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経営改革促進

2023年11月13日

【事例紹介】自然に従業員のモチベーションが向上する仕組みとは?

DXでも重要!「従業員モチベーション」を向上するためのポイントとは?<後半>

モチベーション向上に有効とされているのが、「自律性(自己決定感)」「有能性」「関係性」の欲求充足。それらの実感につながる取り組みをおこなっている企業の事例を紹介します。

「自律性(自己決定感)」を実感できるモチベーション向上施策事例

従業員が自律性(自己決定感)を実感できる職場といえばベンチャーやスタートアップ企業が思い浮かびますが、いわゆる大企業でもそのような環境づくりに取り組んでいる企業は存在します。首都圏を中心にファッションビルなどの商業施設を展開する株式会社丸井グループもそのうちの一社です。

小売事業以外にも金融(フィンテック)事業も手掛ける同社は、ブロックチェーン技術を活用した証券会社を通さない社債「デジタル債」の発行などにより、経済産業省、東京証券取引所及びIPAが選ぶ『DX銘柄2023』に選定されるなど、DX推進企業としても知られています。

同社が自律的な組織づくりを目的に推進しているのが「手挙げの文化」。社内会議、各種プロジェクト、新規事業、海外含む社外ビジネススクール、さらに異動・昇進まで、社員が自らの意思でチャレンジできるという制度です。元々は会議の活性化を目的として始めたようですが、対象範囲の拡大に伴い様々なシーンで社員の自発的行動が増え、社員自身も仕事へのモチベーション向上を実感しているようです。

例えば、毎月実施している中期経営推進会議には、毎回1000人近くの社員が参加を希望し、論文審査を通過した300名が実際に参加しているとのこと。2022年3月期には何らかの取り組みに自ら手を挙げて参加した社員の割合は82%に上るそうで、こうした数字を見るだけでも社内の士気の高さが伝わってきます。

参考1:丸井グループの人的資本経営#1~企業文化の変革~|株式会社丸井グループ

参考2:【マルイノホンネ #3】手挙げの文化 社員自らが手を挙げる”手挙げの文化”始めた背景や、社員の意識の変化に迫ります!|株式会社丸井グループ

「有能性」を実感できるモチベーション向上施策事例

近年、政府の働きかけもあり、従業員の副業を容認する企業が増えています。副業に対して「本業が中途半端になる」とネガティブな印象を持っている方も少なくないかもしれませんが、実際はメリットも多く、「本業に対するモチベーションアップ」もその一つとして知られています。

創業以来「専業禁止!!」というルールを掲げ、社員に“複”業を推奨しているのが、株式会社エンファクトリー。オンラインショッピングの運営や人材サービス、DX推進事業を手がけている企業ですが、同社も副業を通して社員のモチベーションアップを実感しているようです。

2020年3月時点で社内における副業実践者の割合は69%。職種はライター、デザイン、Webサイト制作・ディレクション、マーケティング、会社経営など幅広く、「自分のスキルが社外でも通用すると自信がつく」といった有能性や自己肯定感の実感が、本業へのモチベーションアップにつながっているということです。

いきなりこうした社外の副業解禁はハードルが高すぎるという企業は、「社内副業」を試してみるのも良いかもしれません。例えば、経済産業省が定めるDX認定事業者に選定されているリコージャパン株式会社とKDDI株式会社は、ともに就業時間の約2割を目安に自部署以外での業務に携われる社内副業制度を導入しています。

参考:\70%以上の従業員が副業を実践/副業先進企業が感じた“福業”の効果とは?|株式会社エンファクトリー

「関係性」を実感できるモチベーション向上施策事例

“JAL”の通称でお馴染みの日本航空株式会社は、先述の丸井グループと同じく『DX銘柄2023』にも選定されたDX推進企業。ドローンプロジェクトの推進や、顧客一人ひとりのニーズに応えるためのシステム基盤の構築など、様々な形でIT・デジタル技術を活用しています。しかし同社がユニークなのは、他方では極めてアナログ的な手法で従業員同士の関係性深化に取り組んでいるところ。それが「サンクスカード」です。

サンクスカードとは、仕事中の同僚の協力や気配り、励ましなどに対し、名刺サイズのカードに手書きで感謝の気持ちを記して伝える取り組みを指します。同社は元々“お互いを褒め合う文化”の醸成を目的に導入したようですが、従業員同士の仲間意識や連帯感の強化、そして仕事への意欲向上にもつながっているようです。

同様の取り組みとしては、最高級ホテルとして有名なザ・リッツ・カールトンの「ファーストクラス・カード」が知られています。ザ・リッツ・カールトンの場合は、カードを貰った枚数と渡した枚数が人事査定の際に参考にされるそうです。

また、近年はカードに代わって、感謝とともに“少額の報酬”を送り合うことができるITツールを導入する企業も増えています。報酬は金券や成果給に換金できるポイント、カタログギフトなど企業によって様々。株式会社メルカリを始め、有名企業も従業員モチベーション向上施策の一環として取り入れているようです。前回、報酬がモチベーションを下げる「アンダーマイニング効果」について紹介しましたが、この場合は“感謝”や“評価”を伴った報酬であることがポイントと言えるでしょう。

参考1:褒める企業文化の醸成|日本航空株式会社

参考2:感謝の気持ちを伝えるコミュニケーション確保に関する取組|国土交通省

今回紹介した企業のほとんどがDX推進企業。そうした点からも、DXにおいていかに従業員モチベーションが重要な要素であるかが理解できるのではないでしょうか。もちろん従業員に「自律性(自己決定感)」「有能性」「関係性」を実感してもらうには、他にも社内イベントや1on1ミーティングなどの取り組みも有効ですし、何よりベースとして公平な評価制度は不可欠でしょう。とはいえ、性急な改善を図っても逆効果。事例のように、長期的かつ自然にモチベーションが向上する仕組みや環境を構築することがベストかもしれません。

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