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業務プロセス改善

2023年10月9日

革新的サービスで“常識を変える”DX推進企業

「えっ! あのビジネスでも?」意外なジャンルのDX推進事例<前半>

まだまだDXについて「自社とは無縁のもの」と考えている人は多いのではないでしょうか。確かに雑誌などでテック企業や大手メーカーの派手な取り組みばかりを目にしていると、そう判断してしまうのも無理のないことかもしれません。しかし実際は、規模や進捗に差はあれど、一般に思われている以上に多種多様な分野でDXは推進されているのです。

例えば、一見ビジネスのトレンドとは縁遠い印象のある“士業”。茨城県のある会計事務所では、確定申告業務などパソコン作業を伴う業務を自動化するためRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)を導入し、繁忙期の残業・休日出勤ゼロ、年間600時間の業務時間削減といった業務効率化を実現しています。

または電子書籍登場以降、すっかり壊滅状態に陥ったように見える書店業界。東京のある書店が電子ロックや電子決済、LINEなどを活用した夜間無人営業の実証実験を実施したところ、月間売上が前年比10%アップし、その後も同形態で営業を続けています。

今回は2回にわたって、このような「えっ?」と思うような意外なジャンルでDXを推進している企業の事例を紹介していきます。

伝統文化に関わるDX推進事例

伝統文化とIT・デジタルというと一見相性は良くないように思えますが、1900年に呉服店として創業し、現在は九州を中心に着物・宝石店を展開している株式会社鈴花では、DXの推進により目覚ましい成果を上げています。

同社がデジタル活用に踏み切った理由は、縮小が進む着物小売市場に対する“危機感”。とはいえ従業員の平均年齢が61歳ということもあり、最初から本格的にDXをスタートできた訳ではありませんでした。まずは業務日報をFAXからチャットツールに変えたり、スケジュール共有のためにグループウェアを導入したりと、社内コミュニケーションをデジタル化することからコツコツと始めたそうです。

現在は顧客向け施策にもデジタルを活用しており、その柱となっているのが「電子顧客カルテ」「顧客向けアプリ」「LINEを活用したマーケティング」の3つ。「電子顧客カルテ」はそれまで販売員が各自手帳に記録していた顧客情報を集約し、タブレットで共有できるよう自社開発したアプリで、顧客の接点(来店・電話)履歴や購入履歴、写真などが登録されており、担当以外の販売員も顧客一人ひとりに合わせた対応ができるというメリットがあります。

続いての「顧客向けアプリ」は、顧客が所有する着物や帯の画像を登録できるデジタルクローゼット機能や、その画像をもとに社員にコーディネーター相談ができるサービスを備えたアプリです。リアル店舗にはない新たな顧客体験を提供するツールと言えるでしょう。最後の「LINEを活用したマーケティング」の目的は、販売員任せではなく、会社が顧客と直接つながる仕組みを構築すること。LINEと顧客データベースを連携させ、顧客ごとにマッチした商品やイベントを紹介したりしています。

参考:平均年齢61歳!無料ツールから始める老舗着物店のDX|佐賀県産業スマート化センター

通信教育サービスでのDX推進事例

かつては紙の教材が当たり前だった学生向け通信教育サービスで、最新技術を活用した新たなサービスを次々に生み出している企業が存在します。『進研ゼミ』(と赤ペン先生)でお馴染みの、株式会社ベネッセホールディングスです。

AIなどの技術を活用した小中学生向けの『進研ゼミ専用タブレット』は、既に累計300万台以上提供。授業は動画でわかりやすく教えてくれるほか、間違えた問題についてはAIが原因を自動判定して最適な課題を提出してくれたり、生徒一人ひとりの目指す学力や取り組み状況に合わせて個別カリキュラムを設定してくれたりと、きめ細やかな機能が実装されています。

AIと言えば、話題の“生成AI”を取り入れた『自由研究おたすけAI β版』という試験的なサービスを2023年7月から無償で開始(現在は終了)。キャラクターが質問・回答のやり取りを通して、小学生の夏休みの自由研究に最適なテーマを提案してくれるユニークなサービスです。他にも独自開発したVR(仮想現実)ゴーグルを使って様々な授業や体験ができる『ハイリコム学習』など、通信教育の常識を覆す革新的なサービスをいくつも提供しています。

同社はDXの推進を企業の中心的な戦略として位置付けており、こうしたサービスの創出だけでなく、DX人財育成を含めた組織変革も実施。2021年には経済産業省が定める『DX認定事業者』、経済産業省・東京証券取引所が選ぶ『DX銘柄2021』に認定されています。

参考1: ベネッセ、小学生親子向け生成AIサービスを7/25から無償提供|株式会社ベネッセホールディングス
参考2: ベネッセホールディングス、経済産業省が定める「DX認定事業者」に選定|株式会社ベネッセホールディングス
参考3: 経済産業省・東京証券取引所が選ぶ「DX銘柄2021」にベネッセホールディングスが選定|株式会社ベネッセホールディングス

後半記事では、冠婚葬祭関連サービスや人材育成に関わるDXの事例を紹介します。

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