する仕組みです。
なお、見込み顧客の動きは、下記が想定されています。
無料でDropboxに登録 ⇒必要不可欠になる ⇒ストレージが足りなくなる ⇒ より高度な機能が必要になる ⇒有料プランへ移行する

まとめ

PLGは、プロダクトの中でマーケティング・セールス・カスタマーサクセスがしっかりと行わると、有料会員も加速度的に増加していくと想定されています。前述の3つの事例はこれらが如実に現れているといえます。PLGは今後、収益の高いビジネスモデルとして、より新しい製品や、さらに進化したビジネスモデルが現れる可能性もあり、目の離せない領域といってよいでしょう。

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