現場マネジメント層のマインドチェンジ
DXにおけるマインドチェンジの重要性<後半>
既存ビジネスのマネジメント手法から、マインドチェンジする
DXビジネスでは今までと異なるマネジメント手法が必要
現場マネジメント層はDXビジネスを進める際には新しいマネジメント手法が必要とされます。既存ビジネスでは目標が明確で、例えばITソリューションを導入し、従来のから1.5倍の営業効率化を図る、などの明確な数値が設定されます。
ところがDXビジネスでは新たなデジタル技術を適用し、他社を凌駕する全く新しい営業ビジネスモデルを作る、などと目標が曖昧で明確ではない場合が多くあります。
DXビジネスのこのような目標に達成するには、例えば第3者を入れたオープンイノベーションや、デザイン思考を取り入れたアイデアソンによる創発・共創など、今までとは全く異なる手法が求められます。
現場マネジメント層はこれらを理解した上でDXビジネスをマネジメントする必要があります。
DXビジネスはスピードが必要
既存ビジネスでは明確な目標に向かって最初からスケジュールを引き、やるべきことを設定していきます。したがってプロジェクトなどはスケジュールに沿って着実に進めます。
ところがDXビジネスでは目標や課題なども途中で修正しながら新しいビジネスモデルなどを検証しながら進めていきます。そのためスピードが求められ、アジャイル手法と言われる、小さなサイクルを比較的早いスピードで何度も回しトライ&エラーで進める手法などが使われます。途中で方向性の修正などもありマネジメントや決断にはスピードが求められます。
DXビジネスでは「まずやってみよう」という考え方が重要
DXで新しいビジネスアイデアをデジタル技術などで実現しようとする時には、まずPoCを多くのケースで行います。これは、実際にビジネスを展開するための事前のテスト導入や実証実験であり、場合によってはうまくいかず、停止ということもありえます。
この点では間違いや失敗は許されない、という既存ビジネスとは考え方が大きく異なり、現場マネジメント層のマインドの変化が必須とされます。
例:現場マネジメントのマインドが既存ビジネスの売上至上主義などのままの場合、DXが進まない
DXビジネスを推進する場合、既存ビジネスでマネジメントを行なっていた現場マネージャーなどが新たに任命され、DXビジネスのマネジメントを行うケースが多いと言えます。この場合、頭の中ではDXビジネスは既存ビジネスとは違うものと理解しているつもりではあっても、本質的なマインドチェンジをすることができずに、DXビジネスの現場マネジメントがうまく行かない場合が多くあります。
DXビジネスでは基本的に新しいデジタル技術やデータを活用し、ヒト・モノ・カネだけではなくコト起点で新しい発想も含めたビジネスを目指します。そのため既存ビジネスで売上や損益に直結する考え方で、ヒト・モノ・カネのマインドでマネジメントを行うとなんら従来型と変わらないビジネスになってしまいDXが進みません。
なぜ既存ビジネスのマインドでマネジメントを行なってしまうのでしょうか?
原因は長年の既存ビジネスでの成功体験がマインドに根強くあるからです。売上や損益に貢献し、企業を支えてきたという自負もあり、ある意味当然のこととも言えます。
これは「成功体験の罠」とも言われ、DXビジネス推進の際によく見られる、過去の成功体験である短期的な視点での売上至上主義に陥ってしまい、既存ビジネスの基準をDXのマネジメントにあてはめてしまうからです。
対応策
現場マネジメント層を再教育などで徹底的なマインドチェンジを行い、DXビジネスは既存ビジネスと評価尺度が異なること、ヒト・モノ・カネだけではなくコト起点の新しい発想が必要なこと、などを理解し現場マネジメントを実践することが重要です。
このように、DXの推進には経営層や現場マネジメント層などのマインドチェンジが、デジタル技術などにも増して求められます。
企業は現在続いているコロナ渦を乗り越えるためにも、DXを進めるためには目先の売上や利益だけにとらわれず、変化に対応した経営やマネジメントを求められ続けると言ってよいでしょう。