デジタルトランスフォーメーションをもっと身近に

そろそろAIに対する認識をアップデートしよう

知らないとマズイ!? ビジネスにおけるAIの現在<前半>

右肩上がりのAI市場

なんとなく最近、メディアでのAI(人工知能)の存在感が希薄になっているような気がしている方は多いのではないでしょうか? 確かにデジタルトランスフォーメーション(以下:DX)の中核を担う技術として頻繁に取り上げられてはいるものの、“シンギュラリティ”という言葉がバズワード化し、「人間の仕事が奪われる」「もうすぐ人類の知能を越える」などと騒がれていた頃の派手さはありませんし、注目度という点ではメタバースやWeb3にすっかり主役の座を奪われてしまったという印象さえ受けます。

とはいっても、AIは一過性のブームで終わった訳でも、開発・導入が停滞している訳でもありません。それどころか市場は右肩上がりで急成長中。調査会社IDC Japanが発表した「国内AIシステム市場予測」(2022年5月)によると、2021年の市場規模(エンドユーザー支出額ベース)は前年比成長率26.3%の2771億9000万円で、今後も引き続き成長が予測されています。

その要因として同資料では、「(コロナ禍による)新たなライフスタイルの勃興にデジタル商機を見出す企業によって、AI を活用した多様な実験型プロジェクトが繰り返し実施され」たこと、「COVID-19 感染拡大前から企業変革に熱心に取り組む企業のDX活動を通じた実証実験の評価によって、AI システムが本番運用を開始するケースも順調に増加」したことなどが挙げられています。

つまり今やAIは、新型コロナウイルスのパンデミックによるものにせよ、それ以前のビジネス環境の変化によるものにせよ、先行き不透明で不安定な状況の中、企業および事業を継続・成長させるための重要な技術として“地に足の着いた”やり方で活用され始めているということでしょう。もしも以前のブームの時の印象のまま、いまだにAIに対して“シンギュラリティ”や“人間を脅かす存在”といったイメージを抱いている方がいるなら、早々に認識をアップデートしたほうが良いかもしれません。

AIに対するありがちな誤解

そもそもひと口にAIと言っても、その種類は一つではありません。AIは大きく「汎用AI(強いAI)」と「特化型AI(弱いAI)」に分類されます。簡単に説明すると、汎用AIはSF映画に登場するような自律的に思考する人間型のAIを、特化型AIは特定の問題を解くために作られたAIを指します。

AIと聞くと、まだまだ鉄腕アトムやターミネーターのようなロボット、つまり汎用AIを思い浮かべる方もいるようですが、大方の専門家の見方では、いずれ実現することはあっても現在の技術の延長線上には存在しないというのが共通見解のようです。当然ながら、ビジネスで研究開発されているのもほとんどが後者の特化型AIです。

ちなみに散々騒がれた「2045年にシンギュラリティが訪れる」説についても同様に疑問の声が多く、ロボット掃除機『ルンバ』の開発で知られる米アイロボット社CEO、コリン・アングル氏は『WIRED』のインタビューでその可能性について問われた際、「ノーだよ。バカバカしいとさえ思っている(笑)」と答えています。

他にAIに対するありがちな誤解と言えば、〈機械学習〉と〈ディープラーニング(深層学習)〉の混同も挙げられます。どちらもコンピュータに文字やテキスト、音声、画像、動画などのデータを識別する方法を学習させる技術であり、ディープラーニングは機械学習の一種でもありますが、学習モデル(アルゴリズム)に違いがあります。やや簡略化しすぎかもしれませんが、機械学習は人間の補助が必要であるのに対し、ディープラーニングのほうはコンピュータ自らデータの識別方法を学んでいく学習方法と言えます。

AIのこうした技術を活用した事例としてよく知られているのは、アマゾンなどでお馴染みのECサイトのレコメンドエンジン(おすすめ機能)ですが、もちろん現在はそれ以外にも業種や企業規模問わず、様々な場面で活用されています。次回の記事で詳しく紹介します。

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