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業務プロセス改善

2020年4月20日

イベントログ活用により、業務遂行のボトルネックを解消する

プロセスマイニングとRPAーーー業務の改善と自動化を実現させる第一歩<後半>

イベントログ活用により業務遂行のボトルネックを解消

脚光を浴びるイベントログの活用

既存業務の棚卸を行って無駄を省き、業務プロセスの再設計を行うためには膨大な手間と時間を費やすことになります。現場の担当者にヒアリングしたり、関係各部署を横断した全社的な議論を行う必要があるからです。

また、その結果として狙いどおりの業務プロセスの最適化が実現できればまだ良いのですが、実際には途中で頓挫してしまうケースも珍しくありません。それもそのはずです。組織が大きくなれば、担当者が熟知しているのは業務のうちごく一部のプロセスに過ぎず、全体を把握している人はごく少数であるのが実情だからです。

そこで浮上してきたのが、日々の業務で利用している既存システムやアプリケーションに蓄積された膨大なイベントログを利用するという方法です。プロセスマイニングではまさにこのデータから、業務の可視化を行うというアプローチです。

これまでもイベントログは企業のなかで利用されてきました。しかし、それは権限を持たないユーザーによる特定のアプリケーションやデータへの不正アクセスが行われていないか監査するといったセキュリティ対策や内部統制が中心で、用途は限定的でした。

しかし今日ではビッグデータやアナリティクス、機械学習の技術が進歩し、膨大なイベントログを統合的にかつより有効に扱う環境が整ってきました。

このイベントログを業務や組織、アプリケーションを横断して収集し、一元的に分析するのです。これにより、企業全体における業務プロセスの実行状況を可視化し、そこに内在しているボトルネックの解析・把握し、さらには最適な業務プロセスの再設計をより迅速に実現することが行いやすくなっているのです。

日本でもプロセスマイニングの導入の動きが始まる

要するに上記のようなイベントログを統合的に活用して、業務改善に必要な知見を得るのがプロセスマイニングです。さまざまなアプリケーションからイベントログなどを収集し、そこから申請、受付、承認など業務プロセスと深い関連をもつデータをマイニング(採掘)し、部門を超えた全体的なつながりを可視化します。

さらには「ある業務プロセスを実行するパターンは何通りあるのか」「その中でコンプライアンス上の問題などリスクとなっているプロセスはどれか」「特に多くの工数を費やしてボトルネックとなっている手続きはどれか」といった、業務の実態を明らかにする分析を行うことができます。そこから得た洞察(気づき)に基づいて、業務プロセスの改善および再設計を進めていくのです。

こうしたプロセスマイニングの概念が確立されたのは、2000年代前半におけるオランダのアイントホーフェン工科大学(Eindhoven University of Technology)での学術研究が発端といわれ、その後2010年代前半から欧米企業を中心にビジネス分野での活用が始まっています。

そうした中で、一歩出遅れた感のある日本企業ですが、国外では商用のプロセスマイニングツールが相次いで登場するとともに、日本市場にも進出しています。もちろんイベントログから業務を可視化するのですべての企業の業務で有益な可視化ができるとは限りませんが、IT化がさらに加速し、さらに冒頭で紹介したRPAの普及と相まって、今後プロセスマイニングは多くの日本企業の間にも導入が加速していくと考えられます。

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