デジタルトランスフォーメーションをもっと身近に

「DXレポート2」が公表されるに至った理由

DXレポート2にみる最新DX状況<前半>

DXレポートが伝えた2025年の崖

2020年12月28日、経済産業省は日本のDXを促進していくため、中間とりまとめのレポートとして「DXレポート2」を公表しました。この背景には、日本企業のDX推進が十分に進んでいないことと、コロナ渦という大きな環境の変化がもたらした新たなDXの本質について公表すべきと考えたからでしょう。

あらためてDXレポートとは、経済産業省が、2018年9月に経済産業省が発表した”DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~”のことです。このレポートでは、企業は成長や競争力強化のために新たなデジタル技術を活用し、ビジネス変革や新たなビジネスモデルを創出して、柔軟に改変するDX推進の必要性が求められる、と伝えました。

そして多くの企業で、既存システムが老朽化や複雑化、ブラックボックス化し、高コストのレガシーシステムとなり、企業の足かせになり、企業はDXへの戦略的なIT投資ができなくなっているとレポートしました。

同時に人的リソースもレガシーシステムの運用・保守に手間をとられ、新しいデジタル技術などの分野に人材を投入できず、DXを進めることができない状態になると言っています。

そして2025年には21年以上稼働しているレガシーシステムがシステム全体の約6割を占めると予測し、今後、これらのシステムを刷新できなかった企業は多くの事業機会を失うであろうと警鐘を鳴らしました。

その後、経済産業省はDXの推進を加速するために、企業のDX推進度合いを診断する「DX推進指標」を策定しました。企業がこれを使いDXに関する自己診断を行うことにより、自社の取組の現状や、あるべき姿と現状とのギャップ、などの認識を社内で共有し、DXに向けて必要なアクションをとっていく機会を提供しました。

また、「DX銘柄」 という、「東京証券取引所に上場している企業の中から、DXを推進するための仕組みを社内に構築し、優れた活用実績が表れている企業を選定する」などの試みも、経済産業省は行ってきました。DXに果敢にチャレンジし続けている企業を紹介し、さらなる多くの企業がDX推進を期待するという趣旨です。

一向に進まないDX

DXレポートの発表を受けて、市場ではDXに関する議論が活発化しました。ただし、DXレポートの内容が本来の主旨とずれた受け止められ方をし、「DXとはレガシーシステムの刷新である」という認識を一部でされてしいました。

そして、レガシーシステムの刷新のために、デジタル技術の導入が叫ばれるようになりました。ただし、この動きはDXの「D(デジタル)」の部分のことであり、「X(トランスフォーメーション)」の部分が置き去りにされています。

結果、既存システムの入れ替えや、単純なデジタルソリューションの導入をDXとみなしてしまい、本質的なDXに進むことができない典型的なパターンに陥っている企業が多く見られるようになりました。

本来はDXを進めるために新しい人材が必要になるため、既存システムの刷新を行い、運用・保守にとらわれている優秀な人材を開放するべき、という趣旨でした。ところが、後半部分が強調されすぎてしまい、DXがむしろ進みにくいとも受け取れる状態に陥ってしまったのです。

次回、この状態を打破し「DXレポート2」が伝えるこれからのDXは具体的にどうするべきかなど、DXの新たな本質についてお伝えしていきます。

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