SFプロトタイピングによるマイナンバー未来予想(前編)
マイナンバーの未来予想
~SFプロトタイピングによる20年後のマイナンバー~<前半>
マイナンバー制度の現状
マイナンバー制度は2016年に導入され、個人識別番号として行政手続きの効率化を目的に活用されています。これにより、税務、社会保障、年金管理などが一元化され、手続きの簡素化が進みました。しかし、まだマイナンバー制度の利用範囲は限定的であり、制度の運用やプライバシー保護に関する懸念も残っています。
今後、AIやブロックチェーンなどの先端デジタル技術が発展する中で、マイナンバーはどのように進化し、未来社会においてどのような役割を果たしていくのでしょうか?
本稿では、SFプロトタイピングという未来予測手法を用いて、マイナンバーの未来像を描きます。この手法は、現実的な技術進化と社会変化を前提に、あくまでも未来の可能性を探るものです、したがって必ずこの現実がおとずれる、という意味ではありません。
では、この手法を使ってテクノロジーが進化した社会において、マイナンバーがどのように発展し、私たちの生活や社会にどのような影響を与えるのかを未来の年代別に見てみましょう。
2030年頃:行政手続きが完全デジタル・自動化される
2030年頃には、マイナンバー制度は完全なデジタル化が進み、行政手続きが一層効率的に自動化される未来が想像されます。
現在、オンラインで行える一部の手続きが、全ての分野でデジタル化され、役所に直接出向く必要はなくなります。また、AI技術が進化・適用され、個々の状況に最適化された税金や年金、社会保険などの自動計算はAIがすべて行い、確定申告のAIによる代行も登場します。
住民はマイナンバーによる各種手続きをオンライン上ですべて行うだけでなく、個人のニーズに応じた住民サービス提案をAIが提供するようになります。
たとえば、高齢者や障害者などの生活状況に応じて、最適な医療サービスや介護サービスがAIにより自動で提案され、個々の人生にフィットした社会支援が提供されるようになるでしょう。
さらに、医療分野でもマイナンバー活用でデータが一元化され、病歴や検査結果などの個人の医療データがリアルタイムで共有されることにより、適切な医療提供が迅速に行われるようになります。デジタル化による恩恵が進み、住民はより快適で効率的な行政手続きをすることができるようになるでしょう。
2035年頃:生体認証とマイナンバーの融合
2035年頃には、マイナンバーは生体認証技術と統合され、物理的なカードやパスワードは不要になります。指紋認証、顔認証、静脈認証さらにはDNA認証など、生体情報がマイナンバーとリンクされることで、本人確認のプロセスが大幅に簡素化されます。
これにより、たとえば住民票などの行政サービスへのアクセスはもちろんのこと、免許証や保険証もマイナンバーの生体認証で証明できるようになるため、さまざまな支払・決済や病院での医療手続きなどが、一瞬で完了する未来が見えてきます。また、オンライン上でも、生体認証による本人確認が進むため、パスワード漏洩などのリスクは減少します。
公共交通機関の利用や、買い物、各種支払いも、スマートフォンやクレジットカードすら不要な社会が実現するかもしれません。
生体認証技術との統合は、安全性を向上させると同時に、よりスムーズでストレスフリーな手続き環境を提供します。このように、マイナンバーは日常生活の中で欠かせないインフラとなり、私たちの暮らしを支える存在になるでしょう。
今回は、マイナンバー制度の現状とマイナンバーの未来(前編)を、SFプロトタイピング手法を使った未来像として、年代ごとに描いてみました。次回は、引き続きマイナンバーの未来(後編)を同様の手法で描いた内容を解説します。