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業務プロセス改善

2020年11月9日

法務部門に求められる変化とデジタルシフトの遅れ

これからの法務部門にDXが必要な理由<前半>

法務部門に求められる変化とデジタルシフトの遅れ

もはや「紙とハンコ」は理由にならない

市場のグローバル化やテクノロジーの発展、さらに社会的価値観の変化などによって、これまで以上に法務部門の重要性が高まっています。大きな要因は以下の二点です。

一つ目は企業コンプライアンスの徹底を強く求められるようになったこと。ここでのコンプライアンスは「法令遵守」だけでなく、セクハラやパワハラなど、社会的相当性から逸脱した行為の禁止も含む幅広い概念です。最近ではSNS上での告発や炎上も目立ちます。以前のように、有名企業でなければニュースにならないという状況ではありません。

二つ目は、法務部門に期待される役割の変化です。ひと言で言うなら、「守り」から「攻め」。特にベンチャーやスタートアップ、大手でもイノベーティブな企業においては、旧来のようなチェック部門のままでいると、新たな市場開拓にブレーキをかけるだけの存在になってしまいます。もちろん法的リスクの回避が重要な任務であることは変わりませんが、独創的なアイデアを実現するために、当局に新しいルール作りを呼びかけたり、事業を有利に展開できる知的財産権を確保したりと、自発的かつ戦略的な動きが求められます。

とはいえ、まだまだ多くの企業がこのような状況に対応できていないのが実情です。何よりそれは、ビジネス全体で加速度的にデジタルシフトが進む中、ほとんどの法務部門が遅れをとっていることからも明らかです。

業務上、紙・印鑑などのアナログツールを避けられないといった事情もあるでしょう。しかし、2020年6月19日に内閣府・法務省・経済産業省が公表した「押印についてのQ&A」には、「私法上、契約は当事者の意思の合致により、成立するものであり、書面の作成及びその書面への押印は、特段の定めがある場合を除き、必要な要件とはされていない」「特段の定めがある場合を除き、契約に当たり、押印をしなくても、契約の効力に影響は生じない」と明記されています。

つまり「紙とハンコ」は、もはやデジタルシフトに取り組まない理由にはならないのです。

既存業務の効率化だけでは不十分

実際に、法務部門向けのITツールはすでに数多く登場しています。中でも一般的なのは、テレビCMでもお馴染みのクラウド型電子契約サービスでしょう。

クラウド型電子契約サービスとは、契約締結から契約書管理までオンライン上で可能にするソフトウェアです。紙も印鑑も不要で、一方が交渉済みの契約書をアップロードし、他方が承認するだけで契約を成立させることができます。契約書のデータはクラウド上に一元管理できるので、紙の場合のように探す手間がかからないのも大きなメリットでしょう。ただし、契約の相手方に電子契約に対する理解がなければ、利用を拒否される場合もあります。

また、リーガルリサーチ(法的情報収集)のためのツールも販売されています。数百冊の法律書籍や雑誌をオンライン上で閲覧・横断検索できるので、これまでのようにわざわざ図書館に足を運んだり、テレワークの際に出社したりする必要がなくなります。

また、こうした専門的なソフトウェア以外にも、無料のGoogleカレンダーやチャットツールを使って社内や部署内で予定や進捗を共有することも重要です。

ただし、以上のようなツールだけでは、既存業務の効率は向上しても、冒頭で紹介したような新たな役割への転換は期待できません。法務部門をビジネスに貢献する組織、新しい業務に率先して取り組める組織に変えるには、抜本的なデジタルシフトが必要です。次回、他社事例とともに、そのための有効施策を紹介します。

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