自動化も実現!進化する「社内問い合わせ対応」効率化ツール
企業の共通課題、「問い合わせ対応効率化」に役立つIT・デジタルツールとは?<前半>
疲弊する問い合わせ窓口
ヘルプデスクやカスタマーサポート、コールセンターなど、社内・社外からの問い合わせに対応する窓口を設けている企業は少なくありません。いずれもその対応の質が企業の信頼性や生産性を左右するという意味で重要な部署・業務ですが、しかしその分、多くの企業が課題を抱えているのも事実です。中でも大きな課題が、常に人手不足や離職率の高さが叫ばれていることからもわかる通り、現場の(心理面も含めた)業務負荷の高さでしょう。
その要因としては、単純に業務量が多いこと以外にも、特に近年は製品・サービスの多様化・複雑化にともなって問い合わせ内容も多様化・複雑化していることが挙げられます。こうした状況に対応するために多くの企業が効率化のための対策を講じていますが、現在、DX推進企業やIT・デジタル活用に積極的な企業で目立つのが、ツールを活用した「問い合わせの件数削減」と「業務の脱属人化」の取り組みです。
実際に、最新技術を活用した問い合わせ対応効率化ツールも続々と登場しています。例えば、社内向けFAQページを構築するFAQシステム。FAQページは社内ポータルサイトなどに「FAQ(=よくある質問と回答)」をまとめて掲出し、社員の自己解決につなげる手法ですが、従来は該当するFAQを検索しても、表記ゆれ(例:申し込み/申込、取り消し/キャンセル)に対応していないためヒットせず、結局内線で問い合わせるというパターンが珍しくありませんでした。しかし現在では、AIの活用により、表記ゆれやスペルミスにも対応して最適なFAQを提示できるシステムが活用されています。
今回はこのような問い合わせ対応業務の効率化につながるツールを、定番からトレンドまで紹介していきます。
サービスデスク(ヘルプデスク)ツール
社内問い合わせ対応を効率化する代表的なツールが「サービスデスク(ヘルプデスク)ツール」です。その名称からパソコンや業務システム周りの問い合わせ対応に最適なツールと思われているかもしれませんが、総務・人事関連の申請・手続きなど、様々な問い合わせの効率化に活用されています。
『SmartStageサービスデスク』<(株式会社クレオ)管理画面
サービスデスクツールの大きなメリットは、問い合わせに関するデータを一元管理できること。製品によって機能は異なりますが、問い合わせが発生した際に過去の同様の事例を検索して速やかに一次対応をおこなったり、対応の進捗状況をタイムリーに把握したり、過去の問い合わせを分析して効果的なFAQを作成したりすることができます。
その他にも、問い合わせメールの内容に応じて自動で適切な担当者に振り分ける機能や、上位者または他部署へのエスカレーション(引継ぎ)を自動でおこなえる機能を備えたツールもあります。サービスデスクツールを選ぶ際は、ITサービスマネジメントにおける成功事例をまとめたITIL®準拠のものを選ぶことがポイントです。
DAP
まだ一般にはあまり知られてはいませんが、近年、システム関連の社内問い合わせ件数を削減するツールとして注目を集めているのが「DAP(デジタルアダプションプラットフォーム)」です。
といっても、DAP自体は問い合わせ対応ツールではありません。簡単に説明すると、社員がSaaSやアプリケーションの操作を早期に習得できるよう、リアルタイムでサポート及びナビゲーションしてくれるツール。状況に応じて画面上に必要な設定や操作手順などが表示されるので、よくある初歩的な問い合わせの削減できるという訳です。
DAP本来の目的は組織にデジタル利用を定着させること。まだまだ発展途上のツールですが、既に全社的に導入している国内大手企業もあります。DXを加速させるためには全社員がIT・デジタルツールを使いこなす必要があることを考えれば、今後さらに導入企業は増えていくかもしれません。
後半記事では、さらにバリエーション豊富な社外問い合わせ対応ツールを紹介します。
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